ゴールデンウィークまっただ中に行われた、
第9回情報デザインフォーラムに参加してきました、
第9回情報デザインフォーラム
http://kokucheese.com/event/subscriptions/32727/
今回は現在執筆中の「情報デザインのワークショップ」の執筆メンバーが、
実践しているワークショップについて発表する内容で、
120名の枠があっという間に埋まるほどの盛況でした。
前半は「大学でのワークショップ」、
後半は「企業でのワークショップ」として講演があり、
講演のあとでは、飲みものとスナックが用意された、
大学生のプロジェクトのパネル発表がありました。
■第1部 大学でのワークショップ
情報デザインのワークショップ
▼情報デザインの教室
→ちょっと内容が難しいという意見があった。
それを補完する意味で、ワークブックがあるといいと考えていた。
▼ワークショップ
学ぶ楽しさだけでなく、デザインに活かせるワークショップを考えている。
▼ワークショップとは?
・ワークショップは誰がするのか?
デザインチームのメンバーとのワークショプ
デザインチームとユーザーのワークショップ
ユーザーとユーザーのワークショップ
デザイナーとクライアントとのワークショップ
デザインナーとエンジニアとのワークショップ
・ワークショップの目的
自主的な学び、学ぶ楽しさ
複数人による発想の拡大、視点の広さ
共有、合意形成
相手の理解促進
▼体験するデザインワークショップ
→自分が体験する
→チームと一緒に体験する。
→ユーザーの体験をする。
▼情報デザインのワークショップ
情報デザインの初心者がワークショップを通して情報デザインの基礎を学ぶ
1. 「情報デザインの基礎」と「情報デザインのワークショップ」を知る。
2. 「情報デザインの基礎」をワークショップで学ぶ
3. 「情報デザインのワークショップの事例」を知る。
■体験からはじまるデザインワークショップ
デザインの基本は、「情報から本質を見つける」
「本質からアイデアを視覚化する」2つが必要である。
この2つを「何度も、たくさん、いろいろな角度」する中でよいデザインが生まれる。
このワークショップでは、この2つを「何度も、たくさん、いろいろな角度で」やるスキルと、
マインドに集中して一緒に学びたい。楽しく、スキルを身につけましょう。
▼1. 体験を観察するワークショップ
例:コンテクストデザインワークショップ
ワークショップの目的:本質から探す
津田沼のカフェにいって、
コンテクスチュアルデザインの5つのワークモデルシート
(フローモデル・物理モデル・人工物モデル・シーケンスモデル・文化モデル)を使い、
観察をした。
http://kazkazdesign.blogspot.jp/2009/02/blog-post_28.html
例2 観察とデザインパターンのワークショップ
→御宿で合宿をし、「嬉しい体験」をKA法で視覚化した。
リアルタイムドキュメンテーション担当者を置いて、
作業内容についても可視化した。
※従来のKA法と違う所は「スケッチ」を取り入れた。
6個のパターンを作り上げ、
そのパターンを使って、デザインのブラッシュアップを行った。
※うれしい6つのパターン
・実は見守られている
・想像の裏をつく
・親身になってくれてうれしい
・まったりNewLife
・送る人の気持ちが宿っているぽさがでている。
・心地よい非現実感
http://kazkazdesign.blogspot.jp/2011/09/blog-post_17.html
▼2. 体験から発想するワークショップ
エコデザインワークショップ
→エコデザインの4Rを使い、マトリックス法にてアイデアを作成した。
横軸: Refuse やめよう、Reduse 減らそう、Reuse 再利用、Recycle 再資源化
縦軸: 素材、構造、エネルギー、意識
→エコ・カクメイを考えると?
