ちょっと前になってしまうのですが、
10月24日に、早稲田大学で行われた、
ヒューマンインターフェース学会の質的研究のセミナーに参加してきました。

HCDを勉強して行く中で、グラウンデッド・セオリー・アプローチなどの質的研究にも興味があったので、楽しみにして有給とって参加してきました。

ジェンダ

第20回ヒューマンインタフェース学会セミナー

HI研究における質的研究アプローチ
・エスノメソドロジー
・エスノグラフィー
・グラウンデッドセオリー
 10:00~16:00

挨拶

■理事長からご挨拶
 三好先生 なんでこんなに集まったんでしょうwww

■企画意図 安藤先生

 今回のセミナーは、方法論を学ぶというよりは、
 それぞれの手法の勘所を理解するためのセミナー

エスノメソドロジー

立教大学社会学部 秋谷直短

■自己紹介
・領域:社会学
・方法:エスノメソドロジー、会話分析
・介護施設での分析
・情報工学者との共同研究(HRI、VMC支援機器)2005-
 高齢者介護施設のワーク研究 2005-
 ミーティングトーク(ex.工学系ラボ、ビジネス)2009-

■概要
 EMを理解するのではなく、EMを学ぶための入り口に立つ
 ・60年代後半の構造機能主義に対するオルタナティブとしての期待、そして失望
 ・83年あたりにカルロス・カスタネダの「呪術師と私」の紹介に伴い、
  スピリチュアル的なものとされ、失望された。
 ・出てきては、期待され、失望されを繰り返してきたのがEM

■エスノグラフィーとは
 前近代人類学・近代人類学・エスノセントリズム、
 対文化解釈問題にわかれた4つのうちの1つの領域
 エスノグラフィーは方法論と言われるがそれは大きな間違い。
 どのような理論的立場であれ、
 フィールドワークに基づいて社会生活の体系的記述がなされたものは、
 エスノグラフィーと呼ぶ。

 エスノグラフィーは方法論ではない、
 どんな方法だろうが、民族史的な記述をすればエスノグラフィー。
 アプローチにGTAを使おうが、EMを使おうが、
 エスノグラフィーと呼ぶ。
 方法論の名前ではなく、読み物。成果。

 「エスノグラフィーをする」という呼び方はおかしいかも。
  結果にすぎない。

 社会学でもフィールドワークをすることがある。
 また、エスノグラフィーを書くこともある
 (文化人類学と社会学は近接領域で、相互発展的側面がある)。
  ※1920〜30年代のシカゴ学派。文化人類学におけるモノグラフ的手法を輸入。

■エスノグラフィー、GT、EMそれぞれの関係について

 ▼社会学とはなにをする学問なのか?

  Socius + Logos= 集まりの学問

  ・社会学=社会的なものを取り扱う
   ※集まりがなぜ可能なのか?なぜ不可能なのか?
  ・社会的なもの=つながり、規範、信頼、価値
  ・社会秩序、社会と個人の関係を問う。
   ※社会秩序はいかにして可能化を考える。
  
  →社会と個人の関係の抽出方を連綿と議論してきた。
   シカゴ学派はそのやり方として、
   文化人類学におけるフィールドワークの議論を輸入。

■グラウンデッドセオリー
 1960年代にシカゴ学派から誕生
 シカゴ学派が文化人類学からモノグラフ的手法を輸入した文脈上に位置づけられる
 ※GTは、社会学における科学主義たれという対応をしようとしたもの。

■エスノメソドロジー
 構造機能主義的社会観への対抗として出現。
 1960年代、現象学の観点を継承しつつ、
 シカゴ学派(特にGoffman)の議論を相互参照しながら現在に至る。
 EMの態度でフィールド調査を行う場合、
 その結果はEM的エスノグラフィーと呼ぶ事もある。
 
■エスノメソドロジーとは?
 エスノメソドロジーには方法論はない。
 仮説を持って対象に入るのではなく、発見をする。

 人々(Ethno)の方法論(method)

 ・人々の概念使用および概念の把握の仕方から、
  対象概念の連関(レリヴァンス)を記述する。

 ・ふつう、方法論は研究者が用意するものだが、
  EMではそれは人々が日常生活のなかですでに用いられているものだとする。
 ・研究者が方法論を用いて対象を調査するのではなく、
  ただ人々の方法論を記述するだけ。
 ・仮説もないし、目の前の活動に対する価値判断もしない=エスノメソドロジー的無関心

 ※EMは、1960年代にGarfinkelとSacksによって創始された。
  ただ、Garfinkelの英語は難解なので要注意。

■エスノメソドロジーの対象
 ハイブリッド研究としてのEM

 ・会話分析
 ・人と人の相互行為分析
 ・EM的エスノグラフィー
 ・人と犬の相互行為分析
 ・テクスト分析
 ・科学のEM
 ・数学のEM
 ・人-機械、人-機械-人の相互行為分析

 なんでこんなことをやるの?
 私達はそこでなにかしらの行為を組織し、また何かの概念を使用しているということは、
 すべてにおいて通底している、
 それを使用して、何かしらの活動を行っている。それが人々の方法論になる。

■社会学の方法論(1)
 方法論的集合(社会)主義
 
 社会(規範、規則、法、しきたり)
 ・個人は社会に拘束されている。
 ・集団単位で行為の傾向性がある。

 個々人の主観、経験はさておいて、プロテスタントやユダヤなど、
 一つの集合として機能しているものがどのような行動行為の傾向性を持つかを調べる。

■方法論的集合主義とEM
 デュルケム「自殺論」を例に。

 当時のヨーロッパでは自殺は病理現象とされていた。
 
 「自殺」ということばの定義を日常用語からもってこようとすると、
 それがあまりに多義的・あいまいに使われていて定義不可能なので・・・
 ~を、すべて自殺と(私、デュルケムが)定義しよう!
 
