第5回HCD-Netサロン「ユーザーエクスペリエンスのアプローチ」2011年10月05日

はじめに

山崎和彦(千葉工業大学)

HCD-Netでは、7月に2つのイベントを実施した(HCIインターナショナル)
それの発表者を中心にしたフィードバック。

サービスデザインにおけるエクスペリエンスへのアプローチ

近藤 朗(日立インターメディックス)

最近、サービスデザインという言葉が注目されているが、
まだ定義が固まっているわけでない。

▼サービスデザインの重要性の認識
 イノベートアメリカ(いわゆるパルミサーノレポート)
 先進国のほんとんが、サービス業を中心に、働いている。

▼製造業とサービス

  例:apple
         →製品だけを売るのではなく、関連サービスを含めたビジネス

  ・サービスドミナントロジック
    例:スポーツメーカー
    本来はスポーツ用品というモノを提供するのが生業だったが、
    今日では、企業が皇居周りのランニングをサポートするステーションを
    設置したり、また別な企業がHP内で所属チーム探しや対戦チーム探しを
    サポートするサービスを行っていたりと、
    充実したスポーツの実践環境の提供に力を注ぐのが、
    当たり前になりつつある。

 ▼サービスの特性
    ・ 同時性
        生産と消費が同時に起こる

     ・消滅性
   蓄えておくことができない。

     ・無形性
   見えない、触れられない

     ・変動性
   誰が、誰に、いつ、どこで提供するかに左右される。

▼サービスのマネジメント
   サービスビジネスのモデル
   → サービス・プロフィット・チェーン

▼サービスの評価
    JCSIの因果モデル

▼サービスのエクスペリエンス
   茶道におけるおもてなし「主客一体」
      →主人と客が、それぞれ主体を維持しながら、
   同じ「おもてなし」の場を共有して、相互が共鳴して、
   新しい価値を創発していくような関係。

  ★ サービスは常に固定ではなく、お客さんといっしょにつくられるもの。

▼サービスのエクスペリエンス
   ・真実の瞬間
       →スカンジナビア航空の改善例
  →主にサービス業で使われる言葉で、
   従業員が顧客と接するわずかな時間のこと。
   現場スタッフの接客態度や店舗設備の状況などから、
   その企業全体に対する印象、評価を決定する瞬間となる。

  真実の瞬間―SAS(スカンジナビア航空)のサービス戦略はなぜ成功したか
  ヤン カールソン
  
 ・スターバックスコーヒー「サードプレイス」
  職場とも家庭とも違う、安心して集うことのできる

 ・エクスペリエンスのために4つの鍵
  ディズニーランドの「SCSE」

 ・リッツカールトン「顧客満足」
      クレド というカードを保有して、サービスを提供した。

▼サービスデザインとは。
 サービスデザインとは、サービスの提供者と需要者におけるインタラクション
 およびサービスの品質を向上させるために、関係者、サービスの基盤、
 コミュニケーション、そしてサービスの要素をいかに配置し、
 組織化するかの経過を立てることである。

  やり方としてはIDEOにおけるデザイン・プロセスの5段階
  ・Understand(理解)
  ・Observe(観察)
  ・Visualize(視覚化、具体化)
  ・Refine(改良)
  ・Implementation(実行)

▼サービスのデザイン手法
    UrbanOmnibus社

Service Design Tools
 http://www.servicedesigntools.org/repository

▼HCII2011でのサービス研究事例
 ・The Essence of Enjoyable Experiences :
  The Human Needs A Psychological Needs-Driven Experience Design Approach
   楽しいエクスペリエンスの本質:
   人間のニーズ、心理的なニーズによるエクスペリエンスデザインアプローチ

  ・Employee Experience Management of Convenience Store in Beijing
  北京のコンビニエンスストア店員のエクスペリエンスマネジメント

  ・Design for All:
  Social Innovation and Service Design Education and Practice in China
  全ての人のためのデザイン:
  中国における社会的イノベーションとサービスデザイン教育の実践

NECにおけるブランドとUCDへのアプローチ

藤井浩美(NEC)

▼みじかなブランド体験?ウォーキングシューズ
     →ブランドは知らないけど、歩きごこちが良かった。
         EASYTONE+ だった・・・・
          (今はナンバーワンブランドに成長)

▼ブランドと品質
   ブランドを作って行くことを考えると、
   当たり前品質だけではなく、魅力的品質が重要で
    「感動の体験」と「自社らしさ」が必要。
    この2つがあるとブランドが形成されるのでは。

