2012年08月08日 「第29回HCD-Netサロン:社会とHCD」

8月8日に開催された、
「第29回HCD-Netサロン:社会とHCD」に参加してきました。
セミナーの様子は動画で公開されるという話なので、
参考程度にメモを残しておきます。
(たぶん抜けがあります)

社会とHCD

千葉工大 山崎先生

▼HCD
 利用者がうれしい人間中心のデザイン
 ※今後はビジネスにうれしいビジネス中心のデザインも必要。
  →エクスペリエンスビジョン(エビ本)を発売
  
 HCDではユーザー要求からの問題解決型だが、
 今後は利用者の本質的要求を考えて、
 提案型のデザインが重要となってくるのでは。
 ユーザーの価値という視点から見ていく。(構造化シナリオ手法)

▼ビジネスモデルとは
 ビジネスモデルとは、どのように価値を創造し、
 顧客に届けるかを論理的に記述したもの

 ビジネスモデルのコンセプトは、
 4つの領域(顧客、価値提案、インフラ、資金)をカバーする、
 9つの構築ブロックで構成されています。
  
 このビジネスモデルは、組織構造、プロセス、システムを通じて、
 実行される戦略の青写真となります。

▼ビジネスモデルキャンバス
 テンプレートを利用してビジネスモデルを考える手法 

▼Sosial Centerd Design
 ビジネスだけでなく、社会についてどう貢献できるか考えていかなければならない。

 ユーザー視点(HCD)とビジネス視点から生み出される
「顧客価値を意識したビジネスモデル」に、
 社会環境視点(SCD)をいれていかなければならない。

 →社会環境の構築ブロックには、
  社会や環境の動向、社会と環境に関連する顧客価値とビジネス価値を記述します。
  (サスティナブルな社会・社会的な価値・社会経済・社会的な環境
  ・文化的な環境・地域環境・地球環境)

フューチャーセンターの活動

野村さん

▼CULTURE OF FUTURE SESSIONS
 フューチャーセンターを日本のなかでどう位置づけていくか活用している。
 →フューチャーセンター文化
 
  問題解決の場
 
  ※箱ものを作るということではない。

  ソーシャルセンタードデザインというものが、
  どう根付いているか。
  それを実現する場所がフューチャーセンター。

 
▼負のスパイラル
 
 目標
  ↓
 仕事をリスト化し分配する
  ↓
 1人ひとりの目標価値を決める
  ↓
 達成レベルを管理する
  ↓
 達成しない人に罰を与える。

 いわゆるマネージメントが仕事をつまらなくしている。
 仕事だけではなく、生活のなかでも

▼正のスパイラル

 目標
  ↓
 目標が達成した時のイメージを共有する
  ↓
 1人ひとりの不安感を共有する
  ↓
 助け合う行為を見える化する
  ↓
 他人を助けたことを表彰する。

 みんながやりたいことをやる

 一般の企業だと、正のスパイラルでアイデアを出し、
 負のスパイラルで実行することが多い、
  →町づくりでも同じようなことがいえる。

▼未来って何?
 未来は不確実性
 思いどおりになるとは限らない、現状の延長線上に未来を考えてしまう。

 ・未来志向
  極端な未来が「来るもの」と仮定して、
 「そうなったとき、私たちはどうしているだろうか?」といった、
  できない理由ではなく、できたときのことを考える。

  予測しようとすると、
  確からしさを求めるために、
  現状の「変わらない理由」に絡めとられてしまう。

▼ショーシャルデザイン
 現状の社会を潰すということではなく、 
 我々がどう生きていくかというダイアログが入っているべき

▼フューチャーセッションのプロセス
 (1)問いの設定:視野を広げてテーマを設定
 (2)多様な参加者:多様性を確保して人集め
 (3)経験の演出:非日常経験を演出
 (4)気づきの対話:主体性を引き出す運営
 (5)協調アクション:参加者全員の深い気づき