         ↓      
 統計データを分析した結果、
 「ユダヤ > プロテスタント、既婚者 > 未婚者、軍人 > 一般市民」といった
 傾向性が見られる。
         ↓
 自殺は病理現象ではなく、社会現象である!

 まずは、定義をする。
 (調査をする前にすること。定義をしないと数えられない。)

 例:遺言
  ・「私がもし脳死判定されたら生命維持装置を止めて欲しい」と
   遺言を残した人の死は、自殺か他殺か、尊厳死か?

■方法論的集合主義とEM
 EMからの批判(H.Sacksが批判した。)

 ある現象を「自殺」だと同定することは、研究者の特権的な問いではない。
  ↓
 人々は、この問題をうまく切り抜けていたり、困ったりしている
  ↓
 ならば、その「人々のやり方を見て行く」という研究が
 まずなされなければいけないのではないか?
  ↓
 「人々の自殺概念使用の研究」という方向性
 
 ※H. Sacks,(1963)「社会学的記述」より

 ※じゃあ、インタビューすればいいんじゃねぇ?
  →それもSacksが批判した。

■社会学の方法論(2)
 方法論的個人主義

 「行為の過程や結果を”理解”を通じて説明する学問が社会学」
  →「行為とは、行為者によって主観的に意味付けられた行動である」

 ・現実的理解
  「木こりは木を切っている」

 ・説明的理解
  「木こりは賃金を得るために木を切っている」
   →行為の意味や動機が明らかになればよい!」
    ・インタビューしよう
    ・質問紙を配布しよう

■方法論的個人主義とEM
 EMからの批判

 個人の行為や動機を聞く事により意味を理解するということは、難しい。
 →「個人の行為の主観的意味を解釈するということは「無限に可能」なので、
   どこかで止める必要がある」

  ※インタビューするのは無理なので、会話の構造を見ればいいのでは?

 例:ガーフィンケルの実験
   http://chat–noir.com/internet/i_net12.html
   http://www.nil.co.jp/Japanese/blog/?p=31


■発想の転換:例「会話」
 会話のEMを見ればいいのでは?
 観察者が、研究対象とする行為の主観的意味を理解するのは難しい。
 
 (1)これは実は観察者の特権的な問いではないのでは?
    むしろ、私達が日常生活を送るうえで常に経験している相互行為的問題では?

 (2)では、人々がこの問題にどう対処しているかを見ればよいのではないか?
    むしろ従来の専門家は、この点を括弧に入れてきてしまったのではないか?

 (3)会話を対象とするなら、個々の発話の主観的意味を追求・
    深彫していくというよりは、
    まず、それを「会話」として聞くことができる者なら理解できる
    「会話の方法」を明らかにしていこうという
    視点が獲得できるのでは?

■EMの基本的視点
 Why that now?

 ・「おはよう」の理解問題
   A:おはよう
   B:おはよう

 ・インデックス性の問題
   A:野菜売り場ってどこかな?
   B:あの店員さんに聞いてみたら?

 ※「おはよう」は何ですか?と質問すると「挨拶」と答える人が多いかもしれないが、
  エスノメソドロジー的に言えば、最初は挨拶とは理解しない。
  あくまでも観察の結果、挨拶と判断する。

 日常生活における言葉は基本的にインデックス的である。
 人々が言語的手段あるいはその他の手段を使って適切な意味づけや
 適切な言及をうまく成し遂げている。
 それはいかにしてか?また、それは周辺環境とどのように連接されているか?

■システム開発とEM
 EM的視点の用い方

 システムを数値的に評価することは必要だが、
 一方で、人々がいかにしてその場その場の状況に対処しながら
 システムを使用しているのかということを明らかにする必要がある。
 また、システムの導入によって、
 人々のワークがどのように変化したのかも理解する必要がある。
            ↓
 実験的/制度的場面におけるワークと、
 そこで用いられているテクノロジーの関係について、
 リアルタイムの相互行為の記述を通してみていく。

■研究事例(1)
 King’s College WIT Research Group

 ・電子カルテ研究
 ・オークションシステム研究

 現場から使いにくいとの声が出て、話を聞いてもわからないため、
 電子カルテと紙のカルテの使用方法を観察した。
 電子カルテがどのように使われているか観察した、
 その結果インタビューでは得られないことが見えた。
 →電子カルテが大きくて動かせない為、
  患者さんとのコミュニケーションに問題があった。

■研究事例(2)
 University of Nottingham Mixed Reality Lab

 ・Can You See Me Now(遠隔おにごっごシステム)

