企画展示のあとは、
同じ部屋で、講演会。
「ラピッドエスノグラフィーの実践」
櫛勝彦(京都工芸繊維大学)
▼エスノグラフィー
・質的調査
・参与観察/インタビュー/文字記録書類
・定性的コーディング/脱文脈化と再文脈化
・民俗誌としての記述
▼ラピッド・エスノグラフィー
→できるだけ簡単にビジネスに応用
・質的調査
・観察/インタビュー(参与観察は実際の開発現場では難しい)
・定性的クリッピング/問題構造の視覚化
(共有のために画像を中心として作業を進めるのがクリッピング)
・デザインテーマと解決指針の生成
●エスノグラフィーにおける作業
佐藤郁哉氏
参考:フィールドワークと質的データ分析
●ラピッド・エスノグラフィーにおける作業
シーケンシャルな作業にはなるが、繰り返しは必要項目として残しておく。
▼なぜラピッドエスノグラフィーなのか?
・経済価値のシフト
物→サービス→経験
※生活の中で、どんな意味を提供できるのか。
・従来アプローチの限界
バグ探し/仮説検証型手法だけに頼れない発見、定義段階
二次的な情報になりがちなデータ(開発者・デザイナーには分かりにくい)
・改善からリフレーミングへの意識変化
現象の背景的・文脈的理解の必要性→「図と地」の関係
例:
・紙おむつ
→P&Gのパンパースが有名だが、アメリカのキンバリー・クラークは
エスノグラフィーを実施し、シェアを逆転した。
・バリミーダの扇風機
→風の質を変えてしまった)
・時間的制約とコミュニケーション性
学問的厳密さよりも、誰もが行える容易性
個人的主観から集団的主観へのシェア環境
▼リフレーミング
人間の自然な志向の流れ(毎日のリフレーミング)
→対象(図式の修正)→図式(活動の方向づけ)→探索(情報の抽出)
▼デザイナーの2つの閃き
問題を自分の言葉で置き換えて再定義できるか?
アナロジーの発見(閃き)
※アナロジーに注目しがちだが、再定義も大事。
▼ビデオによる方法
短期間で情報を多く集めるためには有効な方法。
1.観察
観察対象の生活文脈を捉える豊かな情報量
繰り返し見直すことによる豊富な発見機会
高いコミュニケーション能力。
※衛生上の問題や、機密情報の問題で、現場に入れない場合にも有効。
2.分析
現場に行っていない人も含めて、ディスカッションしながらクリッピングする。
ビデオを編集して、タイトルをつける
タイトル付けは大事
3.共有
4.構造化
KJ法などで。
5.再分析
ビデオクリップマトリックス
→カテゴリ名をつけることが重要。
6.情報の視覚化
→共有しやすいように、グラフィック化する。
7.デザインテーマ
構造化の際に、共有・合意形成しながら進めているのである程度妥当性はあるが、
新しい考察が掛けてしまう場合があるので、
4つの発見から整理、分析していく。
8.概念モデル
9.アイデア生成
モックアップ作成
例1:ベネッセの事例
例2:堀場製作所
ペーハーメーター
▼主観性と妥当性
柔軟かつ理論的な観察対象選定
非観察者が参加したビデオ分析
ステークホルダーの参加したカードゲーム
個別事例と全体の整合性
▼4で深まる解釈
考えのまとまりやすさ(起承転結?)
意味の伝えやすさ(4コママンガ?)
▼photobento
Androidのアプリ
4人1組で写真を共有。
4つの写真から、何かが想像できる?
「観察からのアプローチの実践」
安藤昌也(千葉工業大学)
▼応用エスノグラフィによる、コンセプト開発の自薦
▼エスノグラフィ(民族誌学)とは?