 なぜ矛盾がとけないのか?
  →みんなが態度を変えないから。

▼認知症フューチャーセッション
 富士通研究所 認知症フレンドシップクラブ

 認知症は病気ではあるが、
 認知症患者を苦しめているのは社会が許容しないこと。

 富士通の研究所の中の1人が地道に活動していった、
 だんだん社内でも浸透していき、

▼アサヒグループホールディングス
 食のフューチャーセッション

 食の感動をどうやって広めていけるか。
 ★CSRではない。

▼フューチャーセッションエコシステム
 企業(Business Sector)
  単体では社会システムのイノベーションが起こせない

 行政/公的機関(Public Sector)
  企業やコミュニティと一緒にまちづくりを進めていきたい

 コミュニティ(Social Sector)
  スケールの大きいサービスを提供するために、企業や行政と組みたい

▼Futer Center Week 2012
 全国で70ぐらいのセッション

 例:
  ・お寺フューチャーセッション

  ・子どもフューチャーセッション
    ※5歳児の視点からものを考える。

  ・小平フューチャーセッション

▼フューチャーセッションズのめざすこと。
 セクター横断のイノベーション・プラットフォームを構築する。

 ●企業テーマ
  
  企業変革
   ・長期ビジョン
   ・新サービス開発
   ・組織文化改革

  新産業の創出
   ・英国との協業による社会課題解決
   ・業界横断での問題解決
   ・企業横断の新規事業

 ●地域テーマ
  
  地域活性化 
   ・都市:シブヤ大学
   ・地域活性化
   ・観光地活性化
   ・BOP地域

 ●社会テーマ
 
  社会テーマの解決 
   ・高齢化社会:認知症FC
   ・子ども:チャイルドFC
   ・女性と働き方:ペアレンツFC
   ・東北復興:大?FC、石巻FC
   ・その他:引きこもりFC、お寺FC

 ●コラボレーション
   ・慶応SDM
   ・greenz,jp
   ・英治出版
   ・コクヨ Worksight

 ★セッション運営支援 
   ・セッション設計プラットフォーム
   ・セッション登録プラットフォーム
   ・セッション発信プラットフォーム

 ★メディアとしての発信
   ・ディレクターの問題意識
   ・セッション、レポート、事例
   ・ノウハウ(社会的ナレッジマネジメント)

コミュニティデザインの活動

 若杉さん

▼日本杉だらけクラブ
 全国15カ所。
 http://www.sugidara.jp/

 簡単な話を難しくしない、
 難しい話を笑いとばす。

 日本問題をデザインで解決できるかなーと始めた、
 杉が好きなわけではない。

 ・廃材を使った新しい木のデザイン
 ・土日を利用して、地方の林業関係者と関係性を作っていった。

 木材を中心として、
 「人材・文化風土・産業・風景・町並み・地域の営み・自然、産業」との、
 関係性のデザインを行う。

▼企業とスギダラの関係
 日本最大の杉の産地である日向市と連携してまちづくり
  →子ども達に参画してもらった。
   (木の屋台を考えてもらうワークショップ)

   3台の屋台を実際に作成して、市に贈呈した。

 自分たちで考えた作った場所だから、
 落書きもないし、人もたくさん集まるようになった。
 (町が元気になり収益化した。)

 JR九州も巻き込み、杉の電車も走るようになった。
 (コミュニティが企業も動かした)

 宮崎空港の手荷物検査室もデザインした。

 ※最大の反対勢力は上手く行けば最大の支援者になる。

 日南市にも飫肥杉課という課ができた。
 http://www.obisugi-design.com/

 
▼東北復興 タコマツ
 林野庁から依頼され、木を使ったキャラクター

▼建築をテーマにした子どもむけのワークショップ
 ゆめはつづくよどこまでも展
   

 参考
 http://www.manabinoba.com/events/index.cfm/detail.9.18240.html
 http://sugidarake.exblog.jp/10430737/

▼小雪 きのこ狩りの季節

 ニシアワーな合コンツアー
 http://www.nishihour.jp/  

ディスカッション

▼これからソーシャルデザインに取り組んでいくヒント

 野村さん
 自分の夢を実現しようといきなり実現を考えるのではなく、
 他の人の活動に巻き込まれてみる、
 巻き込まれる人が主役である。
 
 巻き込まれたあとに自分の出来ることを考えて、
 今後は他の人を巻き込んでみる。

 若杉さん
 ドキドキするような好きなことは全部やったほうがいい、
 それが会社の中でも外でも関係ない、
 難しいことはあんまり考えない、
 好きなものだったり、匂いを感じるものをやってみる、
 ノリが大事。

 苦しい仕事は1人にしない。

▼正のスパイラルだが、現実的な問題として、良いことを定量化できないのでは?
 報酬など与えることも難しいのでは?

 基本的な考え方としていやなことはやらない、
 何かをやりとげるという内面的なものが、インセンティブ以上の替わりになる。
 
▼そうはいっても時間と資源は有限だし・・・
 
 若杉さん
 好きなことをやる、嫌いなことはやらない、
 やりたいことをやる、
 基準は好きなことに巻き込まれる。

雑感

 フューチャーセッションのアプローチは、
 ワークショップデザインのアプローチと似ているので、
 対話のプロであるワークショップデザイナーが、
 HCDの人と協調するとソーシャルセンタードデザインが上手くいくような気がします。

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