Refuse やめる(考え直す)に繋がることが重要と考え、
これまでにない価値を提案することにし、
マトリックス型発想法を使い、やめるためのサムネールスケッチを9個作成した。
・マトリックス型アイデア発想法
マトリクス型アイデア発想法とは、マトリックス(表)を活用して、
新しいアイデアを多く生み出すことを支援する強制発想法の一つ。
発想のためのアプローチ
・横軸と縦軸の項目を決めてマトリックスを作る
・マトリックスの各項目にアイデアを記入する。
・アイデアはつまらないものでもよいが、埋めることが重要
マトリックスの例
・多様なユーザー(父、母、子ども、学生、身体の不自由な人)
・多様な場所(学校、自宅、居間、台所、オフィス、公園)
・多様な時間(年、季節、月、週、日、時刻)
・多様なビジネス視点(シーズ、ニーズ、ブランド、価値)
・多様な視点(文化、エコ、意識、趣味、目標、素材、構造)
http://kazkazdesign.blogspot.jp/2010/06/blog-post_13.html
▼3. 体験を視覚化するワークショップ
これからのモノ作りワークショップ
→ナカダイさんと協業
Step1: 現状把握(工場内を調査・UXマップを作成)
→ エモーショナルな気づき
Step2: グループワーク(マテリアル分析・スケッチドキュメンテーション)
→ロジカルな気づき
Step3: 制作
Step4: 発表
→東新さんとのワークショップ
・カルチャーセンタードデザイン
・デザインパターン
・ペーパープロトタイピング
・マイクロものづくり
Tsunagiワークショップ「動物とのエピソード体験による発想」
・グループでのブレインストーミング
・グループで「共通するエピソード」または「一番面白いエピソード」を1つ選ぶ。
・6つの方式からアイデアを発想
・ペーパープロトタイピング
・発表
・実制作
※ミラノで同じようにワークショップを実施した。
http://kazkazdesign.blogspot.jp/2012/02/blog-post_24.html
▼4.体験とビジネスを考えるワークショップ
ユーザーエクスペリエンスは、ビジネスと密接な関係があるが、
これまでのユーザーエクスペリエンスの議論はともすると利用者の体験だけに、
フォーカスした場合が多いかと思います。
企業の商品戦略やサービス戦略のために、ビジネスとカスタマーの体験を、
一つの視点で考慮することが重要です。
ここでは、ビジネスモデル・キャンバスという手法を活用しながら、
ビジネスとカスタマーの体験を一つの視点で考慮するワークショップを開催します。
そのために、ビジネスモデルに詳しい、コンサルタントの福永光一氏をお招きし、
ビジネスモデルやビジネス面でのお話やアドバイスをいただく。
→当日の様子はこちらにて
▼5.体験と社会環境を考えるワークショップ
社会環境を検討するためのデザイン
→ソーシャルセンタードデザイン
・HCDとSCDとビジネスモデル
社会環境視点(SCD)
ユーザー視点(HCD)
(対象とする顧客・顧客への価値の創造)
ビジネス視点
(顧客への価値を届ける・利益とコストを考慮する)
↓
顧客の価値を意識したビジネスモデル
・対象とする顧客
・顧客への価値の創造
・顧客へ価値を届ける
・利益とコストを考慮する。
・SE(Social Environment)社会環境
社会環境の構築ブロックには、
社会や環境の動向、社会と環境に関連する顧客価値と、ビジネス価値を記述します
→社会と環境は、顧客とビジネスに大きな影響があります。
また、顧客の価値の中で、社会と環境における役割も大きくなります。
社会環境とは、下記のような社会と環境を考慮します。
・サスティナブルな社会
・社会的な価値
・社会経済
・社会的な環境
・文化的な環境
・地域環境
・地球環境
インフォグラフィックスを通じて学ぶコンテンツデザイン
当日のスライド:http://www.gege-channel.com/20120504/
▼コンテンツデザイン
→メッセージを自分のことばで表現し、人々が扱えるようにする。
図とは、かたちで意図、意味を伝えることば。
▼インフォグラフィックス
図解のプロセス(観察→解体→再構成→表現→魅せる・反応)
・事例1
うごくおもちゃのしくみ
2年生向けのコミュニケーションデザイン演習
※基本的に手書きでやらせている。
コンテンツの内容がよかったため、Illustratorで清書した。
http://visual-design-2.blogspot.jp/
・事例2
うごくおもちゃのしくみをさらに発展させて、
動画として作成した。
→博物館での展示をゴールとした。
http://www.gege-channel.com/toys/
・事例3:
ペーパーメディア・プレゼンテーション
はさみや動物の要素を解体して
授業の資料もインフォグラフィックスにした。
・事例4
デジカメアニメ「食べる」
パントマイムやストリーテリングの要素を取り入れた。
http://jouhoukiso.blogspot.jp/2011/05/blog-post.html
http://jouhoukiso.blogspot.jp/2011/05/52.html
・事例5
シナリオ作成法
ウルサン大学での事例
観察からインフォグラフィックスを作成し、さらに新しいストーリーを作る。
Expericnce
Step1: 自らの体験をことばで語ってみる。
Step2: その体験の中にある構造を発見する
(構造とは、「たのしい」「うれしい」「かなしい」など、
その経験の価値を生み出すメカニズムといってもよい)
Step3: 発見した課題をダイアグラムとして視覚的に表現してみる。
Step4: 視覚化した構造に新しい設定をあてはめてみる。
(設定とは「世界観」「時代」「場所」
「スケール(大きさ、スピード)「キャラクタ」など)
Step5: 新たに生まれ変わった構造にもとづいてストーリーボードを作成
Step6: ストーリーボードを利用して、新しい物語りをドラマティックに語ってみる。
デザインワークショップの故きを温ねて新しきを知る試み
上平崇仁(専修大学教授)
▼CONTENTS
・情報デザインのワークショップ的に学ぶ意味
・上平の取り組み、事例から5点紹介
・まとめ
▼なぜワークショップなのか?
