Tama Design High School デザイナーの手元で起きていること 2023年12月15日

■自己紹介
山下亮さん
外資系メーカーのインハウスクリエイター
クリエイティブストラテジスト
アートディレクター

▼デザイナーってどんな職業?
・グラフィック/ビジュアルデザイナー
・デジタルデザイナー
・プロダクト開発デザイナー
・インダストリアルデザイナー
・戦略デザイナー
・サービス/体験デザイナー

・デザインは、問題を解決するためにcreativityを用いたときに起こること。(Design Council)

・組織の中のデザイナーの役割
 デザイナーって組織の中でどんな役割を担っているの?

・デザイナーは、芸術家や工芸家と伝統的に理解されていたが、
今は組織の中でより戦略的な役割を求められているのであろう
(Design Bits)

・例えばインハウスデザイナーだと、
 R&D or マーケティングに分別される
 チームの一員として戦略的にプロジェクトに参画する

・他の専門分野とともにデザインは大きな問題に立ち向かい、
身近なものからよりグローバルなものまで解決方法を探ります
(Tuuli Mattelmaki)

・なぜデザイナーが組織に必要とされているのかというと、
解決すべき問題が複雑になってきているため、
答えが一つではなく(答え自体もない)、
課題設定の質がより重要になってきているため、
人間中心のクリエイティブな問題解決アプローチをする
デザイナーが重要視され始めている。
(デザイン思考が世界を変える)

▼デザイナーの手元で起きていること
・デザインプロセスの説明のために最も一般的に使用されるプロセスは、
1.Design Councilの「Double Diamond」
2.Stanford Universityの「Design Thinking」

★Double Diamond

▼山下ひとりエクササイズ
 Challenge:ガラスの良さを知ってもらいたい

・問題:ガラスの良さを知ってもらいたい
・仮定:重い、割れやすいはガラスの価値といえるのではないか?
    ガラス(ボトル)が代替された時に、価値要素が抜け落ちた可能性はないか?
・課題:ガラスびんの持つ、重い、割れやすいという要素をポジティブな価値にする
・展開:どこで→バーなどのおしゃれな場所(重い、割れやすいが価値になる場所)
    なにを→ペットボトルで今日流通している商品 
        (びんの代替物で展開されているもの)
    どうやって→ガラスびんで
提供:バーでガラスびんのアイスティを飲むという体験価値の提案

・Double Diamondの注意点
 実際にやると直線的には進まない

・そもそもこの課題って問題を正しく反映させているの?

・このソリューションでは課題を解決できない。。。

・よくデザイナーの手元で起きていること
 イノベーティブなアイデアが起こりやすい思考方法

・イノベーションとはそもそもなんであるか…
 イノベーションには「シフト」(変化)が必要であり、
 そこには満たすべき要件が3つある。

 1.見たこと・聞いたことがない
 2.実行可能である。
 3.議論を生む(賛成/反対)
 
▼Double Diamondで見るデザイン事例
 ・ドローンのガチャガチャ

 ・問題:ドローン(メーカー企業名)をもっと知ってほしい
 ・問題の再定義:本格的なドローンを所有している個人も少ない
        「所有する→手に入れる」に変換して考えられないか
 ・理想的な表現:どこで→全国のガチャガチャスポット
         なにを→ミニチュアのドローン模型
 ・課題:ドローンのかたちをしているものを
     製品以外で積極的に手に入れたくなる仕掛けができないか
 
 ・提供:本物を手にしたことも機会もない人に、
     ドローンの製品デザインや機構、造形美をガチャガチャで
     知ってもらう。

▼Double Diamondで見るデザイン事例
 ・COGENT LABS

 ・問題:ロゴを新しくしたい
 ・問題の再定義:
   会社名への想い「Cogent=一緒に」。AI OCRがメインサービス
   社員と一緒に未来を作る会社のロゴはどのようなものがよいのか? 
 ・理想的な表現:
   どこで→金曜日のHappy Hour
   なにを→ロゴ制作シートを使って
   どうやって→ロゴ制作ワークショップ 
 ・課題:デザイナーがロゴを提案して、デザインするのではなく、
     一緒にロゴを作れるプラットフォームを提供することはできる?
 ・提供:みんなで作ったロゴデータとロゴの作り方を納品。
    「0.5mmのボールペンで5cm程度の丸を時計回りに12周する」と
    企業Identity化する。

