ずっと参加したいと思っていた、
Ba Design Labにやっと参加することができました。
場所は東大の福武ホール、
1ヶ月後にここでワークショップするんだよなぁと思いながら、
受付へ。
まだ参加者がほとんど来ていなくて、
スタッフの学生さんが多い。
チェキで写真をとってもらい、
名前と自分を表すキーワードを3つ書いて、
それをボードに貼る(写真とるの忘れた。)
軽食とビールを手に席へ。
まだ、
参加者が全員集まってないとのことで、
チェックイン的に、
「図形を伝言するワークショップ」から
Ba Design Lab
▼概要
ワークショップ研究の「方法論」に焦点を当てた公開研究会。
安斉さんの研究活動(ワークショップデザイン論)と連携させながら、
毎回様々なテーマを設定して不定期で開催しています。
▼目的
ゲストのプレゼンテーションを聴いて知識を獲得するだけでなく、
ワークショップの方法論に関する新しい知を仮説的に生成すること、
また、実践家同士がつながりを作り、実践知を共有すること。
▼これまでのテーマ
第1回「アイデアを生み出すワークショップデザイン」
第2回「ワークショップを支える空間デザイン」
■本日のプログラム
▼テーマ
多様性を活かすワークショップデザイン
▼ゲスト
・京都大学総合博物館准教授 塩瀬隆之さん
・株式会社4CYCLE代表取締役 田井中慎さん
・BOX&NEEDLE Director 大西景子さん
・東京大学大学院 学際情報学府 山田小百合さん
▼プログラム
・イントロダクション
・ゲストトーク
・ツッコミ
・カフェタイム
・ディスカッション
・パネルトーク
※後半はあまり決めていない。
多様性を活かすワークショップデザイン
京都大学総合博物館 塩瀬隆之先生
▼ワークショップ事例
高校の先生と予備校の営業向け
「本気で進路指導をデザインしなおすワークショップ」
「はたらくの「反対」の意味を考える
▼「はたらく」の反対語を考えるワーク
シートを使って、
「はたらく」の反対語と意味が近い言葉を考える。
・35年のベテラン
働くの反対の言葉がポジティブということは、
・校長先生
かなり意味が近い言葉がネガティブになっている。
▼就業感
名詞化がよくないのでは?
大人でももやもやしながら働いているのでは?
というアイスブレイクをしてから、
いままでの進路指導について見直した。
※気をつけていることは、良質の「問い」を見いだすこと
▼「多様性」の反対語を考えてください。
→これはしない
動詞で考えるようにするため。
「多様性を打ち消すワークショップデザイン」を考える。
▼How to Kill Ideas !!
もともとは海外の広告会社の壁に貼られていたものだそうです。
派生バージョンとして50個のものもあるようです。
50 PHRASES TO KILL IDEAS AND STIFLE CREATIVE THINKING
▼How to Kill Diversity(どうすれば多様性を殺せるか)
・サッカーチーム
・多様性とか言っていたら組織が持ちませんよね
5人でホワイトボードにアイデアを書き込み、
ディスカッションしながら共有。
▼ユニバーサルデザインとインクルーシブデザイン。
インクルーシブデザインはもともとは1999年ヨーロッパで始まり、
日本では2003年ごろからポストユニバーサルデザインとして始まり、
ユニバーサルデザインとの区別がわからないまま導入された。
▼多様なユーザーを巻き込む インクルーシブデザイン
2011年11月に京都大学総合博物館で、
2012年2月に東京大学iSchoolでインクルーシブデザインの展示を行いました。
http://popo.or.jp/info/2011/12/incl.html
http://ischool.t.u-tokyo.ac.jp/news/idn2012-tokyo_info
▼インクルーシブデザインとは。
高齢者や障害のある人など、
特別なニーズを抱えるユーザがデザインプロセスに参加することで、
社会の革新(イノベーション)をめざすデザイン手法。
・できるだけ多様なユーザを取り込めるようなデザインならびに、
実際にユーザを巻き込んだデザインプロセス。
1. フィールド調査
2. 気づきの共有
3. アイデアのスケッチ
4. プロトタイピング
5. ユーザテスト
6. プレゼンテーション
※ユーザ自らが参加するデザインワークショップで、
最初から最後まで一緒にデザインプロセスを体験する。
※マイノリティというエクストリームユーザーを中心に置いて
デザインをすることにより、
ユニバーサルデザインのように万人を対象したデザインとは違う、
ぶれないデザインができる。
※手法はHCD
ただ、インクルーシブデザインでは、
HCDのプロセスの中に参加してもらう。