▼「NECらしさ」をあらゆる視点でかんじていただく。
     ・NECのパーソナリティ
   「Innovatiove & Passionate」
     
  ・NECのベネフィット
   昨日と違う明日を実現することで生まれる”驚き”
   不可能を可能にすることで生まれる”感動”
   共につながることで生まれる”歓び”

      どのような経験(顧客価値)を実現するか?
          →UCDのプロセスが有効では。

▼ビジョン実現に向かうアプローチとしてUD/UCDを位置づけ
 ユーザー中心設計
    ↓
 NECグループのユニバーサルデザイン
 ・Accessibllity 使うことができる
 ・Usabllity 使いやすい
 ・Innovation 使いたい
    ↓
 人と地球にやさしい情報社会の実現(NECのグループビジョン)

▼UCD事例の紹介

 ・堅牢ノート「ShieldPRO」の市場開拓
   工場の利用を前提に作られたPCだが、
     それ以外での利用シーンでも使えるように、UCDを行った。

   お客さん目線で考えると、
   様々な利用シーンが見つけることができた。
   →省スペースサーバとしての活用
    
     ↓実現
  24時間稼働保証が独自の付加価値へ。

▼ShieldPROの開発プロセス
 ユーザー情報の把握

 ・事例集を営業や販売店に紹介(導入前の課題、選定理由、導入効果)
  →販売店から用途や使われ方が提案

 ・PJメンバーが常にお客様視点で開発が進められる情報共有の仕組みと体制を確立
  →毎週の定例ミーティングでお客様の使い方を報告
  →お客様からの問い合わせメールを開発者全員が共有

 ・開発メンバーもお客様の現場へ行き、
  生の声や利用状況を肌で感じて開発へフィードバック

▼UCDの事例(2)ユーザの心理分析に基づくWebサイト改善
 ・対象コンテンツ
   Explanner /Ai ERPパッケージ

 ・改善の目的
  ・流入の改善
  ・コンテンツの改善
  ・有効問い合わせ数、資料請求数の増加

 ・流入の改善
  ・リスティングキーワード洗い出し
  ・SEO対策の徹底(メタタグ等)
  ・その他流入経路を洗い出し、注力する施策を絞る。

 ・コンテンツの改善
  ・ターゲットの洗い出し
  ・ユーザシナリオを策定
  ・シナリオに沿ったサイト構成に見直しし、
   ランディングページのレイアウト等も修正
 
 ※ターゲットユーザの行動観察調査(意見を聞かない調査)
  →仮説検証→リリース後に効果検証

  ▼UCDの事例(2):改善後の問い合わせ数の増加
 改善PJ後1ヶ月間の問い合わせ数は前月から2.7倍。
 2008年からは約7倍の増加
 
  ・一気通貫の改善PJT
  ・集客施策改善
  ・トップからの導線改善
  ・サイト内改善
  ・フォーム改善

▼UCDの事例(2):検索ワードからの心理分析に基づく改善
 集客からゴールまで一気通貫の理想シナリオを描き、改善施策を実施

 ・製品名は忘れたがNECの基幹システムの情報が見たい。(NECの指名買い)
   →商品名は知らないけど、NECは知っている
    製品名ではなく、製品カテゴリーで振り分け

 ・Explannerと検索した人
   →商品名は知っているので、すぐに資料をダウンロードできるように。

 ・自社の業種・規模にあったERPを探したい。
   →NEC内のERPを比較できるページを新設し誘導。

 ※ユーザ調査を元にレイアウトを変更。
  ユーザの求める情報を上位にし、お問い合わせへの要求を喚起する。

▼UCDの事例(3):ヤマト運輸「See-T Navi」システム
 セールスドライバーの安全・エコ運転を支援する車載システム
   http://www.nec.co.jp/ad/onlinetv/ja/business/yamato_h.html

 SDの支援機能
 ・運転内容や運行エリアについてGPSと連携して各種の音声ガイダンス/警告
 ・ドライブレコーダー/デジタルタコグラフ搭載により、
  一日の運行内容を確認でき、
  営業所での日報や日々のマネジメントの活用
 ・SDの携帯電話とBluetoothにより車載システムとのスムーズな連携

▼経験の価値
 段階があがると前の段階より大きな価値が生み出され差別化もしやすくなる

 コモディティ→製品→サービス→経験

▼最後に。あらゆる顧客接点でのブランド体験の実現を目指して。
 ・商品、サービスに関わるエクスペリエンス
 ・さまざまな顧客接点(コミュニケーション)でのエクスペリエンス
 ・IT技術(モバイル・クラウド)によって新しいエクスペリエンスが可能に