■研究事例(3)
 埼玉大学ヒューマンロボットインタラクション研究センター

 参考論文PDF:人を見て人に見せるロボット:社会学的分析に基づくロボット研究
      

■HI研究におけるEMの役割
 問題点

 ・予め調査の焦点を定めることはしないので、
  エンジニアが期待するものが必ずしもあがってこない場合がある。
 ・価値判断や一般化を避ける 
 ・EM者の言うことが細かすぎるor難解すぎる。
 ・「たまたま」を重視する理由がよくわからない。
 
  ※エンジニアはゲートキーパーになる必要がある。

■EMを学ぶために
 文献紹介

エスノメソドロジー―人びとの実践から学ぶ (ワードマップ)
 前田 泰樹 水川 喜文 , 岡田 光弘

実践エスノメソドロジー入門
 山崎 敬一

 ・もっとも良い学びかたは実践知がどうなっているのか、論文をたくさん読むこと
 ・EMと一緒に分析してみること。
 
  ※「批判的EM」と題した本もあるが、それは手を出さないほうがよい。

■日本でEMを学べる場所
 エスノメソドロジー・会話分析研究会

 ※国内のEM者の数は多くない。拠点もない。
  EM者の研究会はほぼクローズド。

■質疑応答
 ・学術的記述の意味は?
  →まず納期の考え方が違う、6年?7年は平気で行う。
   が、それをやれとは言わない。
   なるべく短期間でできるような方法を考える、
   ペルソナと実システムとの差を見る。

 ・どこを問題にするのかがクリティカルになるのではないか?
  →トラブルが起きる箇所をポイントに観察していく。
   守られるべき規範がなんなのか考えていく。

 ・高齢者介護施設などではトラブルがいっぱいあるのでは?
  →ケアマネージャーなどがトラブルと感じているところから入る。

 ・EMを実施するときに、仮説は持つのか?
  →仮説は持たない。

 ・心理学の観察法とプロトコル分析などとの差が分からない、根本的な違いは?
  →心理学では個人の心のなかにあると考え。
   EMは「総合行為の中にある。」と考える。

 ・実現場のシステムでの応用例は?
  →実際にシステムを使っている場面をビデオにとって研究している人がいる。
  実際の作業をただ単に羅列していく。

 ・共同研究時に秋谷さんのやりかた
  →データの記述だけ行って、分析は工学者に任せる

グラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)の概要

千葉工業大学 安藤昌也

■社会学におけるGTAの系譜
 
 ・概要
  検証偏重となっていた当時の社会学研究を批判し、
  データ重視の理論生成の重要性を主張して登場した。

 ・StraussとGlaserの背景の違い
  Strauss: Blumerのシンボリック相互作用論の影響。
       データの深い解釈により、概念化することを重視。
       (1人の視点として見ていく)

  Glaser: 数量的な認識論に立って、より科学的なアプローチで分析することを重視。

  ※質的データの取り扱いに差があり、二人の研究は分かれていく事になる。
  ※GTAの特徴は、「理論をつくる」こと

  ★GTAは、質的研究法の中でもより(自然)科学的に質的データを取り扱いながらも、
   深い解釈を加えるというバランスを持った分析法。

■GTAは質的分析法? 研究法?
 GTAの主眼は、理論生成のための分析法。
 だが、適切な理論生成のための調査法として、
 理論サンプリングという考え方を示している。
 
 ・フィールドワークによるデータ収集
        ↑↓ 理論的サンプリング
 ・GTAによる質的データ分析
        ↓ 理論飽和
        理論

■質的研究とはどういうものか?

▼なぜ、質的研究法なのか?
 量的・実証主義的アプローチでは、
 取りこぼされてきた人間科学の諸領域を扱う意義を高まってきた。

 様々な質的研究法
  ・エスノメソドロジー(会話分析 / 相互行為分析)
  ・エスノグラフィー
  ・内容分析(量的な異様分析)
  ・ナラティブ・アプローチ
  ・KJ法
  ・グラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)
  ・修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ
  ・SCAT(4ステップコーディング)

▼質的研究法の特徴
 質的研究法は、現象に関しての先行研究の蓄積がなく、
 変数が把握されていない時に用いるとよい研究手法。

研究の問い仮説の有無研究デザイン
レベル1これは何であるか?なし質的研究
レベル2何が起こっているか?なし質的・量的
レベル3これらには関係があるか?あり仮説検証
レベル4これらには因果関係があるか?あり因果関係検証型

質的研究法の主な特徴(不得意な点)
  ・仮説検証に向いていない
  ・研究対象群の差の比較など直接比較には向いていない。
  ・全体の分布や傾向把握には向いていない。

▼質的データと量的データ

 質的データ→大半はインタビューデータだが、
       数値出来ないデータはすべて扱うことがほとんど。
 
 質的データ
  文字テキスト中心の資料
   ・フィールドノート
   ・インタビュー記録
   ・日誌、日記
   ・社史、人事考課関係記録、議事録
   ・行政文書
   ・雑誌、新聞等記事
   ・小説、詩、エッセイ、手記、伝記
   ・電子メール、ブログ、ウェブ上の記載