▼ものづくりを通じて、言葉のずれを浮き彫りにするデザイン
例:看護師技術学会
こけにくいスリッパをデザインするワークショップを行った。
つまづいて転ぶ人には摩擦を減らす
→ある看護師はスリッパに家具スベールを貼る
すべって転ぶ人には摩擦を増やす
→ある看護師はスリッパに家具すべらーずを貼る。
※実は「こける」にもいろいろある、
こけるという言葉の外側にあるずれに気づくことができる。
▼インクルーシブデザインの展示
RCA、京都大学、九州大学、金沢美術工芸大学、
ほかデザインプロジェクトを展示。
▼黒板塗装による対話のための建築模型
社会福祉法人施設のリニューアルをした。
ケアするためのケア(看護士さんが無理をしすぎて辞めてしまう)
→黒板塗装をして、チョークで自由に書き込みができる
ラフプロトタイプを作成した。
※プロトタイプが綺麗すぎると本当の声が出てこない、
専門家が声を大きくすればするほど、
ユーザーは閉口して対話にならない、
インクルーシブデザインでは、ラフデザインを重視する。
▼博物館での展示
展示会自体をワークショップの会場にし、
車いすユーザーや色んな来館者に使ってもらった。
→身内による評価では出てこない、
ストレートなかなりきつい意見もあった。
展示会の「お手を触れないでください」には理由があるのだが、
なぜ触っていけないか、が伝わってない、
コミュニケーションを阻害している。
→そのため、なぜ手を触れてはいけないのかをデザインした。
1. 稀少性を訴えてみる。
世界に一つしかないので、お手を触れないでください。
2. 正直に事情を話してみる
触っていただいてもよいのですが、並び直すのが大変なので、
元の場所に戻していただけますでしょうか。
※きっかけはエクストリームユーザーから。
デザインアイデアはできるだけ多様なユーザを巻き込むシナリオへ。
▼ユニバーサルデザインとインクルーシブデザインの違いは?
最終的にアウトプットされるものがみんな使いやすければ違いはないが、
作る際のプロセスに違いがある。
※みんなのためのデザインというと、みんなが誰なのか顔が見えない、
顔が浮かばないターゲットに向けてデザインすると焦点化できない。
→みんなのためのデザインは失敗することがある。
例:ガスコンロ
左利きでも右利きでも使えるように、スイッチを左右対称にしたら、
電源ボタンが真ん中に配置されてしまい、他のボタンに埋没して、
使いにくくなってしまった。
確かに1人で食べることはできるが、肘が貼ってしまうため、
子どものような食べ方になってしまい、
今まで身につけていた作法がなくなり、
ユーザーの楽しい食事の行為が阻害されてしまう。
「箸が苦手な人のスプーンとフォーク」を考えた。
※尊厳のあるデザイン
生活の価値にまで考えたデザイン。
▼How to kill diversity
ここでまたグループディスカッション、
下記のような塩瀬先生のコメントを考える。
・みんなを見るということと1人を見ようとの違いは?
・多様なみんなとは?
・1人を見るということは多様性を捨てるのか?
・全員の意見を取り入れる?
若干重くなったので、ちょっと路線変更w
▼ワークショップの体系的開催
視覚障害、聴覚障害、肢体書鴎外、いろいろな障害のある方と、
家電製品から情報システムサービスまで多様なアイテムについて
網羅的に実施。
▼事例1:企業ワークショップ1
白物家電のリデザイン
松下電気×たんぽぽの家×京都大学。
※専門家側も出来るだけ、多様な職種な人を入れるようにしている
(デザイナー、エンジニア、営業、企画、etc)
▼事例2:「活動量を計る」をデザインする
妊婦さんや主婦に参加してもらった。
そもそも活動計は何が目標なのか?
既存の活動量計は、1万歩とか健康に対する幅が広い
そもそも活動量計は何をするのか?
→頑張ったことを褒めてもらいたい。
妊婦さんのデザイン案「一歩を計るデザイン=一歩計」
▼行政ワークショップの事例1
「食べ方」のデザイン
離乳食などは、
ミキサーですりつぶしてしまえば食べれるが、
それは楽しくないだろ。
▼行政ワークショップの事例2
京都駅「待ち合わせ」ワークショップ
駅自体は変えられないので、
待ち合わせの仕方をリデザインした。
▼大学ワークショップ事例1
「開けて飲む薬」
薬を飲むときに何か困ったりしたりしないですか?
http://www.inclusive-d.com/31chil.html(報告PDFアリ)
http://qnet.nishinippon.co.jp/medical/doctor/feature/post_813.shtml
http://www.atopia.jp/clients/idl/tanpopo/html/pdf/id_pamphlet.pdf
▼なぜデザインが大事か?
