
UXデザインの手法:詳細解説
本書は、UX初学者にとっては難しい内容を含むものの、UXデザインのバイブルとして持っておくべき一冊と言えるでしょう。本書では、利用文脈の把握からプロトタイピングまで、幅広い段階にわたる具体的な方法を体系的に解説しています。以下に、各手法の概要、実施手順、効果について詳述します。
① 利用文脈とユーザー体験の把握
1. エスノグラフィ
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概要: フィールドワークを通じて、ユーザーの生活や行動を観察し、利用文脈を深く理解する手法。
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実施手順:
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観察対象を設定し、現場に入り込む。
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ユーザーの行動を観察・記録。
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ユーザーにインタビューを実施し、行動の背景を確認。
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収集したデータを分析し、行動パターンやニーズを抽出。
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効果: 潜在的なニーズやユーザーが意識していない行動の背景を発見できる。
2. 観察法
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概要: ユーザーが製品やサービスを使用している場面を直接観察する手法。
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実施手順:
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観察対象、目的、シナリオを計画。
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実際の使用状況を観察し、行動や感情を記録。
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観察結果を基に課題や改善点を抽出。
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効果: ユーザーが口に出さない課題や行動パターンを把握できる。
3. コンテクスチュアル・インクワイアリー(文脈的調査)
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概要: ユーザーの日常的な作業環境を観察しながらインタビューを行い、行動や意図を深く掘り下げる手法。
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実施手順:
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ユーザーが作業している現場で調査を開始。
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質問を交えながら観察し、背景や文脈を掘り下げる。
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観察とインタビューのデータを統合し、モデル化。
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効果: ユーザーの行動に潜む文脈や意図を深く理解できる。
② ユーザー体験のモデル化と体験価値の探索
1. ペルソナ法
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概要: 典型的なユーザー像を作り出し、デザインの方向性を明確にする手法。
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実施手順:
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調査データを基にユーザー群を分類。
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代表的なユーザー属性を抽出し、仮想ユーザー(ペルソナ)を設定。
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ペルソナに名前や年齢、行動、価値観などを付加し、詳細なプロフィールを作成。
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デザインプロセスでペルソナを基に議論や検討を行う。
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効果: デザインチーム内でユーザー像を共有しやすくなり、デザインの焦点が明確になる。
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注意点: ペルソナ法は調査データの分析と構築に手間がかかる高度な手法であり、適切なデータ収集が前提となる。
2. ジャーニーマップ
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概要: ユーザーが製品やサービスを利用する際の行動や感情をステージごとに整理し、体験全体を可視化する手法。
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実施手順:
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ユーザーの行動を時系列で整理(認知、購入、使用、フィードバックなど)。
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各ステージでのタッチポイント、行動、感情を記録。
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ユーザーの課題やニーズを抽出し、改善点を特定。
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効果: ユーザー体験全体を把握し、改善の優先順位を設定しやすくなる。
3. KA法
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概要: ユーザーの意見をカード化し、それを分類・整理して分析する手法。
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実施手順:
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ユーザー調査データをカード化。
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関連性に基づきカードをグループ化。
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グループ間の関係性を可視化し、テーマを抽出。
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効果: 複雑なユーザーの意見を整理し、設計の指針となる洞察を得られる。
③ アイデア発想とコンセプトの作成
1. UXDコンセプトシート
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概要: ユーザーの目標や体験価値を明確にし、製品やサービスの方向性を定義する手法。
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実施手順:
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調査結果からユーザーの目標やニーズを抽出。
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提供する体験価値を定義し、具体的に記述。
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コンセプトシートとしてまとめ、デザインの指針とする。
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効果: プロジェクト全体の方向性を共有しやすくなる。
2. 構造化シナリオ法
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概要: ユーザーの行動を時系列で整理し、現在の課題と理想的な体験を比較する手法。
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実施手順:
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現在のシナリオを整理。
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理想的なシナリオを設計。
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両者を比較し、課題や改善点を特定。
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効果: 現状と理想の差異を明確化し、具体的な改善案を設計できる。
④ プロトタイプの反復
1. プロトタイピング
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概要: 試作品を作成し、ユーザーに試してもらうことでフィードバックを収集し、改善を繰り返す手法。
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実施手順:
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簡易なプロトタイプ(ペーパー版やワイヤーフレームなど)を作成。
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ユーザーに使用してもらい、反応を観察。
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フィードバックを基に修正し、再度テストを実施。
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効果: 初期段階で課題を発見でき、開発コストを抑えながら完成度を高められる。
雑感
難しいですねー。
UXデザインのどこから入ればいいか難しくなってしまいます、
個人的にはユーザーテストかインタビューかなーと思います。



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