エスノグラフィとは、フィールドワークに基づいて人間社会の現象のあり方や
意味を表現する研究法の一つ。
最近では、ビジネスでの応用が拡大。
不確実性の高いビジネス環境において、
機会探索・仮説発見型のアプローチとして高評価
※現在のエスノグラフィは、民族研究のエスノグラフィを応用している。
▼応用エスノグラフィの2つの領域
応用エスノグラフィの領域には2つある。
考え方は同じだが、目的が違うと調査の観点が異なってくる点に注意。
(1)主に商品やコンセプトの開発が目的
・生活の中でどんなニーズがあるのか。
・普段の生活でどんなことを行っているのか。
どんな商品なら受けいられそうか。
(企業例:博報堂イノベーションラボ、インフィールドデザイン)
(2)主に改善や最適化が目的。
・現場の作法や方法論に製品を適合させる
・作業方法などを最適化、効率化したものに改善させる。
(企業例:富士通フィールドイノベーション、大阪ガス行動観察研究所)
※今回はコンセプト開発。
▼ユーザモデリングの3階層
・どのようなユーザ調査も、デザインを生み出すには、
以下の3つの階層で、ユーザをモデリングする必要がある。
属性層(ペルソナ)
↓コンテキスト
行為層
↓新しい行為→デザイン
価値層
※潜在的ニーズを生み出すような行為をデザインする。
価値から行為を考える。
※普段、コンテクストという場合は、
属性層と行為層の間をコンテクストとして観ている。
応用エスノグラフィではそれを「脱文脈化」して、
着目する価値から新しい行為を観る=デザイン
▼エスノグラフィによる製品開発の全体像〜企業での事例
・調査
調査の実施(エスノグラフィ調査)
分析(KA法・グルーピング・潜在ニーズ分析)
結果読み込み(方向性の検討)
・機会探索
シーズ/ビジネス要因分析(技術棚卸WS・SWOT分析)
機会の検討(基本コンセプト)
アイデア開発(製品アイデア)
受容性評価(アンケート調査)
・試作・開発
プロトタイプ製作/評価(フォトボーディング・プロトタイプ)
製品仕様の完成
↓
開発フェーズ
▼エスノグラフィによるコンセプト開発の概要
・調査
生活の中にある対象とするモノや行為を調べる
・解釈
モノや行為から生活の意味=生活価値を解釈する
・転換
生活価値に沿った新たな切り口のモノやサービスのあり方を検討
▼エスノグラフィ調査の計画
少人数でも妥当性のある分析結果を得る為にエスノグラフィを2回に分けて実施する。
1回目は、平均的なユーザ、2回目はエクストリームユーザとする。
※フォーマット化を進めている。
・1回目 一般ユーザ調査
想定される一般ユーザを対象、但し、ある程度の幅(層)を想定
一度分析を実施
↓
一般ユーザによる仮モデル
・2回目 エクストリーム調査
既存製品の利用法が極端なユーザを対象
仮モデルに当てはめ、仮モデルの妥当性を検討
↓
広いユーザーに共通する価値モデル
▼価値分析法(KA法)
KA法は、調査結果それぞれの「事実の背後にある”ユーザーにとっての価値”」を抽出。
▼分析の詳細プロセス
調査結果から個別の価値を抽出し、ニーズの構造化を行う。
・調査の実施
(観察でのきづき・発話書きおこし)
↓
・分析
KA法分析
(要点を抜き出し分析・分析結果をカード化)
価値のグルーピング
(類似カードグループに命名・グループのまとまりにも大分類名を命名)
潜在的ニーズ分析
(潜在的ニーズ分類法に基づいて構造化)
▼ニーズ構造モデル
本質的ニーズ→顕在化ニーズ→潜在的ニーズ
▼深沢直人とWithout thought
→聞いちゃダメ
深沢さんもインタビューはしているが、
直接は聞かないで、周りを観察してから、
「観て」いる
▼観察とインタビューの相補関係
観察とインタビューは相補の関係にある。繰り返し行うことで深い理解につながる
→見れば見るほど見えてくる。
・外から観る
(観察法・エクスカーション・キャプション法)
↓見えてくる・見えたものの意味を確かめる
・内から観る
(インタビュー・フォトエッセイ・脳内マップ)
↓(意味がわかる・その意味の行為を探す)
この繰り返し
▼インタビューでユーザー深層に迫る技法
人は質問だけで心の奥底まで開示することは難しい。
臨床心理的技法(描画両方等)を活用しながらインタビューすると、
比較的短時間に聞き出すことができる。
・脳内マップ
フォトダイアリーを使ったインタビューを実施した後、
現在の生活で意識していることを丸の大きさで表現してもらう。
その際、理由を話ながら行ってもらう。
・利用年表共作法
時系列に過去の出来事を尋ね、製品の利用年表を作成しながら、
行動と評価との関係を詳細に把握するデプスインタビュー。
▼エスノグラフィの共通価値からペルソナ毎の価値へ。
エスノグラフィではユーザに共通する価値に基づくコンセプトを検討した。
次に必要なアクションは、セグメントごとに優先すべき事柄や需要性を判断すること。
「シャープにおけるUIデザインへのアプローチ」
倉持淳子(シャープ)
▼自己紹介
ビジョン提案型アプローチを実現している。
プロダクトデザイン:150名のデザイナー
▼HCDアプローチ
→開発者はユーザーではない。(一度見ているので)
▼Human Centerd Design?
