4月2日に行われた、UXD initiativeの
「ビジネスモデルとユーザーエクスペリエンス ワークショップ」
に参加してきました。
このイベントは2月に発売された、
「ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書」を元に、
「ビジネスモデル・キャンバス」というフレームワークの使い方を学ぶセミナーでした。
申し込みが多く、
抽選ということになりましたが、
なんとか当選し、参加することができました。
まずは千葉工大の山崎先生から趣旨の説明があり、
その後、まずは山崎先生からユーザーエクスペリエンスの講義、
続いて、O-FLEXビジネス・コンサルティング代表の福永光一さんからも、
講義があり、その後実際に、
ビジネスモデル・キャンバスを使ったワークショップを行いました。
イントロダクション-1:ユーザーエクスペリエンスとビジネスモデル
山崎和彦(千葉工業大学教授)
▼趣旨
ユーザーエクスペリエンスは、ビジネスと密接な関連がありますが、
これまでのユーザーエクスペリエンスの議論はともすると、
利用者の体験だけにフォーカスした場合が多いかと思います。
企業の商品戦略やサービス戦略のために、ビジネスとカスタマーの体験を、
一つの視点で考慮することが重要です。
ここでは、ビジネズモデル・キャンバスという手法を活用しながら、
ビジネスとカスタマーの体験を一つの視点で考慮するワークショップを開催します。
そのために、ビジネスモデルに詳しいコンサルタントの福永光一氏をお招きし、
ビジネスモデルやビジネス面でのお話やアドバイスをいただく。
▼HCD
→利用者が嬉しい人間中心のデザイン。
↓
ビジネスに嬉しいビジネス中心のデザイン
さらに今後は社会環境にうれしい社会環境中心のデザイン(ソーシャルセンター度デザイン)
も見て行く必要があるのではないか(ビジネスにも含まれるが・・・)
今まではビジネスモデルがあるものに対してHCDを考えていたが、
今後はビジネスモデルから作る必要があるのではないか。
※EXPERIENCE VISION(ビジョン提案型デザイン)が夏頃に発売
▼HCDと顧客の価値を意識したビジネスモデル
ユーザー視点 ・対象とする顧客 ・顧客の価値 | 顧客の価値を意識した ビジネスモデル ・対象とする顧客 ・顧客への価値の想像 ・顧客へ価値を届ける ・利益とコストを考慮する。 | |
ビジネス視点 ・顧客へ価値を届ける ・利益とコストを考慮する。 |
▼ビジネスモデルキャンパス
ビジネスモデルキャンパスの要素
・インフラ視点(企業のインフラ)
・ユーザー視点
・利益、コスト視点
▼ビジネスモデル・キャンバスのユーザー視点
・VP→価値提案
・CR→顧客との関係
・CH→チャネル
・CS→顧客セグメント
▼体験を捉えるには。
出来事を時系列という視点で捉える(時間軸)
できごとを環境、状況、場所という視点で捉える(環境軸)
あとひとつはメモできず
※ポイントは時間軸
イントロダクション-2;ビジネスモデルとは、
福永光一(O-FLEXビジネス・コンサルティング代表)
もともとはIBMの研究員だったが、ビジネスコンサルを手がけるようになった。
■ビジネスモデル構築法入門
▼ビジネスモデルって何?
仮説を持ってそれを検証する目的でセミナーで参加するのと、
ただ何か得ようとするだけで参加するのでは、大きく違う。
→ビジネスモデルについて1分間考えましょう。
・Wikipedia
→お客さんに価値を提供して、お客さんに対価を払わせる仕組みを作るにはどうするか。
▼ビジネスモデル構築に当たって問うべきこと
1. 当社のお客様は誰なんだ
2. お客様は投射に何を求めてるんだろう。
3. そのようなお客様をどうやって見つければ良いのだろう
4. お客様は投射とどようなつきあい方をしたいのだろうか?
5. お客様はどのような対価を払うのだろうか?
6. お客様の求めに応じたり、見つけたり、つきあって行くために、
どのような資源を持っている必要があるのだろう?
7. 同様に、どのような活動をすれば良いのだろうか?
8. 以上の目的のために、誰かと組む必要はあるだろうか?
