
講師:長谷川敦士さん
1.ダークパターンの構造的課題
■ダークパターンとはなにか
ユーザーを騙し、人々の判断を誤らせるインターフェイス
・欺瞞的カウントダウンタイマー
■OECD Dark Commercial patterns
1. 行為の強制(Forced Action)
2. インターフェース干渉(Interface Interference)
3. 執拗な繰り返し(Nagging)
4. 妨害(Obstruction)
5. こっそり(Sneaking)
6. 社会的証明(Social Proof)
7. 緊急性(Urgency)
■ダークパターンの源流
ダークパターンに至る3つのトレンド
・小売業における欺瞞的な慣行
・公共政策におけるナッジ
・デザインコミュニティでのグロースハック
100円のものに99円の値段をつける:心理的価格付け
(本当にダークパターンかは置いといて)
意図していないダークパターン
■ダークパターンを生み出す構造
デザインの問題ではなく組織の問題
-
ダークパターンを生み出す構造は、「デザイナーの倫理観」に閉じた問題ではなく、
デザインの前段階の意思決定=ビジネスの戦略や方針段階の問題といえる -
ひいては、その組織(企業)の思想の課題ともいえる
-
組織全体でダークパターンを未然に防ぐゴール設定を検討する必要がある
■これからのダークパターン対応
ダークパターン法みたいなこともあってもいい
※米FTC サブスクの「ワンクリック解約」義務化
2.ユーザーをめぐる非対称性
リアルな人間:限定合理性
「合理的な選択」とは
※合理的な人を合理的経済人という
合理的経済人
・自分の嗜好が明確
・好みに矛盾がなく不変
・志向に基づいて、満足が最も大きくなるような選択肢を選ぶことができる
リアルな人間:限定合理性
・嗜好が不明確
・好みがよく変わる
・なにが自分にとって最適なのか十分理解できていない
■ナッジ(行動経済学)と心理学
・曖昧さ回避(Ambiguity effect)
- 見込みがはっきりしないと心地悪く感じる
・アンカリング(Anchoring)
- 始めに見積もった値を基準に考えてしまう
・注意バイアス(Attentional bias)
- 内面の状態によって、周囲の環境への注意のしかたが変わってしまう
・利用可能性カスケード(Availability cascade)
- 間違っている意見でもだんだんと信頼できるものとして広まってしまうこと
・利用可能性ヒューリスティック(Availability heuristic)
- 思い出しやすいできごとほどそれが起こる可能性を高く見積もってしまうこと
■ユーザーをめぐる非対称性
・UXデザインという方法で人を動かしてきた。
・ナッジ:限定合理性を利用して人を動かす
→ダークパターンにもなってきている
- 限定合理性の下で人はヒューリスティクス(経験則)、
認知バイアスを用いて行動を選択する
- 選択肢を工夫することで行動を導くのが選択アーキテクチャ
- 「リバタリアンパターナリズム」について憲法違反であるという議論もある
・UXデザイン+ナッジによってダークパターンが生まれている
・法:あくまで人を合理的経済人として扱う
※法律が守ってくれるはずだが、法律は合理的経済人として扱っている。
※法を理解できない人もいる(PL法やクーリングオフなど)
※悪意がるのは言語道断だが、デザインでコントロールしてしまう。
※リバタリアン(選択の自由)・パターナリズム(親)について憲法違反であるという議論もある
3.デザイン/デザイナーにできること
ところで「クリエイティブ・コモンズ」
コピーライトコントロールとパブリックドメインとの間のグラデーション
・All rights Reserved. すべての権利の主張
・Public domein. 権利放棄、保護期間切
※両極端、不自由。
Some rights reserved.
・作品のクレジットを表示すること
・営利目的で利用しないこと
・元の作品を改変しないこと
・元の作品と同じ組み合わせのCCライセンスで公開すること
CCライセンスのしくみ
・コモンズ証:人間が読むことができる証書
・ライセンス:弁護士が読むことができる証書
・メタデータ:コンピュータが読むことができるコード
問題提起:人間が理解しやすいアイコンなどの表現?サイン?:
【なにか】
ブラウザなどで解釈できるコード
■Human-readableであることを考える
ダークパターンに対してのアプローチ
・まずは課題がある対象を探りたい
・例えばECであれば、やりとりのパターン抽出
→ モデル化は可能か?意味があるのか?
- 価格、返品可否、送料、到着までの日数、etc.
■まとめ
人の理解に寄り添ったデザインの可能性
※ダークパターン的なデザインを先どって教えてあげる
※できない人に寄り添ってあげるデザイン
※業界スタンダードをつくればいい

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