▼事例
・ヘルシオ
ボタンのUI→お決まりのコスト優先で安いボタンの方を使いたいという意見。
それを検証するためラピッド・プロトタイピングし、
高い部品の方が良いという結論を出した。
毎機種毎機種、テストを繰り返して、改善している。
台所でどうやって使われているかも観察した。
・インテリアフォン
デジタルフォトフレームに電話機が付いている。
→使い勝手の改善というよりは、ユーザーの暮らしぶりを知り、
どういう製品を作っていけばいいか、コンセプトを考えた。
・FAXはほとんど利用されなくなり、市場は縮小されている、
固定電話がない家も増えつつある。
・所帯を持つと連絡用に固定電話を設置する人もいるので、
そうゆう人たちにどういった製品を提供できるか考えた。
・プロトタイプを2案ほど作ったが、家の電話の利用頻度は
日に1〜2度しか使わないので、使ってないときの機能を優先させた。
↓
【リビングに飾る電話機】
(フォトフレーム機能を重視) →一定のジャンルを確立できた。
・フリースタイル AQUOS
ユーザーに使ってみたいと感じさせる物作りをしたい!(使用の動機付け)
持ち運びができるアクオス
次の世代のテレビはどうなるか?
今後はスマートテレビも視野に。(インターネットや電子書籍も)
→家具に合わせた薄型のデザイン。空間を自由に使えるデザイン。
・プロトタイプを作り、ユーザーの家に置かせてもらいながらインタビュー。
リモコンもジョグダイヤル式の手の中に収まるものを提案
↓
次世代のテレビのデザインを提案。
▼Kickers
→使用を動機ずける要因
HCDによる改善だけでは企業のモチベーションを保つのは難しい、
新しい魅力につながる商品開発をしていきたい。
使いやすい+ワクワクする。
「ゼロックスにおける観察の事例」
戸崎幹夫(富士ゼロックス)
▼HCD活動の背景
●技術中心から人中心のデザイン
・単なる技術の革新だけではなく、お客様のエクスペリエンスのイノベーションが必要。
・仮説を検証するのではなく、ユーザーのコンテキストを理解して、新しい仮説/発見が必要。
●「人」の視点からの技術開発・製品開発 - 改善ではなく、改革アプローチ
・人のエクスペリンスを中心として、それを支える活動環境、そこでの他の人、
情報、人工物との「関わり合い」に着目して考えていく。
・「人間への適切さ」という観点から、柔軟なシナリオ/ストーリー、
また、それを支える人工物のあり方、機能、大きさ、重さ、手触り、素材感。
「機能はどんどん増やせるし、いくらでも小さく軽くできるか?」
▼アプローチ
「人」を中心とした設計
・人は、自分の活動環境に存在する様々な道具や情報を、
活動資源(リソース)として利用し、
自らの活動を、状況に応じて創り出していく、という視点。
・人の活動を中心として、それを支える環境、そこでの人、道具、
情報との「関わり合い」に着目して、
その人の「やり方」や、コンテクストの理解をしていく。
・「人への適切さ」という観点から、新しいエクスペリエンスを提供する
シナリオ/ストーリー、
またそれを支えるサービスや道具、情報のあり方を探る。
※ユーザーの活動時空間における、様々なリソースとのインタラクションを通じて、
ユーザー体験(エクスペリエンス)が形成される。
時空間に広がるインタラクションとユーザー体験との関係を捉える必要がある。
▼HCDプロセス
人の活動の観察に基づいて、そのコンテクストを理解し、課題/ニーズを発見。
多様な職種の参加により、提供すべきエクスペリエンスを、
クイックなプロトタイピングと評価の繰り返しを通じて、段階的に明確にしつつ、
同時に顕在的な要求の把握、必要な技術の抽出も深めていくスパイラル型のプロセス。
▼コンテクストの理解とエスノグラフィー
テクノロジーをデザインするには、それが使われるコンテクストを理解することが重要。
コンテクストの理解のために、エスノグラフィーの考え方、手法が応用できる。
●エスノグラフィー(民俗誌学)
異文化の人々の生活を、現地の人々の視点から理解することを通じて、
文化を記述するための手法。
元々は、文化人類学者、人類学者が、異文化の研究をしていた。
1920年ごろから、現在の都市生活を研究する手法として社会学でも用いられるようになる。
1980年代から、ワークとテクノロジーの研究に使われるようになり
(「XEROX PARC」など)、
1980年代から、デザインファーム(IDEO、ZIBA、etc)、
Philips、Intel、Nokia、HPなどが、
研究や商品企画、商品開発に本格的に導入し始めた。
・目的は、文化を、その文化の人々が見るように理解すること。
その人たちの視点を得る。
・人々の仕事や生活において暗黙となっている現実や、
無意識的な部分まで引き出す。
・人々の活動の現場で、観察、インタビュー、ワークショップなどを行う。
・実際にその現実を知るため、自分流で現場の活動をする。
▼観察からデザインアイデア創出までのながれ。
具体的な事実をベースにしながら、表面的な事実にそのまま対応するような
対症療法的な解を出すのではなく、事実の背景にあるコンテクストを深く理解し、
人の価値観やユーザー自身も気づいていないような本質的な課題にまで迫り、
それを解決する新しい活動の「やり方」、
新しいエクスペリエンスを探る。
・観察(Observation)
・観察結果の共有、気づき(Strories and Findings)
・洞察(Insights)
・Frameworks
・Provocations(How might we?)