9. そして、それらのためにどれくらいのコストがかかるのだろうか。
10. 結論として、儲かるのだろうか?
▼ビジネスモデル構築の構成要素
1. 当社のお客様は誰なんだろう?(顧客セグメント)
2. お客様は当社に何を求めているのだろう?(提供価値)
3. そのようなお客様をどうやって見つければ良いのだろう?(チャネル)
4. お客様は当社とどのような付き合い方をしたいのだろう?(顧客関係)
5. お客様はどのような対価を払うのだろう?(売上構造)
6. お客さまの求めに応じたり、見つけたり、付き合っていくために、
どのような資源を持っている必要があるだろう?(キー。リソース)
7. 同様に、どのような活動をすれば良いのだろう?(キー活動)
8. 以上の目的のために、誰かと組む必要はあるだろうか?(キー。パートナー)
9. そして、それらのためにどれくらいのコストがかかるのだろう?(コスト構造)
10. 結論として、儲かるのだろうか?
▼ビジネスモデルキャンパス
ビジネスモデルを1枚の絵に。
1. 顧客セグメント(CS: Customer Segments)
2. 提供価値(VP : Value Propositions)
3. チャネル(CH : Channels)
4. 顧客関係(CR : Customer Relationships)
5. 売り上げ構造(RS : Revenue Streams)
6. キーリソース(KR : Key Resources)
7. キー活動(KA: Key Activities)
8. キーパートナー(KP : Key Partners)
9. コスト構造(CS : Cost Structure)
▼ジレットのビジネスモデル
顧客セグメントは消費者(男性)
※ジレットのスゴいところは、カミソリ本体はすごく安く売る、
替え刃で儲けている。(器具を買った顧客を囲い込みができる。)
例:プリンターなども同様
プリンター本体を売って、インクを高く売ってぼろ儲けしている。
※ビジネスモデルを読むときには順番がある。
・お客さんにどういった価値を提供するかが第一。
(よくあるパターンは自社が何が出来るかを考えてしまうことが多い。)
▼Googleのビジネスモデル
・顧客セグメンとは、広告主、Webサーファー、コンテンツオーナー
・提供価値:ターゲット広告
(キーワード連動にすることにより、よりターゲットに近い広告を提供できる)
※Googleのスゴかったところは、キーワードをオークション形式で販売した。
・コンテンツオーナーに大しては、小遣い稼ぎができるような仕組みも作った。
▼ビジネスモデルの作り方
まずは良いお手本を読む。
・顧客価値を定義
・利益方程式
・ビジネスシステム
→こういったことがちゃんと書いている本が「ホワイトスペース戦略」
▼顧客セグメントのタイプ
・マスマーケット
・ニッチマーケット
・セグメント化
特性別(企業規模別、等)
・多様化
小売りとクラウド(Amazon)
・多面的
カード保有者と加盟店
※マスマーケットは時代遅れと言われるがそうではない、
成功した例としてはユニクロが上げられる、
ユニクロは全部をカバーした。
▼提供価値(バリュープロボジション)
・新規性
・性能
・カスタマイゼーション
・仕事を片付ける
例:ダスキンのお片づけサービスは月3万円。
・デザイン
・ブランド/ステータス
・価格
・コスト削減
・リスク削減
・アクセス可能性
例:コンビニ
・利便性/使いやすさ
お客さんが価値を簡単に認めてくれれば楽なことはないが、
そうは上手く行かない、一番難しい。
※提供価値と顧客がマッチングしない場合もある、
その場合は、組み合わせを変えることも必要。
ビジネスモデルジェネレーションには続編がある。
「Business Model You: A One-Page Method For Reinventing Your Career 」
▼チャネルの考慮点
・タイプ
- 直販営業
- Web営業
- 自社店
- パートナー
- 卸
・フェーズ
- 認知
- 評価
- 購入
- 配送
- アフターセールス
▼顧客関係のタイプ
・顧客アシスタンス
・専属の顧客アシスタンス
・セルフ・サービス
・自動化サービス
・ユーザー・コミュニティ
・協同(開発)
▼売上構造の考慮点
・売上生成方法
– 資産の販売(物件の移転)