人は「言えば聞き、聞けば理解する」・・・わけがない。
・一切講義の限界
講義の5ヶ月後には、「事実や主題=2.1% キーワード=29.1%」しか残らない・・・
→学びはあまねく存在する。
学びとは知識をためることではなく、社会的に構成するもの。
★「教え」られると、人は思考停止する。
こうするんだよ、という指示が示されると、
幼児も大人も「この道具は、このためにこう使うもの」という、
機能的な固着を生み出してしまう。
それ以外の使い方ができなくなる。
(「まなびを学ぶ」苅宿/佐伯/高木 東京大学出版会2012)
▼ワークショップ
講義など一方的な知識伝達のスタイルではなく、
参加者が自ら参加・体験して共同で何かを学び合ったり、
作り出したりする学びと創造のスタイル
・身体性
・協同性
・創造性
・共有性
・プロセス重視
▼「個人」と「他者との関わり」
ワークショップに先生はいない。
お客さんでいることはできない。
はじめから決まった答えなどない。
頭がうごき、身体も動く。
交流と笑いがある。
▼ワークショップの分類
(1)アート系、(2)まちづくり系、(3)社会変革系、(4)自然・環境系、
(5)教育・学習系、(6)精神世界系、(7)統合系と大別
▼「ことばドリブン」だけでなく。
★語るための言葉/具体化のための表現
・・・対応付けは常に必要
★トラディショナルな造形基礎のエッセンスを、
ワークショップ的な視点を加えて新しく解釈してみる。
▼「みんなでつくる」の、しくみをつくる。
キット化することで、新しい接点をつくる。
きっかけを持たなかった人々の、潜在的なパワーを掘り起こせる可能性
事例:立方体の均等分割 / 空間思考のトレーニング/ 人力3Dプリンティング
▼いつかわかる、じわじわわかる、その場でわかる。
・いつかわかる
「制約と創造性の関係」
「あらゆる出来事はすべて立体的」「面白さは切り口次第」
「役に立つことがすべてではないこと」
・じわじわわかる
「仮説検証のサイクル」「同じ問題でも多様な解があること」
「分解してみる視点」「逆算の必要性」
・その場でわかる
「Illustratorのスキル」「手が介在する仕事の楽しさ」
「”ぴったり”の心地よさと審美性」「モニタから実体化するうれしさ」
▼実例
2. Color designワークショップ
記憶の色見本帳
それぞれの原風景の経験の中にある色をストーリー付きのカードにする。
3. タイプフェイス神経衰弱
基本的な書体を判別するゲーム
4.OurLife in 20xx
30年前の専修大学の写真を集めてきた。
それを元に、30年後を想像してみた。
5. IA Basic Learning Kit
コンテンツカードをつないで情報設計の基本を学ぶ
※ネットイヤーの坂本さんが監修している。
▼ワークショップの限界
・やった気になりやすい割には、自身に繋がりにくい。
・ワークショップ中毒=温泉説(川島直)
▼まとめ
★過去の事例からは、「かわらない大事さ」が見える。
アート / デザインの系譜を押さえる上でも重要。
今の情報デザイン教育にもいろいろ展開出来そう
★デザインにおいて、ワークショップと実践は両論
学びを活かすうえで、参加者も限界や問題を押さえた上で取り組みたいもの。
写真を使った価値マップによるサービスアイディア発想WS
安藤昌也(千葉工業大学准教授)
▼写真を使ったサービスアイディアのワークショップ
→KA法を使って、写真でワークショップをした。
KA法の最大の特徴は、たった一つの、
どんなに小さな出来事にも価値があるという考え方にたっている。
・写真はフォトエッセイ
・黄色いのは未充足(desire)
サービスデザインでのワークショップでは、
テーマ設定がキモになる。
▼写真を使ったサービスアイディアのワークショップ
「安心、安全に備える」をテーマにフォトエッセイをした。
■サービスデザイン
安藤先生は、スライドを使わず、
ホワイトボードを使うという新しい手法・・・
▼サービスデザインの進展
Service design
→ニーズ→充足 ← 価値
design for Service
→欲求→実現 → 価値
Co-Creation
→意識→参画→価値 ← 機会
(これ自体がワークショップ)
▼サービスデザインのワークショップには下敷きがある。
サービスデザイン.org
AT-ONE(E N O T A)
→5回にわけてワークショップをする。
A Actor
T Touch Points
O Offering
N Needs
E Experience
※Oが大事
O T Aが価値基盤デザイン
E Nはサービス体験のデザイン
※Oをどうやって抽出するか、まだ決まっていない。
※最初のワークショップでは、伊藤園をテーマに「ブレイクする」という内容で実施した。
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