2014年07月26日に開催された
HI学会セミナー
「UXデザインの上流工程の考え方とプロセス」
に参加してきました。
場所は古巣のIMJ。
受付でくじを引いてDチームに
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横浜デジタルアーツの卒業生の石橋さんと、
佐々木さんと一緒のチームになりました。
今回は調査フェーズは省いて、
コンセプトツリー作成まで通してやってみるワークショップのようです。
メンバー
松下さん、佐々木さん、高松さん
石橋さん、後藤さん、自分、
講義
最初に安藤先生から講義が・・・
資料が100枚というボリューム。
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▼はじめに
手法をやることが大事なのではなくて、その手法を使って、
通しでやってみて、なんでその手法をやらなければならないかを知る。
▼アイスブレーキング
「真実の瞬間」
→カールソンはスタッフが接客する一回平均15秒の時間の積み重ねが、
ビジネスの成功を左右することとした。
15秒の自己紹介「今日の発見・気づき!」
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▼UXの考え方
※UXデザインとは何か説明してみましょう。
▼産業デザインとしてのUXD
”体験”そのものは
ユーザー個人的なもの
?
どんな”体験”をしてもらうか
計画すること
?
体験が量産・再生産される
仕組みを作ること。
▼実利用環境における製品とユーザーの関係
ユーザーが満足感を得ると製品の価値を感じる。
ユーザーに製品の価値を感じてもらうために
満足感や利用意欲を感じられる利用体験を設計する。
▼UXデザインをはじめるための”前提”
対象:1. ユーザー体験を設計対象と捉える。
(ユーザー体験はバラける、だからモデリングを行う。)
範囲 2. 製品・サービスは、ユーザーの体験を実現する手段
あるいはユーザー体験の一部としてとらえる。
■産業としてのUXデザインで大事なことはなんでしょう?
▼UXデザインを考える前に考えること
炊飯器が”すごいこと”になっている。
▼炊飯器のUXデザインを考えてみよう
手段と目的
・美味しく食べてると訴求ポイントになる。
・女性が買うことを考えるとメンテナンスや匂いがつかないなど、
・訴求ポイントが男性と違うのでは。
・男性はガジェットとしての目線。
→実際の利用状況は変化しているのでは。
※ものすごく機能を売ることに特化している。
▼UXデザインの実例 ~(株)ノハナの例
ノハナは2013年9月にミクシィ社から事業化
ユーザー数72万人、月間フォトブック発行数は15万冊超。
▼ノハナのUXデザインプロセス
「家族を笑顔に」「ママが使いたい」というコンセプトがあったので、
最後までぶれずに開発が進んだ。
▼ノハナのコンセプトムービーにみるユーザーの価値
※UXデザインを取り組んで最後にリリースする段階で、
電通が入って来て最悪になんてことがある。
「価値発見×価値実現×価値伝達」がうまくいかないとUXデザインにならない。
▼ノハナの事例から学ぶUXデザインのポイント
1.ユーザーに与えたい価値(顧客価値)を定める
2.ユーザーの利用状況を調査によって把握し、
顧客価値を実現できるサービスコンセプトを明確にする
3.コンセプトを実現する理想のユーザー体験を設計する。
4.ユーザー体験を実現するための製品を具体化する
5.製品のプロトタイプをユーザーに評価してもらい修正する。
6.検証を繰り返しながら製品を作り上げる
※大事なのは繰り返すこと
▼UXをデザインするための諸手法の位置づけ
ユーザーの体験価値を探索するフェーズ
・ユーザー行為の観察・インタビュー
・エスノグラフィ
・KA法による価値モデリング、上位下位分析
・ペルソナ/問題シナリオ
コンセプトアイデア
・製品・サービスアイディア
・バリューシナリオ、ストーリーテリング
実現すべきユーザー体験とその効果の可視化
・アクティングアウトによる体験のスケッチ
・アクティビティシナリオ
・ユーザージャーニーマッピング、UXマップ
企画した体験を実現するフェーズ
・プロトタイピング/モックアップ
・サービスブループリント
・ユーザーテスト
手法を覚えるという時代は終了し、手法をどう組み合わせるかが大事。
■企業におけるUX実践のポイント
(1)ユーザー体験をデザインするには何から着手すればよいか?