– 使用料(使用量に応じて)
– 購読料、会員サービス料
– 賃貸、レンタル、レース
– ライセンス料
– 取り次ぎ手数料
– 広告料
・価格づけメカニズム
– 固定メニュー価格
(リスト価格、製品仕様毎、顧客セグメント別、ボリューム別)
– 動的価格(交渉、歩留まりベース、リアルタイム、オークション)
▼キー・リソースのタイプ
・物的資産
– 工場、ビル、車輛、機会、システム、POS、販売ネットワーク
・知的資産
– ブランド、知的所有権、特許、著作権、パートナーシップ、顧客データベース
・人的資産
・金融資産
– キャッシュ、最大貸付金額、ストック・オプション・プール
▼キー活動のタイプ
・制作
– デザイン、制作、製造
・問題解決
– コンサルティング、医療
・プラットフォーム/ネットワーク
– ソフトウェア開発、ネットワーク拡大(物的拡大、顧客リーチ拡大)、ブランド構築
▼キーパートナー関係確立の目的
・最適化、規模の経済性
– コスト削減、アウトソーシング、インフラの共有
・リスク、不確実性の削減
– 規格の協同開発
・特別な資源・活動の獲得
– 知識、ライセンス、顧客
▼コスト構造の考慮点
・コスト構造のタイプ
– コスト駆動(低価格購買、自動化、アウトソーシング)
– 価値駆動(高級ホテル等)
・コスト特性
– 固定コスト依存
– 変動コスト依存
– 規模の経済性
– 範囲の経済性
ワークショップ1:現状のビジネスモデルの作成
福永さんがコンセントの長谷川さんにインタビューしながら、
現在のコンセントのビジネスモデルについて、
ビジネスモデル・キャンバスに纏めて行く。
福永さん曰く、コンセントの現状は長谷川さんブランドなのではないか?
とのことです。
ワークショップ2:提案するビジネスモデルの作成
コンセントの現状のビジネスモデルを咀嚼しつつ、
新しいビジネスモデルを考えて行きます。
問題:新しい顧客は開拓できているのか?
儲けていられるのか?深堀できているのか?(儲ける仕組み)
(1)まずは何が問題かを一人一人が考える。
(2)グループで合意形成する。
(3)ビジネスモデル・キャンバスを作成
▼ブレスト
・課題を決める
新規顧客の開拓
リピーターを広げる
VPが伝わっているか?(新しい切り口)
今あるリソースでより利益を上がることができるか
コンセントの技術が伝わっているか?
(今あるものをベースに価値を見出す)
紙のビジネスモデルの発展(紙+IA)
社内教育を充実させるための社内体制づくり
★紙の事業をどうやっていくか?
新しい価値を生み出せるか?
なぜ紙がだめなのか→先細りするから→じゃあ何が儲かるの?
★テーマ決定
今あるリソース(IA or エディトリアルデザイナー)を使っての、
新規事業の創出。
※問題を決めるのが一番むずかしい。
▼アイデア
教育教材
子供や保護者だけだとざっくりしすぎ、
なぜお金を払うのかを考えないといけない。
▼福永さんアドバイス
・これは、現状整理でもこれからのことを仮説造りするための、
フレームワークの一つ。
・どっち側にするのは使い方しだい。
・会話を活性化するための共通かツールのひとつ。
・経営者として自分の会社がどうありたいかを考慮する。
・なぜCSから考えるのか→金を稼ぐため。
■発表
KRとVPがどっちかなのかは確認が必要。
金儲けするのではあれば、人と違うことをしなければならない。
うちのチームも、課題をVPから考えているのでは。
■長谷川さんの講評
うちのチーム以外は、現状のビジネスモデルに内包されていたのではないか。
雑感
今回初めてビジネスモデル・キャンバスを作成しましたが、
どうしても、課題を企業がどんな価値を提供できるかという、
Value Propositionから考えてしまいました、
ビジネスモデル・キャンバスではCSから考えることが大事なので、
HCDやLeanなどでもこのポイントは考慮したいですね。
また、コンセントさんとは同業者なため、
ブレストや他チームの発表が、
「あー、うちでやってたな・・・」
という風になってしまうのはちょっと難しいところですね。
懇親会
懇親会は、恵比寿ビールのビアガーデン。
関連リンク
Togetter:
http://togetter.com/li/283712
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