 ※エクスペリエンス提供のコスト低下で広がるビジネス機会
  UCDの適用範囲はますます拡大

▼質問タイム:NEC内でのHCDの実現で苦労していることは?
 →いい事例の共有
 →苦労している人たちの座談会

ブランドエクスペリエンスのアプローチ

山崎和彦(千葉工業大学)

■Bland Exprience in NY

▼Holliday in NY
  →普通の中華料理を食べに行ったが、マジシャンが登場。
  イノベーションのワークショップをしている。
  企業のエグゼクティブの前でマジックをやって、発想のチェンジを行う。

▼Content Evolutin in NY
  →ブランドとエクスペリエンスを実現している会社。

▼inter brand in NY
 →ブランドをメジャーしている(価値を図る)

▼Audio brain in NY
 http://www.audiobrain.com/
  →音のブランディングに特化した会社

▼Jack Morton Worldwide in NY
 http://www.jackmorton.com/
  →ダンスバンドのプロモーションを行っている会社。

▼Pratt Instiure in NY
 http://www.pratt.edu/

▼Smart design in NY
 →キッチンツールのプロダクトデザインを担当している会社。

▼まとめ
   Customer experienceのチャート
    →感情に届いてこそ、イノベーションになる。

  It is the blend of the physical, the senses, and the emotions evoked

これからのユーザーエクスペリエンスのアプローチ

黒須正明(放送大学)

黒須先生→やっぱり俺は工学系じゃないな・・・・
UXの評価方法のワークショップがあった
そのとき、20人中、アカデミックな人が18人だった、インダストリーは2名。
→UXの現状なのではないか・・・

1.UXの道

▼ユーザの経験や主観的な側面
 ・Whiteside and Wixon (1987)
 ・Carroll and Thomas(1988)

▼Jordan, P. (2000)
  嬉しさを4つに分類した。

▼Norman, D.A. (2004)
  エモーショナル・デザイン
  人間の特性を脳機能の面から、
   ・自動的きで生来的な本能(visceral)レベル
   ・日常行動制御する脳の機能による行動(behavior)レベル
  ・脳の熟虚する部分による内省(reflective)レベル

▼Csikzsentmihalyi, M.(1990)
 ・フロー「注意が自由に個人の目標達成のために投射されている状態」
 ・できるだけ多くフローを体験するように自分の意識を組織できれば、
  生活の質は必然的に向上するようになる。

▼感性工学
 ・出発点としての長町(1989)
  「商品とか環境といった物的対象に対して心の中に抱く感情や
  イメージのあるまとまった心的状態のこと」

 ・感性工学の手法 長町(1995)
  製品コンセプトを分解して物理特性に落とし込むI類
  感性に関するデータベースにより物理特性を求めるII類
  そこに数学モデルを導入したIII類

▼日本における感性工学
 ・「 直感的な想像と知的活動としての記述の相互作用を行う心の働き」
  (原田 2002)
 ・感性価値創造イニシアティブ(2007)
 ・sensibilityなどの単語を用いず、”Kansei”という表現にこだわっていて、
  国際会議などでも独自のスタンス
 ・Cockton(2009)は、Kanseiについて
 「人間行動の基盤として存在する情緒の構造」であるとみなし、
  それを合理性(rationality)にたいする情緒性(emotionality)と
  シンプルに位置づけ、UXに関して知性と感性を厳密に区別することは
  益が少ないだろうとしている。
 ・日本だと美学と感性に訳されてしまった・・・

  感性→人工物に対する感情?

▼経験マーケティング
 1980年代から、コトラーなどが提唱。

▼Pine II , B.J.ando Gilmore, J.H(1999)
 ・「経験は常に身の回りにあったけれど、
  これまではドライクリーニング、自動車修理、卸売業、通信業などといっしょに
  サービス業に分類されていたため、存在に気づいてもらえなかった
  経済価値である」
 ・コモディティとは、差別化特徴を失って量や価格で扱われるようになった商品。
  もともとは農産物のように自然界から得られる産物。
 ・製品とは、コモディティに加工を施すことにより、
  それよりも価値を高めたもののこと。
 ・サービスとは、顧客の個別の要求に応じてカスタマイズされた形のない
  活動である。