▼デザイナーの手元で起きていること
 デザイナーは、
 -提示された問題を再定義っし、
 -いかに課題をうまく設定して、
 -どのような解決方法を提案をすればよいのかを考え、
 -さらにこの発想自体をかなり早い段階でみんなに
  理解してもらう「文字以外の表現スキル」を使い、
 -時には、イノベーティブな提案にするため理想像から創り上げて、
 -最終的には美しいといわれるものを作る
 というプロセスを全体を俯瞰をしながら経ている。

■質疑応答
Q.質問したいこととしては問題の再定義の部分についてちょっとお聞きしたいと思っていて、おそらくそこの問題の再定義をうまくできることっていうのが一番最初のコツというかそういったものになるのかなと思うんですね。
そうするとおそらく顧客とかから提示された問題について、おそらくインタビューとかをたくさんしながら、それを再定義していくっていう過程があると思うんですが、その最低限のコツというか山田さんが大事にされていることなどもしあれば教えていただければと思います。

A.まさにその辺りっていうのが本当に難しい。なんですかね何年もこういうことをやっていて、なかなか骨が折れる作業っていうところはもう本当に大前提としてあるんですけども、簡単に言うと本当にあの、いかに自分がバイアスだったりとか、その無意識な形で、そのもの自体に偏見を持ってるのかっていうことを自分自身でみんな見つめ直すっていうことが一番の一番最初の鍵かなというふうに思います。というのも、もう本当に情報社会って言ってはいるところはあるんですけども、それに限らず、いろんな情報だったり、過去、自分が触れてきたものに対して、自分なりの考えができていて、リンゴ赤いって思って、
そこに黄色いリンゴが出てきたときにこれはリンゴって言えるのかっていうふうに思ったときに初めてその黄色のリンゴを見たときに、リンゴは赤いじゃないっていうふうなことが気付くみたいな、その何か対象物があるとすごい気付きっていうのわかりやすいんですけど、この対象物を見つけるっていうことが、個人的にはすごい一番簡単なバイアスの破壊の仕方なのかなというふうに思います。つまり、世の中にあることを、いろんなアンテナを張って見ていくことによって、この人が言ってることってもしかしたら、この辺りで行っていた。このあたりこの情報と照らし合わせるとちょっと違うかもしれないっていうふうに思ったりとか、常に自分の中で、絶えずその人を疑うっていうより、その人が言ってることが本当にあの正しいのかどうかっていうところを自分でジャッジするための判断基準を持つっていうところが一つの一番最初の、再定義するっていうときに、
重要なところかなと個人的には思います。

Q.個人的なことで恐縮なんですが、私今小売業で接客販売営業を15年間ぐらいずっとやってるんですが、ちょっと自分で他にDJイベントの制作をしておりまして、キャリアの方ですね、クリエイティブな方向にちょっとチェンジしていきたいという思いがありまして、クリエイターやアーティストの営業代行から始めて次、クリエイティブディレクター、という形にどんどん自分としてはキャリアアップしていきたいと思うんですが、クリエイティブディレクターになるにはといいますか、そして大事なことというか、うんって言うのはどういうことをこれから学んでいったらいいのかなというのがちょっとありまして。

A.いい質問ですけどすごい答えるのが難しい質問かなと思うんですけど、
なんですかね一番根底にあるところは、僕もそうなんですけど、その職業が好きっていうところがやっぱり大切ですねどうしても、デザイナーだったりとか、クリエイターっていうのはここにいると、本当に気づきにくいかもしれないんですけど、だったりとか、なんすか美術大学だったりとか、そういう囲われたみんなが周りがデザインを目指している場みたいなところにいると本当に気づきにくいんですけども、マイナーな職業です。なので、どちらかというと、すごい誤解されたりとか、いわゆるいわゆるデザイナーって書く人たちでしょって言って問題解決とかできるのって言われることも本当にあります。でもそのときに自分が好きでなければ、すぐ心が折れてしまうというか、本当にこれで良かったのかって思ってしまうと思うんですよ。なので、一番何すかね答えになってるかどうかはわかんないですけども、その職業であることに自分で誇りに思って、その職業や、自分がやってることっていうのをまず好きになるっていうところが一番重要なのかなと。なので、もう本当に典型的なもありふれた言葉で言うともう好きこそものの何とかみたいな、もうそこまで言えばあれですけども、みたいなところがやっぱり重要なのかなというふうに思います。

Q.これからデザイン思考などいろいろ身につけていくために参考にすべき人や本などありますか

A.遠藤大輔さんの「デザイン、学びの仕組み」
 濱口 秀司さんの「SHIFT:イノベーションの作法」

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