9月22日に行われた情報デザインフォーラムに参加してきました、
前半がワークショップをテーマとした各先生方の発表で、
後半が情報デザインに取り組んでいる学校のポスター発表になります。
14:00-14:05 「デザイン・ワークショップ」、山崎和彦(千葉工業大学)
まずは山崎先生からワークショップについての簡単な紹介
「人の視点」「モノの視点」「ビジネスの視点」の3つの視点をワークショップを活用して学ぶ。
14:05-14:30 「スタンフォードME310プロジェクトとWS」
Misun Kang(京都工芸繊維大学)
▼ME310とは
スタンフォード大学が、
グローバルな企業と組んでプロジェクトを行う実践的なワークショップ授業
REAL Companies
REAL Project
REAL Design
・ME310のプロセス
問題定義→調査→アイディアメイキング→プロトタイプ→検証
※ME310でもアイディアメイキングにはポストイットが欠かせない。
▼チームロビオの紹介とその活動
3カ国10人から構成されたメンバー
(フィンランドのアイル大学、ドイツ、京都工芸繊維大学4人)
グローバルなメンバーのためGoogleハングアウトやFacebookを利用して、
コミュニケーションを図った。
※ロビオ
→アングリーバードで有名なゲーム会社
▼ME310のプロトタイピング
ME310ではプロトタイプがすべてだといっても過言ではない。
様々なプロトタイピングを通して試行錯誤を繰り返しながら、
最もイノベーティブな最終提案を検索する。
デジタルなプロトタイピングにすることは必須で、
そこから最終提案に進む。
▼D.スクールのワークショップ
ワークショップはキックオフウィークに1週間行われる
Lecture → Making → Converge
・The Turening Point:テーマの社会、経済的な背景を調査
横は時間軸、縦はキーワードとなる。
20年単位の社会・経済的に起こった重要事件を調査
波のような線を引き、右側に主なキーワードを、左方向に詳細な時間を記入。
・Petals:5つのキーワードを抽出
1. テーマを定義し、メインワードを中心に配置
2. 8つの違う分野(視点)からサブワードを花びらに記入
・Perosona Development:ペルソナを想定
→他のペルソナ手法と違うところはダンボールなどを利用して原寸大で作成すること
・Empathy Map:ユーザーインタビュー後、結果をマップ化
→想定されたペルソナを深く理解するワークショップ
・Design Exercise:インタラクティブなプロトタイプを製作
5つのテーマのなかからテーマを選択してワークショップを行い、
プロトタイプを作成する。
01 Personas:ペルソナ
02 Wizard of OZ:実際にペルソナになりきって演技する
03 Paper Prototyping:紙と手描きを利用
04 Ethnographic Observation:ユーザの行動を観察
05 Iterative Underdesign:多様なコンテクストにプロトタイプを配置、
実用に近い使用
14:30-15:10 コミュニケーションデザイン・ワークショップと事例
■「ビジュアルデザイン基礎 とWS」上平崇仁(専修大学教授)
エキサイティングなデザイン・ワークショップをつくる条件
▼デザインワークショップ
デザインをするためにワークショップを使う(ワークショップのデザインとは違う)
1.複数名で同時的に取り組む
2.明確なアウトプットを目指す
▼デザインワークショップの種類
1.社会的に有用な成果物を効率よく共創
2.異分野の背景をもつ多様なメンバーが問題意識を共有するために協調的に取り組むもの
3.デザインの初期段階・評価段階にユーザ視点を取り入れるためにおこなわれるもの
4.デザインのための新しい手法や技術などを参加者間で学び合いによって実験的に、
かつ楽しく行う方法としてのもの
▼ワークショップの基本構造
導入→知る活動→つくる活動→まとめ
※dスクールのデザイン思考の5つのステップと似ている。
(共感する→明確化する→発想する→試作する→試してみる)
▼学習とコミュニケーションの階型
ゼロ学習:反応がひとつに定まっている
