2018年01月24日 HCD-Netセミナー
IoT時代における商品企画と品質保証 〜Kano Model、品質の内部構造等を用いた魅力品質創造による売上向上のための品質の実現を!〜
高円寺で行われたHCD-Netセミナー「IoT時代における商品企画と品質保証 〜Kano Model、品質の内部構造等を用いた魅力品質創造による売上向上のための品質の実現を!〜」に参加してきました、中野行きの総武線だとヴァル研究所のある高円寺には止まらないので要注意ですね。
今回はKanoモデルで有名な東京理科大学名誉教授の狩野紀昭氏のセミナーということで、
瞬殺だったらしいそうです。
▼プロフィール
・石川馨教授に師事
・大学と現場を行き来してきた。
・海外出張も通算12年ぐらい
・アメリカ品質学会の名誉会員
▼今回の参加者
・研究・開発・設計が20名以上
・半数が文系
・海外駐在経験有りが5名
■本題
▼0.コスト低減に加えて入り上げ拡大に向けた品質を!
・最悪のクエスチョン→「事例ありませんか?」
・事例ってのはやめていただきたい。
▼今日、品質は何を意味するか?
・買い手の行動変化(20世紀:始めての購入。21世紀:買替購入)
・産業界では品質をネガティブな意味で使うが、消費者はネガティヴにもポジティブにも使う。
・品質の意味(アリストテレス)
→種と間の差(例:脚の数:人間と馬の違い)
→良し悪し
▼1.競合優位としての
品質とは何か?
・漢字の源に探る
→斤斤(重さの単位)
→貝(貨幣)
対価を満たすだけのものを充当すること。
▼第1レベルの質
顧客の異本的要求への適合
→自動車のエンスト(1950~1960)
▼第2レベルの質
明示された顧客要求の満足
→CS:顧客満足(Customer Satisfaction)
▼第3レベルの質
顧客の潜在要求を探求し顧客の期待を超えた歓喜を実現
→CD:顧客歓喜(Customer delight)
好ましくない→顧客歓喜と顧客満足が別々
好ましい!→顧客満足を包括するように顧客歓喜がある。
品質創造には品質管理、品質統制が含まれる。
▼○○の3レベル論
→何にでも使える
例:BF(ボーイフレンド)の3レベル論
▼2.魅力品質理論
2.1
カラーテレビの品質要素(1980代)
→品質要素と品質特性
品質要素
お客とコミニケーションできる最低要素
品質の2元的認識
→顧客の満足感と物理的充足状況をグラフ化
・当たり前品質(安全性)
・魅力品質(リモコン)
・無関心品質(音声多重)
魅力品質調査
充足と不充足の質問をする
アンケート調査する時は必ず「その他」を入れておく
2.2 品質のライフサイクル
・リモコンの評価(1989年代だと魅力的と評価されて来ている)
だんだん広まっていくと無関心になっていく。
無関心→魅力的→一元的→当たり前品質
例:ガラケーからスマフォ(2007年に切り替わった)
最初は無関心(無知)
学生の中間テストの結果が悪い
→MayとJohnの幸せ物語という漫画を作った。
▼3. 品質展開による品質表 帰納法
3.1顧客言語と企業言語の違いについての認識と品質表への発展
・水野滋と赤尾洋二の発見
プロダクトアウトからマーケットインへの革新的プロエス
1.顧客言語と技術言語は異なる言
2.顧客言語と技術言語のそれぞれは階層構造で表示
→品質展開
3.顧客言語と技術言語のマトリックス表示
顧客要求の品質規格への展開
→品質表
展開:Deployment(軍事用語)
▼顧客要求のリストアップ (事例:良く縫える工業用ミシン)
→階層構造で整理できる。
3.2 統括的QFD活用による品質規格から品質保障への統合的推進
例:フォークリフトの品質管理
21世紀はQFDの世紀になるであろう
用紙のサイズ(A4/A3)からの解放
→Excelでの応用は多大な貢献をする
3.3 品質表上での興味ある発見
▼4.品質の外部構造と内部構造
製品品質要素の包括的列挙のための演繹理論
品質の外部構造
→取引の際に買い手が考慮する要件から品質
4.2 新規製品Xの品質要素をリストアップするとどうなるか?
品質の内部構造の構築
・価値(有用性・弊害性)
・実在(空間・時空)
・経済(経済性(価格を含まない))
品質の内部構造
品質→有用性
→安全性
4.3 事例:焦点調節距離機能の品質要素の推移
機能→性能→操作性→付加機能
4.4
品質の内部構造と対照:品質表上の品質要素の洩れチェック
心理特性、スペース関連
▼5.魅力品質創造
5.1 ピッカリ、ジャスピン・コニカの米山氏による説明
→露出不足、ピンぼけ→カメラの問題ではなく「撮影者の不注意」
「撮影者の不注意」むしろ「潜在要求」
→写真撮影のためにカメラを買う。
カメラの調査はするけど、撮影者の調査はしていない。
→その結果、フラッシュ内蔵式、オートフォーカスを導入した。
▼米山モデル
・製品についての顧客調査→明示の要求→品質改善
・製品の購入目的・使用状況に目を向けた顧客調査→潜在的要求→品質創造
事例:雨具
いかなる新規性を加えることができそうもない
単純な構造の成熟商品の典型的な例
(雨傘の調査をしてもダメだよ、雨の日の歩行者の観察をしなさい)
対照ユーザー:赤ん坊連れの母親
テーマ決定:赤ん坊連れの母親のための魅力的な雨具の開発
→コストアップを抱き合わせ・複合化で目立たなくする。
↓
「全天候型赤ちゃん連れ主婦用リックサック」の機能
・主婦による評価を行なったところ、50%以上の魅力的品質を得た。
事例:工業用ミシン JUKI社
アパレルメーカーに行って市場調査をしたほうがいいのでは。とアドバイス
→工業ミシンについての調査しかしていない、縫製工程の調査をしていない。
縫製工場における作業不良のパレート図
→一番が、新人訓練不足
→コンピューターミシンを作ればいいのではないか。
事例:ビジネスホテルのイノベーション問題
→客室内に残されたゴミの分析
ハウスキーパーの格好をして調査した。
→「圧倒的にホテルが提供した洗面用品」
→コンビニ等から持ち込んだ軽食類のゴミも多い
実例:耐火物の例
→生ごみを燃やすとゴミが詰まってしまう。
→耐火物について調べちゃダメだよ。
No.1 棚吊りの発生を防止
No.2 棚吊りの解消時間の短縮
→壁に特別のライニングを設置する様なことにした。
→顧客メリットが増大するし、販売利益も向上した。
5.3 魅力的品質創造のプロセス
潜在的要求の抽出と一般性の確認
↓
潜在要求の実現に向けた製品企画
▼6. IoT時代の品質創造と品質保証
・IoQ :品質保証イントラネット
→The Intranet of qualitiesの略
前半はKano modelの話で、後半は実例を取り上げたお話を聞けました。
ちょっとわからないところもありましたねー。
しかしKano modelのお話を実際に聞けて有意義でした。いつも他の人の論文などに引用されているけど、詳しい内容まで知らなかったですからねー。
それにしても4時間のセミナーだとケツが痛い。
■参照:
日本の情報サービス産業の品質と今後の課題
狩野の品質モデルによる路線バスサービスの特性分類
狩野モデルと商品企画
GCgate エンジニアブログ
魅力的品質・当たり前品質を考慮した知覚品質と購買態度との関係に関するモデルの提案
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