▼ユーザー調査から製品開発までの想定プロセス
▼ユーザーモデリングの三階層
・属性層 だれなのか
・行為層 誰がなにをしているのか
・価値層 どんな価値を持っているのか
※コンテキストを再構築することがデザイン
▼リサーチ手法とデザイン手法の関係
▼ユーザーの価値モデルから始める
KA法などを活用しユーザーの本質的な価値の全体像を見極めることから、
UXデザインを始める。
▼KA法
KA法は、調査結果それぞれの事実の背後にある”ユーザーにとっての価値”を抽出
どんな小さな行為にも背景には価値は存在する。
”動詞+価値”で表現することで体験の価値を導出
(2)ユーザーの体験価値のどこに着眼してデザインしたらよいのか?
▼着眼すべきユーザー体験の抽出
ユーザーの体験価値を見つめるだけでなく、
既存サービスの代替・充足状況などから総合的に自社が実現すべき
ユーザー体験を見極めることが重要。
▼競合の提供価値分析
ユーザーの体験価値でみると、意外な競合が提供する
サービスでカバーされていることもある。
▼企業等のサービスのKA法
競合企業等が提供している機能やサービスについて、
それがユーザーにとってどんな価値を提供しているかを分析する。
(3)ユーザー体験価値が把握できればよいUXデザインができるのか?
▼このサービスの提供会社はどこでしょうか?
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答え:クロネコヤマト
▼クロネコヤマトメンテナンス支援ビジネスの構造
ビジネスのコアコンピタンスをユーザー体験の視点で捉え直し
体験価値を絞り込むことが重要
▼重要なポイント
従来の発想→技術の発想・上から目線
UXの発想→体験価値の発想・横(下)から目線
(4)どうやって既存ビジネスの提供価値をリフレームして新しいUXデザインを生み出せるのか?
▼企業のDNAをユーザー価値に読み替える
企業のDNAが明確な場合、そのDNAをユーザーの価値に読み替えてみる。
こうすることで最上位のレベルの提供価値が明確になる。
→東芝デザインセンターのUXデザイン理念
東芝では海外でKA法を実施していて、価値をベネフィットと呼んでいる。
▼アイデア発想とその選出結果から導出する
顧客価値から発想した沢山のアイデアを、一定のルールで選出すると、
企業の文脈が反映されたものが選ばれる。その共通点から導出できる。
”music.jp”におけるビジネス提供価値の導出過程
→あなたと音楽を身近にする
(5)UXデザインによる商品のコンセプトをどうやって作っていけばよいか?