学習1:選択肢から選び取る条件付けなどの学習
学習2:学習1についての進行過程上の変化
学習3:学習2についての進行過程上の変化
学習4:学習3についての進行過程上の変化
※デザインのためのワークショップはアウトプットが切り離されて社会性をもつ
※創造的活動は「葛藤状況」を解決しようとする活動によって生まれる。
・参加者の多様性
・時間と空間
・題材
・表現方法
逆に言えば、ワークショップによってなにかを創造することをねらうなら、
(適切な)葛藤状況が埋め込まれた「しつらえ」が重要
▼ワークショップのプランニング
最近心がけていること
・異種交配の実験の場
・自分一人でがんばらない
・インディペンデント的な「さざ波発生装置」
▼事例1
デザインゲームワークショップ
→北欧のデザイン手法を日本のIT企業で行ってみた。
▼事例2
Sociology Meet UX
→社会学の要素を取り入れてワークショップを行った。(会話分析×モバイルUX)
▼事例3
パントマイムワークショップ(身体表現×情報系大学生)
▼事例4
誰でも使えるキット
→カードソーティングゲーム
▼まとめ
・「エキサイティングではない」ものは、反転させれば、見えてくる。
・そもそも「学習」と「創造」は同じプロセスの違う側面ということ。
デザインワークショップは、成果物が独立して社会の中での意味を
指向することが特徴である。
・ワークショップによって何かを創造することをねらうなら(適切な)
葛藤情報が埋め込まれた「しつらえ」が重要。
それを意識して設計することが大事である。
■「インフォグラフィックスとWS」木村博之(チューブグラフィックス代表)
▼ワークショップ事例
テーマ:「満足、不満をカタチにする」
対象:UNIQLO
ワークショップ前にUNIQLOに通ってもらってUNIQLOオタクになってから
臨んでもらった。
※大黒柱になるコンセプトが安定していないとメッセージも安定しない。
・ワークショップ
11:00~ 1st Group(オタクで参加)
11:30~ 「UNIQLOについてディスカッション」(個人ワーク)
Fieldワーク(ランチ含む)
15:30~ 個人で方向性がわかるラフスケッチ
3人でプレゼン(方向性)
16:00~ 方向性をまとめて、5つにグループ分けした。
17:30~ グループで1枚に仕上げ
▼グラフィックファシリテーション
かなり重要なので会議などでもデザイナーを入れるなどの方法が有効。
▼まとめ
→オタクになろう。
■「ドキュメンテーションとWS」原田泰(公立はこだて未来大学教授)
スカイプで発表
▼ワークショップとドキュメンテーション
・場に介入する
ファシリテーショングラフィック
・場に介入しない
グラフィックレコーディング
スクライビンング
→その全部を包括するものがリアルタイムドキュメンテーション。
▼リアルタイムドキュメンテーションに必要な能力
理解力、観察、取材、コミュニケーション、予測、対応、表現、etc.
→それを身につけるために「グラフィックデザイン、エディトリアルデザイン、写真・ビデオ、ワークショップデザイン」が必要。
15:20-16:10 サービスデザイン・ワークショップと事例
■「ユーザー調査とWS」安藤昌也(千葉工業大学准教授)
■「プロトタイプとWS」小池星多(東京都市大学准教授)
▼プロトタイピング
・試しながら使いながらデザインの完成度を上げていく。
・3Dプリンターなどの登場でハードのプロトタイピングも容易に。
・実機に近い感触、動作
・Quick and Dartyのプロトタイピング
とにかく早くプロトタイピングしてそれをもとに議論したり改善したりする。
▼小池研の課題
・アイデアスケッチ
・粘土、紙、木などでプロトタイピング
・3 CADでデータ制作
・3Dプリンターで縮小版プリント
・3Dプリントを繰り返す
・最終作品プリント
・スケッチ、粘土、縮小プリントのたびにゼミでプレゼンやミーティング。
・議論しやすくなる。
・プロトタイピングの各段階でアイデア、形状、使い勝手、実際の機能、
組み合わせなど、議論のレベルが変わってくる。
■「サービス設計のWS」脇阪 善則(楽天編成部ディレクター)
▼「サービスデザイン」×「ワークショップ」
1.活用方法:どうやって活用するのか?
