2017年10月04日
本来の旅の目的地にやっと着きました、
このセミナーのために福岡までやってきました。
セミナー前の腹ごしらえで天神パルコの極味やのハンバーグを食べに・・・
10:40分に到着したが、すごい行列ができました。
感想としてはあの赤身のままで出していいのか的なのと、
さわやかの方が上だなーという感想です。
Web制作におけるUXの実践~設計から解析まで~
■自己紹介
枌谷 力さん
株式会社ベイジ 代表取締役。
https://baigie.me
■UXとマーケティングとweb制作
▼UXとは
・User Experience = ユーザー体験
▼なぜUXが必要か?
・市場環境の変化
・技術環境の変化
・失敗からの教訓
▼市場環境の変化
モノ消費時代→機能に価値
コト消費時代→体験に価値
▼技術環境の変化
スマートフォンの台頭
(使うシーンの変化)
▼失敗からの教訓
社内政治の優先
技術制約の優先
御用聞きの姿勢
過度な売上重視
→ちゃんとUXに取り組めばそういったものがなくなるはず。
▼つまり
いかに高機能なモノであっても
企業側の論理に流されていては売れない時代になってしまった
だから、ユーザーのことをきちんと考えよう
そのためUXは
用語の理解ではなく
概念の理解をしなければ
過去の失敗を繰り返す
▼UXの検討範囲として適切なのはどれですか?
1. Webサイトの訪問から離脱まで
2. 検索から完了メール受信まで
3. 商材の認知から購入まで
4. 商材の認知前から利用終了まで
→4つ目が正解
ちゃんと外の世界まできちんと考える。
例:銀行のATM
▼銀行のATM
銀行のATMにおける
ユーザビリティ改善と
UX改善の違いとは?
▼銀行ATMのユーザビリティ改善
ボタンデザインを変える
画面遷移を変える
ラベルを見直す
処理を高速化する
▼銀行ATMにおけるUX改善
コンビニATM
オンラインバンキング
お金の電子化
▼Webサイトの場合は?
▼よくある間違い
UX改善 ≠ 使いやすくすること
▼UXハニカム
→「使いやすい」はその中の一部
▼おかしな使い方 その1
あのwebサイトはUXがよくできていますよね
▼おかしな使い方 その2
アニメーションを取り入れたり
読み込み速度を上げたりして
UXを改善しました。
▼マーケティングとは?
→売れる仕組み作り
販促することもマーケティングの1手段
▼マーケティングとUXの関係
→ほぼ被っている。
→ユーザー体験の最適化が企業にとってプラスにならない場合もある。
▼重なり合わない領域
重なり合わない領域について
Webサイトはマーケティングと
UXのどちらを優先すべきか?
▼UXとマーケティングが成り立たない例
・商品の苦情も掲載したランディングページ
・概算金額を明示したオーダーメイド型B2B商材のWebサイト
・問い合わせしやすい問い合わせフォームと即返信できる体制
▼企業のwebサイトにとって
UXとはマーケティングをより効果的にするための手段
Webサイトはマーケティング優先
両立できる限りはUXも重視
▼Webサイトにおいて
UX = CX
であることが多い
▼web制作版CXハニカム
▼質問
・お客さんにどこまで調査分析を行ってもらうのか。
→ケースバイケースだが、どちらがやったほうがいいか検討する。
・web制作版CXハニカムは誰視点なのか?
→ユーザーも制作者の両方を満たす必要がある。
・CXハニカムで「webで実践できる」とあるが、それ以外の場合はどうするか
→イベントをやるなどの場合もあるが、基本的には業務範囲外はクライアントに確認する。
・ハニカムの好ましいとは
→好き(例:ベイジのブログを読んでファンになる)
(例2:キャッシュのデザイン)
■UXワークフロー
▼ベイジの制作ワークフロー
営業→戦略→設計→制作→運用
▼UXワークフロー:戦略
▼戦略フェース共通の視点
だからwebサイトはどうあるべきなの?
