2014年7月17日に行われた、
「認知心理学系認知科学とUI、UX入門」に参加してきました、
講師は常磐大学の伊東昌子先生です。
ちょっと難解だったので、自分の長期記憶に保存されるか、
ちょっと不安です、まとめきれてないと思いますが、
一応記録までに。
講義
▼認知心理学、認知科学、認知工学
認知倫理学は主に、基礎応用系と臨床系に分かれる。
・認知心理学
人の頭の使い方:知覚・理解・記憶・思考・学習・推論・判断・問題解決などの、
知的機能が研究対象。
最近では感情、感性、熟達、実践等の問題にも取り組むようになっている。
認知心理学→人に興味がある。
・認知科学(人ではない)
知的システムと知の性質を理解しようとする研究分野。
以下の主な諸学問の学際領域
認知心理学、言語学、人類学、神経科学、哲学、人工知能
常磐大学では動物の知的実験を行っている。
・認知工学
認知心理学・認知科学の知見をモノづくりに応用しようとする研究領域。
特に人工物と人との相互作用の問題を扱い設計に活かす。
▼人の頭の使い方:認知情報処理
人の頭の中を情報処理として扱う
→知覚、記憶、理解、思考、メタ認知
見えないところに興味を持っているのが認知心理学者
▼人間の情報処理のマクロモデル
刺激入力→感覚記憶→短期記憶→長期記憶
知覚をしないと次の処理が行えない。
▼知覚、注意、記憶、理解とメンタルモデル
刺激入力→感覚記憶
目の網膜で刺激を受取読み取りに必要な時間は、100?300ms、
1秒は1000msなので、3~4個しか認知できない。
▼視角と処理能力
数文字の語の認識限界は15度程度。
色の認識限界は30度程度。
人間は眼球を50msの速さで移動させ中心視で情報を取っている。
周辺視で陰影を追っている、有効視野は周辺視の範囲。
脳に送られる画像は細切れになっている、脳がそれをスムーズに処理している。
▼視線運動
視線の動きを見るとどこのどの情報を取っているかわかる、
”注意”することがとっても大事
▼知覚から認知へ
★実験
真ん中からスタートして、黄色いマスのひらがなだけ呼んでいく。
答え
しんりがくをたのしんでね
今度は白いマスにあった文字を記憶にもとに書いてください。
→見ていても注意が働いていなく、処理されていない
短期記憶から長期記憶へなるべく早く送らないといけない。
感覚記憶→注意→短期記憶(符号化)
符号化
・個別情報の短期記憶容量7±2
・保持時間 2~15秒
★実験
短期記憶の容量実験
下記の文字を4秒間みて覚える
結果
覚えた数を数えてグラフ化する。
→チャンク化されるほど文字は記憶されやすい。
▼短期記憶の記憶容量
直接記憶範囲 7±2
チャンク 4.1.2.6(良い風呂)
→チャンク化する。
知識を利用し、知識に関係づけて、より大きな意味的まとまりをつくると、
記憶量、理解量が増す。
逆に知識が利用できない領域の耳慣れない用語は認知処理効率が極めて悪い。
なぜ人間中心設計なのか
→人間の記憶システムを理解して、情報提供のあり方を考えてあげる場合、
人間のメカニズムを知っていたほうが工夫がしやすい。
▼わかる(理解の枠組み=メンタルモデル)
★理解の実験
下の図を見て何が隠れていると思うか?
顔が隠れていると考えた。
なぜ「顔」だと思ったのか?
→図を目だと認識した。
よく知っているものであれば知識構造がいっぺんに活性化される→スキーマ
▼スキーマ
長期記憶の中に持っている知識群
▼スクリプト
シーンの知識、脚本のようなもの
→分かる:適切なスキーマ、スクリプトの活性化
★実験
答え:母親
どうして「母親」という答えが出てこなかったのか。
→知識が妨害することもある、
教授というデフォルト値を聞いただけで男性を思いついてしまったから。
スキーマが適切に活性化されないとおかしなことになってしまう。
▼適切なスキーマの欠如・不活性
★実験
客:コンピュータが動かないのですが?
店:どのような環境でお使いですか?
客:え?あのう?え?窓際で
日の当たるところで使っています
どうしてこうなるのか
→単語の意味は他の文脈から与えられる。
文脈や状況のモデルがわかって初めて、部分の意味が特定される
=メンタルモデルの働き
▼UIの問題分析とインタラクション・モデル
認知過程分析
濃密な観察を行い、そのデータから認知過程分析を行う。
※プロトコル分析
▼Normanの実行の淵と橋渡し
▼直接的な知覚と行為:アフォーダンス
環境が行為を直接的に引き起こす特性
→認知が関与しない。
★実験 老人ホームの集会ルームの小便問題
解決例:お地蔵さん、鳥居の設置
(知覚レベルで認知している)
人は環境の何に反応するのか、してしまうのか。
アフォーダンス or シグニファイア
意識的な行為を介して身体に行為を行わせるか。
※設計によってはリスクのあるアフォーダンスを誘発してしまうこともある。
▼人間行動の変化:習熟とエラー
習熟段階
1.認知的段階
意識的に知識を想起して状況を把握しながら行為を実施。
意識的に確認しながら実行→スピードが遅く、エラーも多い。
2.体制化の段階(手続き化の段階)
状況を把握し、一連の動作系列をチャンク化したルールとして実施可能。
状況把握と動作の関係がスムーズ。
3.自動化の段階
環境の部分的手がかりだけで一連の行動が自動遂行される
一瞬の知覚から全体的な流れる動作が始まる
認知を伴わない動作の発動
▼習熟化の過程
意識的に知識を利用してプランニングする
▼習熟レベルに特有のエラーと対策
例:免許取得中
後方確認しない:知識ベースのミステイク
→忘れないよう「後方確認」等のメモを張付
初級?中級者
車庫入れに失敗、こする:状況判断の誤り
→練習(判断と行為の対応を強化する)
上級者
予期的反応によるエラー
→制御する工夫、意識的声がけ
(認知レベルを介させる)
▼心理学研究法
検査法
質問紙調査法
心理学実験
面接(インタビュー)法
観察法
質的研究法
フィールド調査
認知過程分析
日記法
▼拡張された認知システム
例:バーテンダー
なぜ、あんなに多くの注文を覚えられるのか?
なぜ、順番を間違えなく、スムーズに出せるのか?
どういう工夫をしているのか?
認知的な(脳内)処理だけで可能なのか?
環境をどう利用しているのか?
→エスノグラフィーという手法
(実践を観察し、振る舞いの構造を分析)
→観察法
(認知処理的な着眼点を持って観察・分析)
※熟達するほど、外部資源を活用して有効に配置するスキルを獲得している。
「人ーモノー空間」=「拡張された認知システムの構築」をしながら仕事をしている。
▼UX事例
・他者という社会資源の活用 その1
Web上の健康コミュニティをWebを通して作り上げたい
→心理学のなかで上手く使える理論がないか。
ソーシャルサポートを導入した。
・ながら携帯の事故増加
世間ではマナーの問題として扱っているが、重大なリスクの問題ではないか!
→認知心理学的(情報処理的)には”注意”の問題
知覚的注意:見ているか
認知的注意:情報処理をしているか
心理学実験法を用いた2重課題事態
一次課題:紙芝居(映像)を視聴する
二次課題:通話条件3種類
・簡単なリアルタイム会話(処理資源が拮抗する)
・クラシック音楽を聞く(処理資源は拮抗しない)
・通話しない
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