▼UXコンセプトツリー
ユーザーの体験コンセプト(提供価値)を明確化し、
”体験コンセプトツリー”で整理し一貫した体験を提供できる基盤が必要。
▼UXコンセプトツリーの作成方法
UXコンセプトツリーは、複数のアイディアを選択・判断した結果から、
共通の体験価値を導出する。
▼アイデア投票
創出されたアイディアを、いくつかの視点からワークショップで投票してみる。
■UXデザインの上流工程をワークショップで実施した例
~福島郡山WSの成果~
▼アイディア・タスク展開
ネガティブなツッコミをいれることでアイデアを磨いていく。
▼小括:UXコンセプトツリーをつくる効果
UXコンセプトツリーを途中段階で導出することとして以下の3つが挙げられる
1.ユーザー体験価値が企業の提供価値の文脈の中に位置づけられ、明確化される。
2.個別に発想したアイディアだけがUXデザインの成果になるだけでなく、
ユーザー体験価値を実現する手段として明確に位置づけられる。
3.アイディアや商品コンセプトの評価を行う際に、
どの水準までが検証できたかの基準が明確になり、ブラッシュアップが行いやすくなる
お昼ごはん
ご飯は吉田さん白澤さん石渡さん石橋さんたちと7人でデニーズへ。
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デザートまでしっかりと食べました。
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午後:ワークショップ
ワーク(1) 体験価値の導出
テーマ「健康を気遣う」
これ自体がビジネスドメインになっている。
想定企業 富士フィルム
メディカルシステム・ライフサイエンス
→”健康を気遣う”をサポートする
▼フォトエッセイ
タイプA:やっていること
タイプB:やりたくてもできていないこと
※充足と未充足の両方でフォトエッセイを行っている。
▼どんな行為にも潜む価値
KA法の最大の特徴は、たった一つの、どんなに小さな出来事にも価値があるという
考え方に立っている。
まずは練習
(あらかじめ空白のあるKAカードが準備)
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そのあと、みんなで手分けをしてKAカードをつくる、
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価値を書くとき、抽象化のレベルに気をつける
・抽象度を高くしすぎない
人の好意は最終的には「安心・安全・幸せに」になる。
後でKJ法で抽象度を挙げるので、心の声をそのまま表現する位がよい
・テーマから外れた価値にしない
テーマに関する行為を調べているので、その体験に関連した価値を導出する
KAカードをテーブルの上である程度グルーピングしてから、
A3の紙に張り付ける
(このとき台紙を丸く切るのがコツです。)
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KAマップを14時40分に作成完了。
▼商品開発の3要素
商品開発は、ターゲット(人)、ベネフィット(モノ)、
シチュエーション(場)の3要素を決めること。
▼簡易ペルソナを作る ~SEPIAフレームワーク
ユーザーを「能力」と「興味」の2軸で捉え、
製品を利用することで成長するモデルを想定するとよい。
※ユーザーはこれを使ってうまく導いていくと、マニアユーザーに成長していく。
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ワーク(2) アイデアだし
キャスト表をみながら、
アイデア出し。
それをアイデアシートに書き出してから、
発表して、アイデア投票。
・赤は自分がユーザーだったらぜひ使ってみたいと思うアイデア
・青は企業として提供したらウケそうだと思うアイデア
・緑は実現性が高いと思うアイデア
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ワーク(3) UXコンセプトツリーの作成
▼上位アイディアから共通する体験を導出する
アイデア投票し、シールの付いたものだけを並べて、
おなじようにグルーピングをする。
そしてそこに共通するユーザーの体験価値を導出する。
その際、作る言葉は、以下のような表現にするとよい。
・ユーザーが共感するような、モチベーションや必要性を含んだものがよい
・動詞的な表現であるもの、もしくはユーザーの動きを含んだものがよい
・多様なタイプのユーザーに共通するもののほうがよい
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アイディアのグルーピングから、
「やりたいをサポートする」と考えるが、
抽象的すぎると安藤先生に言われて、もう少し考え直して、
「健康をなりたいを実現する手軽なスイッチ」と考えて、
またもや惜しい!といわれて、再修正・・・
体験コンセプトはユーザーの言葉でもあり、企業の言葉でもあるとのことです。
そこで「健康になるための自分に会う方法がある」に決めました。
フィックスしたものの、
そこまでどうやってたどり着けばいいのか、
自分では納得感がなくて・・・
(安藤先生と佐々木さんいわくオファリングとのことですが。)
自分でワークショップやるときどうすんだろうかな・・・
※時間的には一日でやるもんじゃないなというのが素直な感想です。
最後に発表して終了。
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講評
企業のなかでUXを進めると難しいと感じる人もいる、
そのために無駄にしないアプローチも大事
KAマップは一枚に収められていて、それを見ただけで一目でわかるし、
何か突っ込みがあっても、元データに必ず戻れるという特徴がある。
コンセプトツリーにも「こんなアイデアだめですよね」と言われる危険があるが、
その過程でできたものを元に議論することができる。
懇親会の設定とかなくて、
この日は解散いたしました、
残念。
参考スライド
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