  非言語情報が中心の資料
   ・映像記録、映画
   ・写真
   ・絵画、彫刻
   ・楽譜、振付譜
   ・音楽、舞踊、舞踏、演劇等のパフォーマンス
  
 量的データ
  数値情報が中心の資料
   ・国勢調査データ
   ・サーベイデータ
   ・事業所統計
   ・世論調査データ
   ・視聴率データ
   ・事故統計、犯罪統計
   ・企業の財務諸表

▼質的分析の基本的な考え方。
 質的分析は、質的データの文脈的意味の縮約(圧縮)と展開の繰り返しのプロセス。
 これにより、当事者の意味世界と研究者の意味世界の橋渡しするもの。
 →抽象化、概念化していく。

▼質的研究を理解するための入門書
 
 ・質的研究入門―「人間の科学」のための方法論

 ・質的調査法入門―教育における調査法とケース・スタディ


■グラウンデッド・セオリー・アプローチとは

▼GTAとは
 グラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)とは、
 Strauss & Glaser(1969)によって開発された質的研究手法。

 ・様々な種類のデータに基づいて分析し、データから概念を抽出し、
  概念同士の関係づけによって、
  研究領域に密着した理論を生成しようとする方法
 
 ・他の質的研究と違う点は、分析の最終目的が、
  理論の構築にあること。

▼GTAにおける「理論」とは?
 理論とは、規模の大きな、または抽象度の高い現象の構造とプロセスとを把握し、
 ある状況の人がどう捉え、どう反応するか、
 どのような行為/相互行為や出来事が起こるか説明するとともに、
 今後何が起こるかを捉えようとするもの。

 ※KJ法を思い浮かべるとよい。
 
 ・データから複数の概念を抽出し、それを体系的に関係づけた枠組み。
 ・研究目的に沿った、領域限定の”理論” 
   (※自然科学のような一般的な理論ではない。)
 ・現象の”記述”ではなく、事実の”解釈”である
 ・対象の現象に共通する原理的な考え方や理解の構造
 ・人間の行動、他者との相互作用の変化を説明できる“動態的説明理論”
   (※なんで人はこんなことするのか?を分かるように記述する。)

▼3種類のGTA
 GTAには、多くのバリエーションがある。
 一般的にGTAという時は、ストラウス・コービン版のことが多い。

 ・オリジナル版
   Glaser & Strauss(1969)によって考案
   細かい切片化で緻密に分析。方法論が不明確な部分あり。

 ・ストラウス、コービン版
   Strauss & Corbin(1987)によって提案
   データのリッチさで切片化を変化。方法が少し明確に。
   
 ・修正版GTA(M-GTA)
   ストラウス・コービン版GTAを基に、木下によって提案。日本発の方法。
   切片化しない。文脈を含む具体例として扱う。方法が明確。
   (8割が看護の分野での研究)

▼GTAの基本的な分析プロセス

 ・脱文脈化
   1.切片化とラベル付け(オープンコーディング)
   2.カテゴリー化

 ・再文脈化
   3.カテゴリーとカテゴリーの関係の検討(軸足コーディング)
   4.カテゴリー関係の構成(選択コーディング。これが理論になる)
   5.ストーリーラインの執筆

▼GTAの原則

 ・Grounded on Data=データに基づいた分析である。
   (データ=調査で得られたデータなど)
  - 分析は”coding & retrieval”。コードとデータの対応関係を明確にすること。
  - データ及びデータ分析は、次の3つの条件を満たしたものであること。
   ・理論的サンプリングによりシステマティックに収集されたデータであること。
   ・継続的比較分析をすること。
   ・データ収集は、理論的飽和に至るまで行うこと。

 ・生データよりも生成した概念の方が優位である。
  - 分析結果として報告されるグラウンデッド・セオリーは
   データで構成されるのではなく、
   データの解釈から生成した概念を最小単位として構成される。

 ・分析結果は、生成した概念と概念間の関係、
  概念の意味する具体例を示すデータの例示だけで表現する。
  - 度数的な結果表示は成り立たない。
   概念とカテゴリの関係をデータで確認していきながら、
   網羅的に一つのまとまりに仕上げたものが、
   分析結果として提示するグラウンデッド・セオリーである。

▼GTAの理解(1) ”Grounded on data”とは?
 GTAは、調査で得たデータから帰納的にコーディングし、
 ”データそのものに語らせる”ことが基本かつ重視される。

 ※演繹的コーディング(最初に概念などの準備)はやらない。
  得られたデータから抽出する。

▼GTAの理解(2) “Cording & retrieval”とは?
 データを解釈してコード化した時に、
 そのコードの元となったデータにいつでも戻れるようにしておくこと。

 分析の質の確保のために重要。

 ※重要なのは、いつでもデータに戻れるよう分析プロセスを管理すること。
  最近ではソフトを使うこともある。

▼GTAの理解(3) ”理論的サンプリング”とは?
 データ収集とデータ分析を同時かつ交互に実施し、その時点の分析結果から、
 必要と判断される概念を得られそうな対象者を決めて、データ収集を行うこと。

 ※一人のデータを集めたらすぐ分析。それを見てから次のデータを収集。
  一度に調査するのではなく試行錯誤的に実施。(継続的比較分析)

▼GTAの理解(4) ”継続的比較分析(絶えざる比較法)”

 ・コーディング作業段階
  - データ内の比較
   収集したデータの中で比較し、ふさわしいコード・概念かを検討。
  - 新しいデータとの比較
   新たに収集したデータと、これまでのデータを比較し、
   ふさわしいコード、概念かを検討。

 ・理論化作業段階
  - 架空な状況を想像して、データと比較することで、
   理論を検証する。(属人的な方法)

・近い比較:よく似た状況を想定
   ・遠い比較:無関係な状況を想定
   ・裏返し比較:データと反対の状況を想定

   ※架空な状況=似ているが、全く違う状況を考えて、比較する。
    例:患者さんが退院して喜んだ!= 宝くじが当たって喜んだ!

