
録画だと画質が落ちてしまって、
スライドが見えない。
スライド配布してくれてありがたい。
▼津山拓郎さん
人間中心設計専門家
スクラムプロダクトオーナー
▼UXとは
・UXという概念
いまでは頻繁に耳にするUXという概念は、認知工学者のドナルド・ノーマン(Norman, D.A.)が
1998年に提唱したものです。
・ノーマンがUXを提唱するに至った背景- 1980年代
1980年代は、急激に一般社会へのコンピューターの普及が進みました。
当時はOSに関わる操作や周辺機器の接続や各種設定が容易ではなく、紙ベースの仕事をしていたユーザーが突然コンピューター触れることになり、「コンピュータは難しすぎて使えない!」という不満を高めることになりました。
この頃より、人工物の使いやすさやわかりやすさに関する研究が
盛んに行われるようになります。
ノーマンは、利用者にとって理解可能で誤解や誤動作を起こさない様にデザインすべきという「ユーザー中心設計」のアプローチを提唱し、1988年に『誰のためのデザイン?』を上梓します。
その後90年代にかけて、研究者を中心に使えないものを使えるようにするための定義がなされ、
1998年に国際規格ISO 9241-11 で「ユーザビリティ」という概念に整理された定義が与えられます。
ユーザビリティの定義によって次第に製品のわかりやすさ、使いやすさは向上しはじめたましたが、
ノーマンは「ユーザビリティだけでユーザーは満足を得られるのだろうか?」という疑問を持ちます。
彼は「システムと経験のすべての側面をカバーするような概念」を求め、
1998年にUE: User Experienceという概念を提唱します。
しかし、ノーマンが最初にUXを提唱して以来、UXという言葉は多数の人によって異なる意味で使われるようになってしまいました。
いまだUXに対する考え方は様々あります。国際標準化機構の定義(ISO 9241-210:2019 – インタラクティブシステムの人間中心設計) では、以下のように定義されていますが…
「システム、製品またはサービスの利用前、利用中及び利用後に生じるユーザの知覚及び反応。」
シンプルに、「UXとは人工物の利用を通じてユーザーが得る経験のこと」と覚えておけば良いと思い
ます。
▼UXが求められる背景
・UXが求められる背景をマーケティング観点から見てみると- マーケティングの段階
アメリカ合衆国の経営学者であるフィリップ・コトラーは、マーケティングの段階を以下のように示しています。
・マーケティング1.0:製品中心の考え方(製品中心) ~1970年代
・マーケティング2.0:消費者中心の考え方(消費者志向) 1980~1990年代
・マーケティング3.0:人間中心の考え方(価値主導) 2000年代~
・マーケティング4.0:自己実現の考え方(自己実現) ?
コトラーは、マーケティング2.0の対象である消費者(Consumer)が、マーケティング3.0でソーシャルメディアを活用した生産消費者(Prosumer)に変わることを可能にしたとしています。
技術がリードし、新しい行動、慣習、価値観が生まれた時代
→先進的な行動、習慣、価値観を技術によって広める時代
また 2000年代に入ると、デジタル技術の発展に伴い、
どこの国やどこのメーカー製品も大して変わらない、というコモディディー化が進みます
生産消費者はデジタル社会に参加し、コンピューター(スマホなど)を経由してSNSを使うので、マーケティング活動では
製品中心で販売する「売った」が通用しにくくなり、必然的に「売れた」を継続することが求められるようになります。
グッズドミナントロジック
→モノとサービスが単体の状態である
サービスドミナントロジック
→モノとサービスが一体化している
サブスクリプション、アイドルエコノミー、ダイナミックプライシング
▼UXが求められる背景のまとめ
デジタル社会が訪れたことをきっかけに、
コンピューターの利用が普及して重要視されたユーザビリティーと、
ソーシャルメディアの利用が一般化された環境におけるマーケティングの双方から、
必然的に人間中心の考え方であるユーザーエクスペリエンスが求められた。
▼どうやってUXをデザイン(設計)するのか
・UXのためのデザインの考え方
Design Thinking
Lean UX
Human Centered Design
User Centered Design
etc.
