
はじめに
現代では、インターネットが生活の一部となり、サービス選びが容易になったことから、消費者に選ばれ続けるサービスを提供するためには、単なる機能ではなく「体験」を重視した提供が求められるようになっています。この流れに対応するため、UI/UXデザインは企業にとって新たな競争力の源となると筆者は考えています。特に、テクノロジーの進化とライフスタイルの多様化によって、消費者が求める価値が「機能」から「体験」にシフトしていることが背景にあります。
事例紹介
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株式会社ウエディングパーク
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結婚式関連のサービスを提供しているウエディングパークは、UI/UXデザインの改善を重ねながら、競争の激しい市場で成長を実現しました。特に、全社員がUI/UXを担当するフェーズに進み、ユーザー視点を徹底的に共有したことが成功の鍵でした。これにより、ユーザー体験の向上が促進され、サービスの競争力を高めました。
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freee株式会社
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freeeは、創業初期からUXデザインを重視しており、ユーザー体験を共通の指標としてサービスを設計してきました。特に、ユーザーテストを行い、実際のユーザーのニーズに基づいてUI/UXデザインを改善し、ユーザーにとって「真の価値」を提供しています。これにより、ユーザーの仕事を効率的に改善するサービスを提供し、利用者の信頼を獲得しています。
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UI/UXデザインの原則と法則
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原則1: ユーザー心理/行動を捉える
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ユーザーの心の中にある「見えないニーズ」を読み解き、それをどのように体験に変換するかがUI/UXデザインの第一歩です。例えば、ユーザーがサービスを使用する際にどんなことを考え、感じているのかを把握することが重要です。これを理解するためにはユーザーテストを活用することが効果的です。
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さらに、定量的なデータだけではユーザーの深層的なニーズをつかむことは難しく、定性的な分析が不可欠です。ユーザーインタビューや行動観察を通じて、隠れたニーズを明らかにすることが求められます。
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原則2: どう改善するか
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ユーザーの心理と行動を基に、具体的なUI/UX改善を行う方法について説明しています。例えば、ユーザーが期待通りに動かない理由を理解し、情報の組み立てやデザインをユーザー視点で考えることが大切です。重要な情報は目立たせ、ユーザーが直感的に理解できるように配置することが求められます。
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初期体験や信頼性の演出が特に重要で、ユーザーが最初に接する部分では不安を取り除くために、詳細な説明やサポート情報を提供する必要があります。
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原則3: 体制とプロセスの重要性
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UI/UXデザインは単なるデザイン業務ではなく、企業全体の組織や体制にも関わる重要な要素です。ユーザー視点を全社員が持つことが、サービス成功のカギとなります。特に、UI/UXデザインの責任者を明確にし、評価基準を均一化することが推奨されています。
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また、改善のループにおいては、開発の早い段階でユーザーテストを行い、問題点を早期に発見することが重要です。
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原則4: ビジネスをデザインする
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UI/UXデザインは、単なるユーザーの体験を向上させるだけでなく、ビジネス全体の価値を高める手段でもあります。カスタマージャーニー全体でUI/UXデザインを考えることが求められます。特に、今後は音声UIなどの新しい技術を取り入れたデザインの可能性にも触れています。
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ユーザーテストの実施と重要性
ユーザーテストは、サービスを改善するための最も効果的な手法です。ユーザーの潜在的なニーズを理解するためには、実際にユーザーにサービスを使ってもらい、その思考や感情を言語化してもらうことが重要です。ユーザーの発言を鵜呑みにせず、その背景にある価値観や理由を深掘りすることが成功に繋がります。
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ユーザーテストの準備として、テストの目的を明確にし、対象となるユーザーを選定し、シナリオを作成することが重要です。シナリオ作成においては、ユーザーの自然な行動を促すようにタスクを設計し、ユーザーが自発的にサービスを使う状況を作り出すことが求められます。
情報設計とビジュアルデザイン
UI/UXデザインの成功には、情報設計とビジュアルデザインのバランスが重要です。情報設計では、ユーザーがどのような情報をどのタイミングで必要とするのかを整理し、その情報を直感的にわかりやすい形で提供する必要があります。
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ビジュアルデザインでは、ユーザーの心理を意識して、目立つべき情報は目立たせ、ユーザーが迷わず行動できるようにデザインすることが求められます。
まとめ
UI/UXデザインは単なる外観のデザインではなく、ユーザーの体験全体を考慮してサービスを構築する重要な要素です。ユーザーの潜在ニーズを理解し、UI/UXデザインを通じてそれを体験として提供することで、企業はユーザーに選ばれるサービスを提供し、競争力を高めることができます。
所感
事例も豊富で、
近年のUXの書籍ではとてもよい内容でした。



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