・アイデア
・プロトタイピング
・コンセプト
・オファーリング
▼研究/開発している手法
1.観察+インタビュー
人の活動する実際の現場、環境での観察。人の活動と、その活動を成立させている環境、
道具、情報等のテクノロジーの関係を観察する。
参与観察、定点観察、シャドウイングなどを、目的に応じて組み合わせ、
その場でのコンテクスチャル・インタビューや、振り返りインタビューなどを行う。
2.オンサイトインタビュー
ユーザー自身によるセルフフォトグラフィー、ダイアリーなどをもとに、
ユーザーの現場でオンサイトインタビューを実施。
ダイアリーの内容や、その場にある道具や書類も参照しながら、
ユーザーの視点、価値観、潜在ニーズを探る。
(一方的なインタビューではなく、仮説発見につなげる)
※普段使っているモノをみせてもらったりもする(バック・ノート)
3.ワーク再現+プロトタイピング
そこから、ワーク再現、将来シーンの演技によって、
ユーザーや関係者をデザインプロセスに巻き込んでいく。
実際の使用環境で、簡単なモックアップを使って即興的な演技をすること、
またそれを写真に撮ること(シーンフォト)によって、将来のシーンを可視化する。
4.即興的プロトタイピング(クイック&ダーティープロトタイピング)
身の回りの道具や、簡単なペーパーモックアップを使いながら、
新しいエクスペリエンスと、それを支えるサービスや道具のコンセプトを
その場でカタチにして検討する。
5.再びユーザーの現場へ。
簡易プロトタイピングを人の活動する現場に持ち込み、観察やインタビューを実施。
単なる検証のためでなく、現場にプロトタイピングを持ち込むことで、
より深くユーザーとそのコンテクストを理解し、さらなる仮説発見のきっかけとなる。
▼プロジェクト事例
人とドキュメントの未来のデザイン
http://www.fujixerox.co.jp/company/technical/design/
オフィスワークを対象として、数年後のワークスタイル、ワークプレイスのあり方、
支援する道具や環境のあり方を描くことを目的とした活動。
→身近なモノのプロトタイピング(2つのサイクル)
▼1stサイクル:ユーザー参加のよるワークプレイス調査
現在の社内ワーカーを対象にしたエスノグラフィックリサーチ
- 「セルフフォト」手法の活用
・ユーザーの活動環境や活動内容、関係する人や道具、情報などの記録/収集に、
ユーザー自身の参加を得る。
・調査対象となったメンバーが、自分自身の活動をデジタルカメラとメモにより
観察記録。
・朝起きてから寝るまでの間で、活動する場所、相手、目的、内容、
使用する道具や文書などに変化があったタイミングで、写真を撮影。
日記のようにメモを記録。
・共同ワークセッションによる、共同での理解。
▼1stサイクル:シーンフォトによる未来の活動の可視化
演技によるプロトタイピングを通じて、将来のエクスペリエンスの仮説を可視化。
・セルフフォト帖佐から得られた特徴的なシーンを数種類ピックアップし、
シーンをマップ化。
・個々のシーンについて、ユーザーの活動のラフなシナリオを作成し、
そのシーンにおける将来の活動のあり方について、
スキット(寸劇)によるアイデア展開を実施。
▼アプローチ
ドキュメントワークには無意識の行為が多く含まれている
↓
過去の経験や顕在化した課題をもとにしたアプローチでは不十分
↓
ドキュメントワークの現場を観察し、
そこで得た気づきをもとに体験的に考察を深める。
▼2ndサイクル:プロセス概要
1.ワーク再現と観察(共同による分散・集約)
2.スキットによるインタラクション検討
3.即興プロトタイピング(紙やスチレンボード)
4.インタラクション検討/プロトタイピング(より製品に近いもの)
5.プロトタイプを使った検証
▼2ndサイクル:スキット(寸劇)
行為の文脈を理解した上で理想的な作法や技術を想像し、身体を使って演じる。
→技術的制約から離れ、実際の状況で演技することで、より本質的な要求、