▼GTAの理解(5) 理論的飽和
 作り上げた理論について、新しいデータが出てきても、
 それ以上新しいカテゴリーが出てこず、理論で説明可能である状態。
 理論の完成状態。

 ・理論的飽和の条件
  - すべてのカテゴリーが出そろい飽和に至った状態
   →新しいデータを分析しても、すべて既存のカテゴリで吸収できる。

  - 他のカテゴリやサブカテゴリとの関係性を、
   プロパティとディメンション(カテゴリのバリエーション)によって
   詳細に把握できていること。

  - 大多数の事例だけでなく、少数派の状況も説明できる理論が完成できていること。

▼GTA(6) データより概念の方が優位
 分析の途中では、常にデータをチェックしながら概念(カテゴリー)を抽出するが、
 最終的には抽象化された概念で構成されたグラウンデッド・セオリーが成果となる。

 参考論文:精神障害者に対する就労支援過程における 当事者のニーズと行動の変化に応じた 発達障支害援者技の術就の労開支発援にの関課す題るに研関究す

 ※GTAには生データが乗らず、概念図やストーリーラインが成果物となる。

▼GTAのよくある質問(1)

 ・そもそも”脱文脈化”していいのか?
  - コーディングする前に、スクリプトをよく読み、
   コーディングはその文脈の中で解釈している。
  - 切片化(脱文脈化)し、データ(文脈)と距離を取ることで、
   むしろ発話の意味を多角的に分析できるようになる。

 ・切片化は、スクリプト全部に行うのか?
  - GTAでも流派?があり、それぞれ考え方は異なるが、
   基本的には研究の主眼を置く部分によって、力点を置く部分を中心に行う。

 ・理論的サンプリングは現実的か?
  - GTAは元々フィールドワークを前提にして分析法。
   インタビューが主体だと、現実的でないことがある。
   (c.f. M-GTAは、インタビューデータを前提としている)
  - 現実的でなくても、可能な限り努力することが求められる。

▼GTAのよくある質問(2)
 
 ・そもそも”理論的飽和”なんてあり得るのか?
  - 本当のGTAを正しくやろうとすると、
   理論的飽和を宣言することはほとんどの場合できず、
   必ず限界について言及することになる。
  - 追加した新しいデータが、たまたま既存のものと同じだったという可能性もあり、
   理論的サンプリングを正確にやっていても、なかなか判断できないものが現実。
  - 論文の執筆という、研究者の現実を考えると、”理論的飽和”は分析目標。

 ・大体こんな大変な分析を、専門家じゃない私ができるのか?
  - GTAでも流派?があり、それぞれ考え方は異なるが、
   基本的には研究の焦点によって、力点を置く部分を中心に行う。

  ★もう少し取り組みやすく、分析手続きや考え方が明確なM-GTAを適用して、
   分析することをおススメします。

▼M-GTAとは。
 GTAではあいまいな、データの範囲や分析テーマの設定、理論飽和の判断を、
 研究目的との関連性に基づくこととし、明確な分析手順を定めた。

 制約を定めて、妥当性を高めた = 方法論的限定

 ・オリジナル版で示された基本特性の継承
  (1)理論生成への志向性
  (2)grounded-dateの原則
  (3)経験的実証性(データ化と感覚的理解)
  (4)応用が検証の立場(結果の実践への還元)

 ・オリジナル版の課題点の克服
  (1)コーディング方法の明確化(分析プロセスの明示)
  (2)意味の深い解釈
  (3)フィールドワーク型ではなく、面接型調査(インタビュー)を前提に。

▼GTAとM-GTAの違い

 ・「研究する人間」の視点を重視する。
  ”方法論的限定”:研究者がどう理解するか、ということを重視し、
  研究者側にクリアな問題意識と照らして、コーディングや解釈の妥当性を判断する。

 ・コーディングの方法がGTAと違う:切片化しない。
  M-GTAはコーディングにはこだわらない。
  「研究する人間」の視点に基づき「分析ワークシート」を作成する。
  分析ワークシートは、コーディングしながら、意味を解釈する。

 ★「研究意義を確認された問題意識と、grounded on dateによる分析が一体となり、
   独自の視点から意味付けることで経験的知識の再構成につながる。
   これは、他の研究法と比較しても、
   独自性の高い結果をもたらす」

■HI研究での適用を考える。

 ▼GTAはHI研究でどう使えるか?