例:駅のベンチや、ポストの上に捨てられている空き缶。
→そもそも空き缶を置けないカタチなら・・・
※デザインが変われば人の行為は変わるはずだ!
例:納豆のパッケージ
手に障害があったり子どもだと、タレの袋があけられない。
→最近は、タレがゼリー状になったものなどがある。
※この恩恵に浴する人は計り知れない!
▼多様なユーザを巻き込むデザインとは。
麻痺の残る人、高齢者の機能制約を意識させないデザインがあればユーザー層を増やす。
「できないこと」を個人の認知や身体機能に帰着させず、
デザインの課題として受け取ること。
「Disable person(できない人) → Disabled person(させられている人)」
※多様なユーザーがありのままで社会に参加できる、
1人を巻き込むことで、隣接する多様な人を巻き込むことができる。
ひとつひとつの製品やサービスがインクルーシブになっていくと、
社会全体も、多様な人が多様なままでいられる。
=インクルーシブソサエティ
※ここでまたディスカッション
▼インクルーシブデザインに興味を持ったキッカケ
デザインから考える平等性と対等性
【平等性】:かたより差別がなく、すべてのものが一様でひとしいこと
【対等性】:双方の間に優劣・高下がないこと
※多様性自体は本当にいいのか?
▼「ために」から「ともに」へ。
どうすれば横並びにならるのか?
→きっかけは美術館で目の見えない人と出会ったこと。
▼例:絵画(落ち葉広い・モナリザ)
みているようでも、あんまり覚えていない。
言語化することで見えないものが見えて記憶に残る。
▼耳が聞こえない人とどうやってコミュニケーションをとるか
耳が聞こえない人とのコミュニケーション→手話
先入観がコミュニケーションを失敗させる。
事例:耳の聞こえない人を迎えた小学校の事例
子ども達から手話つきの歌をプレゼントしたのだが・・・
→手話がわからなかった。
耳の聞こえない人は涙を流して帰路についた。
(視覚障害の方で点字がわかる人は全体の10%、
聴覚障害の方で手話がわかる人は全体の10%ぐらい)
※先入観がコミュニケーションを失敗させることがある、
何が届かなくて何が届くのか、一緒に考えることが大事。
コミュニケーションを一言でいえば、
二人三脚だ。
二人三脚のパートナーがマイノリティの方だと、
今まで気づかなかった色んな見方が出来るようになる。
休憩 カフェタイム&席チェンジ
■田井中さんコメント
誰しもがエクストリームユーザになり得る。
その可能性をスポイルしないことが重要なのではないか、
可能性の多様性を考えたい(誰しもが多様性を持っている)
■安西さん
テーマは特に儲けないで、自由にディスカッション。
■大西さん
→ワークショップのプロデュースをやっている。
★塩瀬さんになってみるワークショップ。
→UN塩瀬先生ワークショップをやってみましょうか(頓挫)
▼UN について(いきなり話を振られた、中原研究室の舘野さん)
カンファレンスは話を聴いているだけ、
アンカンファレンスは、カンファレンスを否定することで、
新しい付加価値を考える。
※本質を見るための手法のひとつ。
日本語で例えると「脱」
▼グループディスカッション
今回のワークショップでの仕掛けや工夫で気づいたことを、
適当にディスカッション、
基本的には自由。
私たちのグループでは、
お悩み相談タイムにしました。
▼締めのコメント
大西さん:今日の塩瀬さんのお土産は?
塩瀬先生:多様性がいいものか悪いものかという問い。
関係を固定しない、変化を待てるか。
何があっても認める、褒める。
子どもを信じている、子どもをじっとみている。
舘野さん:「多様性をデザインする」とは、
多様な人を呼んでくるということではなく、
参加者の多様性を見出し活かす、
そして多様性を見出すのを待つということなのではないか。
雑感
今回、インクルーシブデザインという考え方に初めて触れました、
分野としてHCDに非常に近く、
むしろHCD内でもエクストリームユーザーの定義の中に、
「マイノリティ」な人々を意識して取り込んでいくのは必要だと感じます、
塩瀬先生が実施しているワークショップの事例などを見ても、
刺激を受けるものが多数あったので、
自分でもインクルーシブデザインのワークショップとかしてみたいですね、
ただ、いきなり子ども相手とか、
実際に障碍者の方に参加してもらうのはハードルが高いので、
擬似的に障害がある状態でフィールドワークやオブザベーションするとか、
ペルソナに設定するとかぐらいから初められればいいのかなぁと思います。
参照リンク
Toggeter:http://togetter.com/li/316148
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