[書評] UX実践者のためのプロダクトマネジメント入門──UXデザイナーはPMになれるのか？ 2025年02月06日

1. 著者紹介
2. 本の紹介
3. 感想と主張
4. 要約を簡単に
5. 初心者向けの問題提起
6. 重要なポイント
7. まとめ

1. 著者紹介

本書の著者であるクリスチャン・クラムリッシュは、UXデザイナーからプロダクトマネージャーへと転身した経験を持つ専門家だ。彼はこれまでにYahoo!などの大手企業で活躍し、UXとプロダクトマネジメントの橋渡しをする形でキャリアを築いてきた。本書は、その彼が自身の経験をもとに、UXデザイナーがどのようにプロダクトマネジメントの世界で成功できるのかを解説した一冊である。

2. 本の紹介

「UX実践者のためのプロダクトマネジメント入門」は、UXデザイナーがプロダクトマネージャー（PM）としての役割を理解し、キャリアチェンジを考えるための実践的なガイドブックだ。本書は、以下のような読者を対象にしている。

プロダクトマネジメントに興味のあるUXデザイナー
プロダクトマネージャーの役割を理解したいUXチームのメンバー
UXの視点を取り入れたプロダクト開発をしたいPMやリーダー

本書では、プロダクトマネージャーの役割、必要なスキル、PMとUXの共通点と違い、エンジニアやビジネスサイドとの関係性、さらにはキャリア転身のプロセスまで詳しく解説している。

3. 感想と主張

UXデザイナーとして本書を読んで感じたのは、「UXとプロダクトマネジメントは対立するものではなく、相互に補完し合う関係である」という点だ。

UXデザイナーはユーザーの課題を解決することに重きを置き、ユーザビリティや体験の質を向上させる役割を担う。一方、PMはビジネスの成功を考え、プロダクト全体の戦略を設計する。しかし、現実には「ユーザーのために良いプロダクトを作る」ことが最終目標である以上、両者の目的は大きく変わらない。

ただし、UXデザイナーがPMに転身するには、次のような大きな壁があると感じた。

デザインとビジネスの視点の違い
UXデザイナーはユーザー視点が強く、ビジネスの視点を持つことが苦手な場合が多い。しかし、PMは売上や市場競争、コストなども考慮する必要がある。
意思決定の責任
UXデザイナーはプロダクトの一部分に責任を持つが、PMは最終的な意思決定者としてプロダクト全体に責任を持つ。これはプレッシャーの大きい仕事だ。
エンジニアとの関係性
UXデザイナーはデザインを作成し、それをエンジニアに渡して実装を依頼することが多い。しかし、PMはエンジニアと深く協力し、技術的な判断にも関与する必要がある。

このように、UXからPMへの転身には多くの課題があるものの、UXデザイナーが持つユーザー理解のスキルはPMにとって大きな強みになる。本書を読むことで、「UXデザイナーがPMとして成功するために何を学ぶべきか」が明確に分かった。

4. 要約を簡単に

本書のポイントを簡単にまとめると、以下のようになる。

PMの役割とは？
→ プロダクトの価値を最大化すること（ユーザーとビジネスのバランスを取る）
UXとPMの違いは？
→ UXはユーザー体験に特化、PMはプロダクト全体の戦略を考える
UXデザイナーがPMになるために必要なスキル
→ ビジネス視点、意思決定力、エンジニアとの協働スキル
UXデザイナーがPMになったときの利点
→ ユーザー中心のプロダクト開発ができる
キャリア転身のための準備
→ まずは小さなプロジェクトでPM的な役割を経験することが重要

5. 初心者向けの問題提起

UXデザイナーがPMを目指す上で、次のような問いを考えてみるとよいだろう。

UXデザイナーとしての自分の強みは、PMとしてどう活かせるか？
ビジネス視点を学ぶために何をすべきか？
今の仕事の中で、PMの視点を持って考えられる部分はないか？

特に、PMは数字やデータを扱うことが多いため、UXリサーチのデータを戦略的に活用する練習をするのも良い方法だ。

6. 重要なポイント

本書の中で特に重要だと感じたポイントを挙げる。

プロダクトマネージャーは「価値」に責任を持つ職種である
→ 価値とは、ユーザーの課題を解決し、ビジネスとしても成り立つもの
UXとPMのスキルセットは大きく異なるが、UXのスキルはPMにも応用できる
→ UXリサーチやデザイン思考はPMの意思決定に役立つ
プロダクトマネジメントには「戦略的思考」「データ活用」「ステークホルダーとの交渉」が必要
→ UXデザイナーはこの部分を意識的に学ぶべき
「デザインをすること」と「プロダクトを作ること」は別物
→ UXデザイナーは「デザインを良くする」ことにフォーカスしがちだが、PMは「ビジネスとして成功させる」ことを考えなければならない