▼経験マーケティングのポイント
 ・コモディティ化しないよう、
  製造業は製品をサービスでくるんで提供しようとする。
 ・経験とは、顧客を魅了し、サービスを思い出に残る出来事に変えることである。
 ・消費者は、ある製品を使う過程でいくつもの経験に遭遇し、
  そうした経験の中に差別化の可能性が秘められている。

▼経験マーケティング
 ・経験マーケティング(experiential marketing)では、顧客の感覚や感情、
  精神への刺激によって引き起こされる経験に焦点化する
 ・特定の商品に注目するのではなく消費状況全体を考察する
 ・顧客を合理的であると同時に情緒的な動物であると捉える
 ・方法やツールについては折哀主義をとる。

▼Schimitt , B.H. (2003)
 ・顧客経験マネジメント(CEM:Customer Experience Management)
 ・顧客の経験世界の分析(第一段階)、
  経験プラットフォームの構築(第二段階)、
  ブランド経験デザイン(第三段階)、顧客インタフェースの構築(第四段階)、
  継続的変革(第五段階)という段階を踏む必要がある。
 ・調査方法
  日常的な環境で調査を実施すること、適切な顧客の反応を引き出すために、
  実際に近づけた刺激を用いること、
  顧客にさまざまな現実を思い起こさせること。
  いわゆる実フィールドでの調査
  近年ユーザビリティの分野で話題になっているエスノグラフィの
  現場インタビューと基本的には同じ。

 2. UX

▼初期
 ・UXという表現を用いた初期の書籍
    Fong(1975)
    Davis(1975) など。

 ・ユーザビリティ概念からUXへの流れを明確な形で最初に提起したのは
  Norman(1998)
 ・「製品に関して、それがどのように見え、学習され、使用されるか、
   というユーザのインタラクションのすべての側面を担う。
   これには、使いやすさと、最も重要なこととして、
   製品が満たすべきニーズが含まれる。」

▼UXの定義
 27件の定義がAll About UX(2011)に記載されている。

▼Nielsen-Norman Group
 「企業やサービスや製品とエンドユーザのインタラクションのすべての
  側面のこと。典型的なUXにまず必要なことは、
  顧客のニーズについて拡張なしに的確に適合させることである。
  次に、所有や保有をしたくなるような製品を作るための単純さや簡潔さ。
  真のUXは、単に顧客が欲しいモノを与えたり、
  チェックリストで検証できるような特徴を提供したりすることではなく、
  それ以上のことである。
  企業が高品質のUXを達成するためには、エンジニアリングやマーケティング、
  グラフィックデザイン、工業デザイン、インタフェースデザインなどの
  多様な取り組みを連続的に結合しておくことが必要である。」

▼UPA
 「ユーザの全体的な知覚の構成要素となる製品やサービスや企業と
  ユーザとのインタラクションのあらゆる側面のこと。
  UXデザインは、レイアウトや視覚デザイン、テキスト、ブランド、
  音響、インタラクションといった要素を含むインタフェースの
  あらゆる構成要素に関係している」

▼ウィキペディア
 「UXはシステムの利用における感じ方に関わるものである。
  UXはHCIの経験的で有意義で価値のある側面や、
  製品を所有することに焦点をあてるが、同時に、
  システムのユーティリティや使いやすさ、効率などをユーザがどのように
  知覚するかにも関係している。
  UXは個人のパフォーマンスやシステムに対する感じ方や考え方に
  関わるものであり、主観的な性質を持っている。
  また、UXは状況の変化につれて変化するために動的なものでもある。」

▼Hassenzahl & Tractinsky(2006)
 「ユーザの内的状態(体質的要因、期待、欲求、動機付け、気分など)、
  デザインされたシステムの特性(たとえば複雑さ、目的、ユーザビリティ、
  機能性など)、インタラクションが発生する状況
 (つまり組織的/社会的セッティング、活動の有意義度、利用の自発性など)
  による結果」

▼Hedonic
 ・THe Sherter Oxford English Dectionary(1933)によると、
  Hedonicという単語の初出は1656年だそうで、
  pleasurableという意味のギリシャ語に由来している。
 ・参考までにhedonismの初出は1856年
 ・形容詞としては嬉しさ(pleasure)に関係している。

