クックパッド売上減少を人間中心設計の視点で考証する 2026年02月23日

― プレミアム会員減少は、どの体験の崩れを示唆しているのか

近年、クックパッドは売上減少が続き、
その主因として「プレミアム会員数の減少」が挙げられています。

さらに公開情報からは、

  • 連続減収
  • プレミアム会員減少の明示
  • 事業整理(周辺サービスの分割・終了)
  • 人員削減の実施

といった構造的変化も確認できます。

ここで重要なのは、
これを「業績悪化」と捉えるか、「体験構造の変化」と捉えるかです。

私は後者として捉えたいと思います。

なぜなら、人間中心設計(HCD)の観点では、
売上は「価値が継続的に知覚された結果」だからです。


1. HCDの原則から見る「プレミアム会員減少」

ISO 9241-210(人間中心設計の国際規格)では、
システムは「利用状況の理解」から設計されるべきだと定義されています。

プレミアム会員減少とは、言い換えれば、

ある利用状況において、価値が知覚されなくなった

ということです。

したがって問いはこうなります。

  • 利用状況は何か?
  • その状況での成功体験は維持されているか?
  • 代替手段は何か?
  • 体験は連続的に改善されていたか?

2. 利用状況の再定義:料理アプリの本当のジョブ

レシピ閲覧は目的ではありません。

HCD的に見ると、ユーザーの本当の目的は以下です。

  • 家族を待たせずに食事を出す
  • 食材を無駄にしない
  • 健康を維持する
  • 料理ストレスを下げる
  • 「今日何作る?」問題を解決する

つまり、レシピは手段。

ジョブは「生活の不安の解消」です。

もしこのジョブが、

  • 動画プラットフォーム
  • SNS
  • 生成AI
  • 献立アプリ

で代替可能になったなら、
プレミアムの存在意義は再定義を迫られます。


3. 体験ファネルの構造的弱化仮説

人間中心設計では、体験を連続した行動プロセスとして捉えます。

料理体験を分解すると:

  1. 検索する
  2. 選択する
  3. 調理する
  4. 成功体験を得る
  5. 再利用する
  6. 課金する

プレミアム会員減少が示唆するのは、
6の問題ではなく、3〜4の確率低下です。

もし成功体験が弱まれば、

成功体験減少

習慣化しない

価値が蓄積されない

課金しない

という構造になります。


4. 検索UXの可能性:選択疲労と信頼性

公開情報では直接語られていませんが、
UGC型サービス特有の構造的課題があります。

  • コンテンツ過多
  • 品質ばらつき
  • 類似レシピ氾濫
  • 選択コスト増大

人間は選択肢が多いほど決定しにくくなります(選択のパラドックス)。

料理は失敗リスクを伴う行為です。

「美味しそう」ではなく、
「確実である」ことが重要です。

検索UXが信頼性を担保できなければ、
調理実行率は下がります。


5. 供給側UXという盲点

HCDは「すべてのステークホルダー」を対象にします。

クックパッドはUGC型。

つまり、

投稿者もユーザーです。

もし投稿者が

  • 承認されない
  • 伸びない
  • 報酬が少ない
  • 炎上が怖い

と感じていたら、良質供給は減少します。

供給減少

成功体験減少

課金価値低下

という二面市場の連鎖が起きます。


6. 組織縮小とUX改善速度

人員削減や事業整理は、財務的合理性がある一方で、

改善速度の低下リスクを伴います。

UXは継続的改善が命です。

改善速度低下

体験の停滞

ユーザーの期待との差拡大

離脱

という遅延的崩壊が起こる可能性があります。


7. 因果ループで整理する

検索で迷う

作らない

成功体験減少

習慣化しない

課金しない

売上減

改善投資減

検索改善遅延

この負のループが仮説として最も整合的です。


8. HCD専門家としての検証提案

感覚的議論ではなく、
設計可能な問いに落とします。

定量

  • 検索→保存率
  • 保存→調理率
  • 調理→再訪率
  • 解約前行動変化

定性

  • 解約者インタビュー(意思決定瞬間)
  • JTBD分析
  • 料理失敗体験の深掘り

実験

  • 検索結果に「失敗しにくさ」指標導入
  • 献立完結型体験の設計
  • 投稿者UX改善

9. 結論

クックパッドの売上減少は、

「時代遅れ」ではなく、

利用状況と価値知覚の再設計が追いつかなかった可能性

として理解できます。

HCDの視点では、

売上は症状
体験は原因

です。

そして原因は、
観察・検証・再設計が可能です。

衰退は不可避ではありません。

それは、再設計可能な構造問題です。


ということで、HCD視点で考えてみましたが、

いかがでしたでしょうか。

まぁ、そんなに簡単な問題でもない気もしますがねー。

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