  ・安藤先生がHI学会論文誌・研究会で用いた例(1)
   [長期間の製品利用におけるユーザの製品評価プロセスモデルと満足感の構造]
   (ヒューマンインターフェース学会論文誌 2007 Vol.9 No.4)
 
   ・「ユーザが長くものを使う間にどのように評価を行うのか?」を対象に研究
   ・6名13アイテムについてのデプスインタビューを実施。
   ・M-GTAを用いて分析
   ・得られた結果を定量的に検証するために実験を計画し検証。

  ・安藤先生がHI学会論文誌・研究会で用いた例(2)
   [インタラクティブ製品の利用におけるユーザの心理的要因に関する定性的研究]
   (ヒューマンインターフェース学会論文誌 2010 Vol.12 No.4)

   ・インタラクティブな製品を使う際のユーザの利用意欲を構成する要素を分析
   ・10名のデプスインタビューを基にM-GTAで分析。
   ・この後、2つの概念を定量的に測定する尺度を開発。

  ・安藤先生がHI学会論文誌・研究会で用いた例(3)
   [デジタルネイティブ世代の生活価値観とソーシャルメディア]
   (ヒューマンインターフェースシンポジウム2011予稿集)

   ・デジタルネイティブ世代(15歳?25歳)のソーシャルメディアの
    利用を生活価値観の中で位置づける。
   ・6名に対するエスノグラフィー調査、インタビュー
   ・M-GTAによる分析
   ・仮説を定量的に検証するためにWebアンケート調査を実施。

▼これまでのM-GTAを使った研究で感じたこと

 ・HI研究に貢献できるポイント
  - GTAは、本質的なニーズの把握やユーザー行動を深く理解できるため、
   新しいシステムやインタフェースをユーザー指向で、発想するのに役立つ。
  - 従来のHI研究では、システムの評価を得る際、
   かなり思いつきの評価指標を用いていた。
   GTAは、人の行動とその心理的背景を構造的に理解できるので、
   適切な評価指標を作成するのに役立つ。
  
 ・苦手な点、ハードル
  - GTAをやればすぐにHIの評価ができたり、
   開発すべきシステムの仕様が見えるわけではない。
  - GTAによる研究だけでは、論文になりにくい?
   (ユーザー理解は重要な研究なので積極的に取り組んで欲しいが)

■参考文献
 ・データ対話型理論の発見―調査からいかに理論をうみだすか  

 ・グラウンデッド・セオリー・アプローチの実践―質的研究への誘い

 ・ライブ講義M-GTA 実践的質的研究法
修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチのすべて
 

 ・ワードマップ グラウンデッド・セオリー・アプローチ―理論を生みだすまで   

 ・ライブ講義・質的研究とは何か   

 ・質的データ分析法―原理・方法・実践   

 ・定性データ分析入門―QDAソフトウェア・マニュアル   

■質疑応答

・GTAの研究は数ページの論文でまとめられるの? 
 →10ページで書こうとすると大変。
  ただ、こういった方に書いた方が良いよというテンプレがある。

・M-GTAのグローバルでの知名度は?
 →グローバルでの知名度はないので、補足が必要

・GTAを解釈するとき、複数でやったほうがいいのでは?
 →基本的にはスーパーバイザーという人員をつけることが推奨されている。

・理論的飽和を客観的に判断する方法などはあるのか?主観的になってしまうのでは?
 →安藤先生もいろいろ文献を調べた、
  その結果、GTA実施時のカテゴリ発生数をグラフ化して、
  理論的飽和を見える化した。

お昼ご飯

お昼は、一緒に参加した羽山さんとコンセントの長谷川さんと、山口さんと、
産業技術大学院大学の増澤くんと、千葉大の広瀬くんと。

1Fの広いテラスに行ってみたものの、
すでに学生でいっぱいだったため、
別の食堂へ。

ビジネス・エスノグラフィー

イノベーションのための質的研究法
博報堂 田村 大

■Why “ethnography”?
 なぜエスノグラフィーなのか?
 なぜ今質的研究が必要なのか?
 なぜ質的研究が効果的なのか?

■富士通と博報堂で、携帯と連動するショッピングカートを作った
 →想定していたサービスアーキテクチャ(ユビキタスコンピューティング)の
  プロトタイプを作って主婦に使ってもらうと全然、違っていた。
  酷評された。

 ・どこに何があるかなんて、毎日この店に来ているんだから聞かなくてもわかるわよ
 ・それに場所がわからなければ、店の人に聞けばいいでしょ?
 ・買い物に来るときに、いちいちリストなんて作ってないわよ?

 ※そもそもこうあるべきだというアサンプションがくるっていたのでは。
  ということに気がつき、フィールドワークを取り入れることになっていった。

■参与観察
 8人の主婦に参与観察を実施した。

 インフォーマント:主婦8名(30代?50代女性)
 実施時期:2005年8月?9月
 実施場所:ボンラパス百道店周辺

 スーパーマーケットの陳列方法は科学的に決まっていると考えていたが、
 参与観察したところ、8人中0人だった。

 そこで「買い物行動モデル」を作った。
 →三相モデル:三相から成る買い物プロセス(8人中6人に当てはまった。)

 ・Phase-1(計画のある補充)
  replenish-ment w/ plan
  main dish  メインディッシュを考えている。

 ・Phase-2(残りのものをそろえる)
  main dish
  side dish

 ・Phase-3(その他、衝動買いなど)
  replaenish-ment w/o plan
  other(e.g.impulse buy)