自然な作法を抽出する。
▼今後の課題
□ユーザーを観察し、人と人をつなぐための場づくり
・デザイナー、技術研究者、ユーザーが、デザイン活動の中で、
わかりやすく触りやすい形で情報を共有するための媒介物として、
観察/インタビュー活動、プロトタイピング活動で生成されるデザイン情報を可視化する
(協業活動の共通言語、基盤言語としての役割)
・効果的にデザイン情報を可視化し共有することで、
デザイン活動でのコミュニケーションを活性化し、
よりユーザーの潜在ニーズに迫った本質的なデザイン活動を、
コラボレーションによって実現する。
□活動のポイント
・観察を基点にして、ラフなプロトタイプの作成と評価を繰り返すことを通じて、
Context of Useやユーザー要求を徐々に明確化し、
プロダクト/サービスの位置づけを明確にしてくことができる。
・言葉やフケッチだけで考えるよりも、実際に手で触れて、
身体を動かしてみることで、人の思いを引き出し、
環境や行為の中に顕在した、顕在する要求の発見や、アイデア生成に繋がる。
・プロトタイプを共同で作ることで、デザイナー/技術者間で、
実現する価値やエクスペリエンスのイメージを共有し、
モノやサービスのカタチを考えていくことができる。
「観察手法と分析手法へのアプローチ」
山崎和彦(千葉工業大学)
▼授業での活用
フォトエッセイ、フォトダイアリーからの気づき。
▼シャドーイングによる観察の事例
モバイルは観察や難しいのでシャドーイングが有効。
シャドーイングを使用したビデオカメラの調査の流れ
・調査の説明
・アンケートの実施
・ビデオカメラを使用し被験者が写真を撮影する状況を記録
・後日インタビューを実施。
・お礼
▼日記法による観察の事例
日記法によるシニア層の携帯電話の使い方の調査
使用する日記用紙を工夫した。
▼文化性を考慮した観察の事例
文化性を考慮した家具のデザイン提案のために、
文化性を考慮したユーザ調査方法を検討
→文化性を視野に入れた調査方法を検討するためにContextual Designの
4つのワークモデルによる観察および分析を基本とした。
観察調査とインタビュー調査で集めたユーザ行動データに適切な解釈を与え、
ユーザ行動を構造的に可視化する。
・シークエンスモデル
・人工物モデル
・文化モデル
・物理モデル
予備調査の結果では、観察調査より、文化と生活の関わりを調べようとしたが、
観察結果からは関連を見つけ出すことは難しく、
上手く文化的側面の調査ができなかった。
→G.ホフステードは、各国の人々の価値観にまつわる文化的差異を理解するための次元として、
「権力の格差・個人主義対集団主義・男性らしさ対女性らしさ・不確実性の回避」
という4つの次元を採用した。
Contextual Designのモデルに、文化的差異の4つの次元を採用した。
▼思い出とフィールドワークのワークショップ事例
地域・コミュニティを楽しくするためのデザインワークショップを実施。
→実施当日の様子はこちら
・「思い出」をキーワードにして発想し、フィールドワークで気づきを得る。
・ワークショップの内容も随時リアルタイムにドキュメンテーションした。
▼観察とデザインパターンの事例。
思い出ワークショップの結果を受けて、
Smile Experience(うれしい体験)のデザインパターンを作る合宿を実施
観察についてはKA法を使用した。
6つの嬉しいパターンを作成し、
SFCの井庭先生のテンプレートを使ってカード化した。
デザインパターン作成の様子についても、
リアルタイムドキュメンテーションにて観察した。(観察の観察)
提案したデザインパターンを活用して、
自分の作品のアイデア展開とペーパープロトタイピング提案
この箱がペーパープロトタイピングらしい
※すぐれたデザイナーは自分の中でデザインパターンを持っているのでは?
講演はこれで終了。
再び同じフロアで、最後のパネル発表。
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