ちょっと乱暴に言ってしまえば、基本的にやっていることは大体同じです。
①調査
②分析
③設計
④評価
ユーザーを見る
ユーザーに聞く
生活者自身が気が付いていないことは、
話すこともできなければ、文章にすることもできない。
▼質的調査で、真実に近づく
・質的調査とは
数値や統計では把握しにくい人々の意識や、
捉えたい現象の成り立ちを理解し、再構成して提示することを目指す調査の総称。
・質的調査の種類と位置付け
フィールドワーク
オブザベーション
リビングラボ
デプスインタビュー
エスノグラフィックインタビュー
▼質的調査の目的
-
AS-IS(現状)の改善のため
現場の作法とサービスの適合、作業方法の最適化や効率化を図るために、
現場での無意識の行為に着目し、
すでにあるサービスの分析と改善を目的とする。 -
TO-BE(将来)の定義のため
普段の生活でどんなことを行っているのか、行為を通じた価値観に注目し、
まだなんだかわからないことを明らかにする。新しいコンセプト開発が目的。
「エスノグラフィ」という言葉がキーワード
・エスノグラフィとは
フィールドワークに基づいて、ある人間社会の現象についての質的説明を表現する記述の一種。
ある民族や集団の生活について、長期参与的に観察調査し、文化や行動様式を詳細に記録すること。
日本語では、民族誌、民族誌学と訳される。
朝鮮紀行
Isabella Lucy Bird (1831 – 1904)
1894年(明治27年)から1897年(明治30年)
にかけて、4度にわたり最末期の李氏朝鮮(朝鮮王朝)を訪れた旅行の記録。
当時の朝鮮の風俗、社会、政治情勢などを知ることのできる歴史的資料。
日本にも訪れている(日本奥地紀行)。
Japan: An Attempt at Interpretation
小泉 八雲 (1850 – 1904)
小泉八雲は、ギリシャ生まれの探訪記者。
当時のアメリカ軍准将であり、ダグラス・マッカーサーの軍事書記官・心理戦のチーフであった
ボナー・フェラーズは、当時のアメリカ合衆国が利用できる、
日本人の心理を理解するための最高の本であったと述べたという。
菊と刀
Ruth Benedict (1887 – 1948)
日本の文化を説明した文化人類学の著作。彼女は日本を訪れたことはなかったが、
日本に関する文献の熟読と日系移民との交流を通じて、
日本文化の解明を試みた。
恩や義理などといった日本文化『固有』の価値を分析している。
1920年代、アメリカのシカゴ学派(社会学)が行ったスラムの底辺層の直接的調査(都市エスノグラフィ)の手法が、閉鎖集団の社会システムを明らかにする長期的な参与観察の方法として発達。
マーケティング技術として脚光をあびることになった。
(1979年当時)
変装:私は三年間老人だった
パット・ム−ア
26歳の新進工業デザイナーであるパット・ムーアは、
高齢化社会や老人問題を研究するうえで、老人を実感するために、
自ら顔も体も80歳を越えた老婦人に変身して、老人社会に“潜入”した。
そこで体験したさまざまな老人虐待、みじめな扱いなど、
若い人が老人に対してどのような感情を持っているか、
老人に変身してはじめて体験できることばかりであった。
暴走族のエスノグラフィー
佐藤 郁哉
1984年発刊。「暴走族」という現代の(当時)日本に生息する一部族に
ついてのエスノグラフィー。
1年にわたる参与観察をもとに、暴走族の多彩な「遊び」の体験内容と
象徴的意味,マスメディアと織りなすドラマ化の実相を生き生きと呈示し、
なぜ彼らは暴走するのかを、心理‐社会‐文化的視野から解明する。
・参加型デザイン
現地調査のみならず、ユーザーに参加してもらって問題を解決する方法にも発展。
https://medium.com/@chow0531/co-design-and-generative-tools-9fc2f9c699ff
・行動観察の例
JR西日本安全研究所が事故映像を調べた結果、
「突然線路に向かって転落する」傾向が約9割に上ることがわかった。
出典:なるほど。JR西日本が始めた酔っ払い線路転落防止策が海外で話題 https://www.gizmodo.jp/2015/04/jr_150401.html
花王:キュキュット:対象者の多くは、すすぎの時に指先を頼りに汚れが落ちているかを確認していた。
アキレス:瞬足:対象者の多くは、トラックのコーナーを転倒せずに駆け抜けることが重要だった。
味の素:ギョーザ:対象者の多くは、餃子の調理時に目分量で水を入れて焦がしたりふやけさせたりしていた。
・インサイトとは
ターゲットすら気づいていない本音を得るということ。
欲しいのはWantsではなくNeeds。
共通する生活価値の理解、すなわち「ルールの発見」が重要。
(個人の特殊な行動に着目しないこと。)
・創出すべきもの
ユーザー中心のデザインとは、ユーザーに合わせたデザインではなく、
ユーザーが要求を捉え直し自ら合わせることができる、顕されたデザインのこと。
・UXタイムスパン
予期的UX
一時的UX
エピソード的UX
累積的UX
※ここだけ出典がなかったのはなぜ?
▼事例
角上魚類_業務のデジタルトランスフォーメーション
https://monstar-lab.com/work/kakujoe_data
https://monstar-lab.com/work/interviews/kakujoe


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