 ※上記の内容をふまえて、陳列方法を改善した。

■改善後
 Phase-1は全然使われなかった。
  →Phase-1ではメインディッシュを考えると同時に、
   忘れてはいけない補充の、タスクを平行しているので、
   メインディッシュを考えるよりも、補充を忘れないほうに注意がいっている

  →Phase-3が一番使われていた、その際も、次の日のことを考えている。

★仮説を持って、探索してもこのような結果は見いだせず、
 それが、質的研究の持っているチャンスでは。→イノベーション

■イノベーションとは。
 自分たちが想定していなかった、新しい価値を作り出す。

 問題の群→ニーズ指向
 解の群→技術指向

■Bank of Americaの例

 VISAカード
  2つ口座がついている(普通預金・貯蓄預金)
  買い物を支払いして、そのおつりを貯蓄に回してくれる。
 
  ↓大ヒットした!!

  銀行はお金を増やすサービスは提供していたが、
  貯めるサービスは提供していなかった。
  (貯められない人は銀行の顧客ではなかった・・・)

  ★ニーズ解決でもなく、新技術手動でもない、新しいサービス

  潜在ニーズという言葉はキライ!
  潜在ニーズはない。
  ニーズが明らかになってから、潜在ニーズになるわけで、
  存在しない状態ときに、潜在ニーズと呼ぶのはおかしい。

  自分たちが思いつかなかったことを、
  新しい組み合わせから生み出すことがイノベーション。

■花王との共同研究
 テーマ:「アンチエイジング」
 
▼フィールドワークからの結論:キー・インサイトと機会領域
 エイジング→アイデンティティの変化に対する機制(リアクション)である。
       新しい価値観を見つけて、自分を変える。
 共通心理:何もしなければ世界は狭くなっていく。

 ★ソフィーナのCMでは「-5歳肌」と言っていた。

▼エイジングの捉え方
 ビジネスエスノグラフィによって導かれた加齢モデルと、
 固定概念に基づく加齢モデルの比較

  ・花王のモデルは、-5歳
  ・緩やかに加齢を意識しているのではなく、どこかにターニングポイントがある。

  ★ターニングポイントを見つけて、そこでどんな価値を提供するかを考える、
   新しいマーケティング。

▼idea: ヘアカラーカウンセリング
 その人の実年齢だけでなく「気持ち年齢」を考慮し、
 ふさわしいヘアカラーを提案する。
 オンラインで自分の写真をアップすることでもカウンセリング可能。

 ★自分たちの固定観念を壊したい、
  そのためには身近な人にインタビューしてもダメで、
  エクストリームユーザーにインタビューしないとダメ。

▼”extreme” ユーザーインタビュー
 
 ・なぜ”extreme”ユーザーなのか?
 
 「平均的」なユーザーでは気がつくことができない、
  見過ごされていた機会領域から普遍のアイデアを見出すことができる。
  →固定概念を破壊してほしい。

 文化人類学のフィールドワークと非常に似ている。
 (自分たちの領域外の人から刺激を受ける)

 ・例えばこんな「極端」な人・・・
  ・自分の年齢と離れた役柄で芝居を演じる人
  ・異常にアンチエイジングに努力を重ねる人
  ・家族に長寿の人がいる人
  ・若いのにエイジングを過度に気にしている人。
  ・高齢なのに過度に若い人
  ・歳をとることに前向きな人
  ・更年期障害の人
  ・重大な疾病を患っている人

    ↓
   実年齢から乖離した何らかの要素を持つ人

▼”extreme” ユーザーインタビュー

 (1)実際の糖尿病のインタビュー
  30歳。糖尿病発症後、身体は50歳と診断された。
   ・発病して最初に思ったことは、周囲の人から敬遠されるのではという不安。
   ・病気になって、人間らしい生活をするようになった。
   ・入院を通じ、QOLの意味を本質的に理解できた。
   ・退屈なくらいの毎日が理想。

 (2)更年期障害
  47歳。最近白髪染めを止めた更年期女性
   ・動物的な女性の役割は終わり、社会的に何をすればいいのか
   ・思春期と同じで変化の時期は心も体も不安定、早くおばあちゃんになりたい
   ・ネットでクリームを探す時間を、家族と過ごすことに費やしたい
   ・病気などの困難に面しているときこそ人は育つ。
    無理に隠そう、治そうとするのは変
   ・人生のフェーズによって「年齢相応」は人それぞれ。

 (3)月に10万円以上を化粧品につぎ込む
  30歳。肌の衰えを過度に気にする読者モデル。
   ・スキンケアのプロから肌年齢の衰えを指摘され危機感
   ・疲れていないのに、「疲れてる?」と聞かれた。
   ・人から「変わった」と言われるが自分で効果はわからない
   ・自分の姿を母親に重ね、母親が何歳に見えるのか気になる

 (4)演劇少女
  20歳。38歳の母親役を演じる女子大生
   ・年齢よりも「母親」という役割を意識して演じた。
   ・ベビーシッター先の奥さんが良い年上のロールモデル
   ・年をとることは楽しみ
   ・同じグループや組織だけに頼る人間関係には否定的
   ・プラスの感情はなるべく外に出すようにしている。