▼ISO-9241-210
 製品やシステムやサービスを利用した時、
 および/またはその利用を予測した時に生じる人々の知覚や反応のこと

 1.UXとは、利用の前、最中、その後に生じるユーザの感情、信念、嗜好、知覚
  生理学的、心理学的な反応、行動や達成などのすべてを含む。

 2.UXは、ブランドイメージ、知覚、昨日、システム性能、
  対話行動や対話システムの補助機能、
  以前の経験から生じるユーザの内的-身体的状態、感度、技能や性格、
  および利用状況の結果である。
 3.ユーザの個人的目標という観点から考えた時には
  ユーザビリティは典型的にUXに結びついた知覚や感情的側面を含む。
  ユーザビリティの評価基準はUXの諸側面を評価するのに、
  用いることができる。

3.UX白書

▼UXの時間的展開
 Virpi Roto(2007)のモデル
 予期的なUX→インタラクション中のUX→全体的UX

  予期的UX→ 短時間UX→エピソード的UX→累積的UX

▼UXの影響する要因
   文脈(context)
 ・他人と作業をするというような社会的文脈
 ・テーブルの上で製品を使ったりバスの中で使ったりという物理的文脈
 ・周囲にあって同時に注意を払うべきタスク文脈
 ・ネットワークへの接続などのような技術的、情報的文脈
   ユーザ
   ・モチベーションや気分、精神的資源や身体的資源、期待。
 システム
 ・対象システムにデザインされた機能性や審美性などの特性
 ・機器に張り付けられた写真のようにユーザが追加したり、変更したりした特性。
 ・ブランドや製造業者のイメージ

6.UXの評価

  ▼経験サンプリング法(ESM→experience sampling method)
  ・ユーザに随時連絡を行い、その時に何をしているか、何を考えているか、
   どんな気持ちでいるかを尋ね、日常行動のサンプリングを行う。

  ・連絡は携帯電話で行うことが多く、一定時間おきに行ったり、
   ランダムに行ったりする。またそのときの気持ちについては、
   5段階尺度を用いたり、後述するAttrakDiffを利用したりする。
  ・記憶による情報の変容やバイアスを防ぐことができるのが利点といえる。

 ▼前日再構築法(DRM: day reconstruction method)
   ・前日のできごとをエピソードの羅列として記述させるもので、
   ダイヤリー法の一種である。またエピソードについて、
   それが起きた状況や、それに対する気持ちを書かせる。
  ・この結果、エピソード情報に関連した情緒的な経験を
   まとめあげることになる。

 ▼Attrak Diff 質問紙
  Hassenzahlが開発した尺度。
  SD法の評価的尺度項目をベースにした手法
 
  →形容詞対を訳してみたら、日本語としては微妙になったので、
    これは日本独自で作るべきだろう。

   例:混乱した-構造化された。
            退屈なー魅力的な
            良いー悪い

 ▼身体感覚的評価具(sensual evauation instrument)
   →経験の言語化せずに、8つの立方体から、
   そのときに感情にあうものを選んで、経験をインタビュー

 ▼目標指向的行動(GOB)

8.まとめ – UXの特徴

 ▼実環境性
  ・ユーザビリティはユーザビリティラボにおけるテストでも
   評価しうる概念であった。
  ・UXは実際の環境において実際に機器やシステムを利用している場合に
   始めて評価できる。

 ▼包括性
  ・単品の評価に焦点化していた従来のユーザビリティ評価の限界を乗り越える。
   相性問題
   交通機関

 ▼感性への着目
  ・ユーザビリティでも満足度は着目していた
  ・しかし感性的経験は、満足度に集約されない
  ・心地よさ、楽しさ、うれしさ、快適さ、幸福感、満足感は、
   それぞれ感性の異なる側面を表現
  ・満足度がその上位概念ではない。

 ▼ポジティブ志向
  ・ユーザビリティは、使いにくさからの脱却。
   無香性、非効率性、不満足の否定
   フロー体験もその方向
  ・しかし、人間の生き方そていそれだけで良いのか、という疑問
   人間の実存在に対する視座を忘れ、
   楽しさや快適さばかりを追求していていいのだろうか
  ・人工物による快適な経験と生き方とは別だ。という言い方もあるが・・・

 ▼主観性
  ユーザビリティ
   ・有効さ、効率、客観的指標
   ・満足感、主観的指標

  UX
   ・基本的に主観的経験
   ・客観的特性から規定することはできない
   ・両者の関係は主観的経験がもたらされた後に、明確にされうる。
   ・designing for UXは可能だが、designing UXはありえない。

     ※UXをデザインをするなんて、おこがましい。

まとめ

なかなかWebの改善事例がないなかで、
NECの藤井さんの事例は、実業務に直結していたので、
非常に参考になりました。

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