2.効果検証:何が得られるのか?
▼サービスとは
・無形の財産
・三次産業で取り扱う商品
・稼働しないと価値がない
▼サービスの多様な形態
サービスによって、提供するもの、形態、ビジネスモデルは異なる。
▼サービスのモデル
ステークホルダーとの関係
金銭の授受
▼サービスデザインとは
なにをデザインするのか=利用者の経験
▼サービスデザイン=人間中心設計
サービスにとっての主役は「利用者」
様々な人が関わってサービスが運営されている
▼サービスデザインとワークショップ
現状把握
・調査
・分析
・可視化(カスタマー、モノ/ビジネス)
↓
コンセプト検証
・人からの発想
・コンセプトメイキング
・コンセプトの可視化
・コンセプトの評価
・ビジネス視点での評価
↓
デザイン提案
・モノからの発想
・ビジネスのプロトタイプ
・モノのプロトタイプ
・仕様化
▼サービスの可視化(UXマップ)
UXマップの種類は非常に多岐に渡る。
▼ワークショップ事例:手続き
ターゲットの設定→ユーザー体験の記述→体験の詳細の可視化→レビュー
最低限抑えておくべきこと
・ファクトからはじめる
・表現に決まりはないが、必要な要素
▼モバイルフロンティアワークショップの事例
・アイスブレイク
→ナラティブイントロダクションを実施
→マシュマロチャレンジ
一番上手なのは幼稚園児、一番下手なのはMBAフォルダーと言われている。
▼サービスコンセプトの検討
1. グループで選んだエピソードのコンテクストとタッチポイントを記入する。
2. アプリを使うシーンを特定し、アプリのコンセプトや要件を検討する。
▼ペーパープロトタイピング
制約を設けた
・全部で6画面以内に収める
・マルチデバイスのサービスとして考える
・「ホーム画面」と「操作完了画面」は必ず入れる。
・プロトタイプするシナリオは一つ
・ソーシャルな機能は使わない
▼プレゼンテーション
→アクティングアウトを採用した。
▼アクティングアウト
ReflectorやPOPといったアプリケーションをつかった。
▼ワークショップを導入するということ
ワークショップはデザインのスタンスを変える
→ユーザー(&ステークホルダー)と共創するデザインへ
▼ワークショップの効果
[共創] 知識やアイデアを集約できる
[恊働] 役割を超えたコラボレーションができる
[共感] 利用者に共感することができる。
※ワークショップを上手く取り込んでいくことがサービスデザインでは重要になってくる。
■「体験的発想とWS」山崎和彦(千葉工業大学教授)
▼体験とリフレーミング
ワークショップを行っても現場に帰ると実施できないことが多々ある。
▼ミームデザイン学校の事例
ニーズからの提案解決的なアプローチから、
「体験」を考慮した提案型のデザイン思考へ「リフレーミング」するための講義とワークショップ。
▼鈴木康広さん
常にリフレームすることを考えている。
▼視点を変えてみる
異なるモノとして見る
見る場所を変えて見る
昔の自分の視点で見る
未来の自分の視点で見る
別の場所にいる自分の視点で見る
自分がモノになった視点で見る
自分が別の人になった視点で見る
異なる文化視点で見る。
▼リフレーミング
=こどもの心を持ち続けること
=おとなには、こどもの心を見るための
こどもの心で見える眼鏡が必要
=心で見える眼鏡には、
視点を変えるワークショップが役に立つ。
パネル発表とディスカッション
武蔵野美術大学、専修大学、常葉大学、東京都市大学小池研究室、東京工科大学、千葉工業大学山崎研究室/安藤研究室のポスター発表がありました。
懇親会はいつもの「くいもの屋 わん」にて
みなさん、おつかれさまでしたー
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