 ※エスノグラファーが自分化と対象社会の文化の実在との間の、
  関係性を築き上げる唯一の方法は、
  経験した対照性によってその両者を同時に知ることなのである。
  (対象を知ることにより、自分を知る=インスピレーションリサーチ

■インスピレーションリサーチ
 ・韓国ではトマトは果物です。
 ・日本人はトマトは野菜として認識する。
  トマトを果物として考えたときに、何か新しい発見があるかも。

■Q & A
 ・分析についての方法は。
  →GTA的なアプローチを取る時もあれば、
   雑食的に資料を集めてリサーチすることもある。

 ・N数が少ないことを指摘されるのでは?
  →マーケットバリデーションをしたいわけではない。
   インスピレーションリサーチをしたい。
   評価をするのであれば、別の方法を選択してください。

 ・行動モデルのような分析まではできても、アイデアを考えいるときに、
  ひらめき見たいなものが必要では?
  →すべてのプロセスでひらめきを必要とする、
   むしろ行動モデルが一番ひらめきを必要とした。
  
 ・方法論としてどこを整理すれば初学者としても、
  とっかかりがいいようなものを作れるのか?
  →良い小説を書くのに方法なんてあるか?というのと同じで、
   方法論として根拠がないままで実施していることが多い。

パネルディスカッション

実際に今日の手法で、携帯電話に関する研究を行うとしたら・・・

■秋谷さん
 ・「モバイルコミュニケーション」という文献がすでに存在しているので、やりにくい。

 ・「どのような会話がなされているか」をリサーチする。
   →携帯電話を用いた道案内の分析
    ・場所特定の難しさ
    ・準拠点の設定
    ・指標語理解の難しさ
    ・会話者がお互いに移動しながら話しているという問題

 ・介護施設で、携帯電話がどんな風に使われているか会話分析をする。

 ▼テーマ:
  異なる空間におけるワークの協調的に進めるために、
  携帯電話がどのように使われているか研究する。

  ・フロアでのトイレチェック、バイタルチェック
  ・入浴前のトイレに行かれると面倒なので、
   離れたところにある浴室での入浴介助サービスそれぞれを協調的にすすめるために
   用いられている「携帯電話」を調査する。
   →実際にどのような「やり方」でその携帯電話は使われているか?

 ※基本的にビデオを回す
  ・ケアワーカーさんに無線マイクをつけてもらう。
  ・実際に1ヶ月の内、2週間は付きっきり、
  ・解析等も含めて3ヶ月はかかる。
  ・ラポール形成のためにイベントに参加したり、
   インタビューしたりもする。

■安藤先生

 ▼テーマ:
  デジタルネイティブ世代の生活価値観とソーシャルメディア
  http://www.slideshare.net/masaya0730/ss-9401008

 ※調査仮説の資料
 ※フォトエッセイ後の人工物ウォークスルー後に、
  脳内マップを使って分析した。
 ※M-GTAはインタビューデータが元になるので、
  リッチにインタビューデータを取る必要があるため、
  色々工夫をした。

■田村さん
 ビジネスエスノグラフィで、携帯電話の新たな機会を探ってみた

 ▼テーマ:
  携帯電話→”モバイル(コミュニケーション)”の意味・価値

 ▼プロジェクトのタイムライン

 1.類計研究(1ヶ月)
  ・モバイルに関するフィールドワーク実施(都内近郊・郊外・地方都市)
  ・撮影した写真を用いた類型化(モバイル端末を使っているシーン)
  ・類型ごとの記述を加えたフォトブックの制作
   (写真をたくさん取る:最低1000枚)
  ・フィールドワークの実施設計

 2.”モバイル”のエスノグラフィックインタビュー(3ヶ月)
  ・モバイルに関するフィールドワーク実施(都内近郊・郊外・地方都市)
  ・フィールドノーツの制作
  ・フィールドワーク成果の統合
  ・研究開発視点抽出

 ※インドの例
  →文字を読めない人が電話番号を覚える方法
   親は文字が読めないが、子供が読めるので、
   親が言ったことを子供が携帯で打ったり・・・
 
 3.リサーチ成果の可視化(2ヶ月)
  ・フィールドワーク成果の可視化
  ・研究開発視点の詳細化、可視化
  ・社内展開用情報の編集、制作

まとめ

■田村
フィールドに出ることは意外とおっくう。
だけど、いったん出ると色々な発見がある。
フィールドワークには勘所があるので、
いきなり深い調査をするよりは、
軽くリサーチして行き、勘所を訓練していくことが必要。

■秋谷
フィールドにいる場合は「浸る」ことを主としている。
その場にいる人の言語を身につける。
基本的には自分を信用しない、すぐに分かったことにしない。

■田村
いつも2つの視点で見るようにしている、
 ・批評的に見る(信用しない)
 ・共感的に見る(浸ることで見る)。

■秋谷
工学系の人はデータを繰り返し見ない印象がある。
データの正確性を担保するなら、繰り返し見る事が必要。

質問

Q. 長谷川さん
  エスノメソドロジーの共有の仕方は?

A. 秋谷さん
 エスノメソドロジーではデータの加工を行わないので、
 分析結果を渡せば共有できる。
 加工しないのが、エスノメソドロジストのやり方。