▼調査・分析
受託で受けているのでお客さんの方がわかっている場合のことがある。
▼調査・分析の2つの目的
仮説を立案する
仮説を検証する
▼調査・分析の主な対象
・マクロ要因
経済動向
社会動向
文化
政治
法律
・外部要因
市場動向
ユーザー
代理店
競合
代替サービス
仕入れ先
・内部要因
webサイト
組織体制
ブランド
拠点・ネットワーク
保有資産
社風・文化
各種制約事項
▼調査・分析の主な手法
・定量調査
・定性調査
▼調査・分析データの入手方法
顧客から提供
購入もしくは委託
自分で計画・実行
ある情報から推測(データをもとにインサイトを考える)
▼競合分析
→ヒューリスティック調査をグラフ化したもの
→キーワード分析
→ログ解析を使った経路分析
ちなみにログ解析は仮説立案に不向き
仮説確認のために用いるべきカスタマージャーニーを作り
ユーザー行動シナリオを作り
ポイントを整理してから解析
▼調査・分析のポイント
データを盲信しない
ない情報は推論する
アイデアに繋げる
バイアスに注意する
▼ビジネスを整理する意味
ビジネスの構造が把握できてないと現実的な着地点の見当がつかない
(カスタマージャーニーはユーザー視点、これは企業目線)
▼ビジネス整理のポイント
ビジネスゴールへの影響をオフラインも含め図式し
サイトの役割を明確にする
▼セグメンテーション
フィリップ・コトラーのSTP
S=Segmentation
T=Targeting
P=Positioning
▼セグメンテーションの切り方
・グルーピング
・4象限
・9象限
▼セグメンテーションの分割軸
・人口動態特性
・心理属性
・ニーズ
・行動ステータス
・対象商材
▼セグメンテーション例
18人分のペルソナとカスタマージャーニーマップを作った。
▼セグメンテーションのポイント
有効な切り口を塾考する
切り口は狭すぎず広すぎず
▼ターゲティングとは
ターゲットを決めるコト
▼どの世代をターゲットにすべきですか?
例:郵便口座
10代、60代が多いのでターゲットにすべきかな
→でも40代の伸び代がありますよね。
▼ターゲティングのポイント
多数派をターゲットにするのが良いとは限らない
・少数派に伸びしろがないか
・ビジネスとwebで異なる可能性
・目指すのは現状最適化か理想実現か
▼ペルソナ
ペルソナの前段階
(ざっくりとした表を作りお客さんと握る)
最近はペルソナを作らないで共通特製の整理で終える時がある。
▼ペルソナの情報源
調査データ
ヒアリング内容
一般論
仮説・推論
▼ペルソナのポイント
ユーザーをリアルに描くための下描き
無駄な線に思えても多めに描くのが良い
▼カスタマージャーニー
お客さんは描けてないことが多い、漠然とオウンドメディアやりましょうとか
ブログやりましょうとか言い出す。
▼カスタマージャーニーの構成要素
横軸
・課題形成前
・課題形成後
・認知
・情報収集
・比較・検討
・最終判断
・購入・契約
・開発中・納品前
・納品後
・利用中
縦軸
・ステップのトリガー
・ステップのゴール
・心理・態度・感情
・行動
・情報ニーズ
・キーワード
・情報リソース
・対応コンテンツ
・デバイス
・チャネル・ツール
・ツールの役割
・ツールの具体的アイデア
・成功指標
※決まったルールはない
▼カスタマージャーニーの目的
UXの全体像を整理
状況の変化を把握
問題や役割を明確化
メンバー間での共有
アイデアの抽出
▼カスタマージャーニーのポイント
整理するだけでなく具体的なアイデアを書き出していく
▼質問タイム
・ペルソナを作るときにクライアントを巻き込んでやっているがベイジさんはどうやっているのか。
→ベイジではざっくりとお客さんにヒアリングしまとめて、お客さんと議論をする、
ワークショップには懐疑的(前向きな人、熱意のある人しか参加してくれない)
・ペルソナを作るタイミングは?
→以前は提案する契約前、今は契約後。
▼カスタマージャーニーとペルソナの懐疑性
本当のユーザーがイメージできますか?データが並んでいるだけでは。
→だから文字で物語を作る
▼UXストーリーのメリット
イメージ共有が容易
細かい描写が可能
誰でも作成できる
▼UXストーリーの構成要素のヒント
ペルソナの情報
ペルソナの状況
ペルソナの気持ち
カスタマージャーニーの展開
使っているデバイズ
使うチャネル
認知的ウォークスルー
失敗と回復
利用後の感想
▼行動シナリオの目的
描いたUXを前提にサイト内での行動を
具体的に図式化する
▼行動シナリオのポイント
サイト内のシナリオをページ単位
もしくは行動単位で構成する
正しく行動していることを証明できる
指標を設定していく
▼なぜマーケティングストーリー?
UXの検討だけではビジネスには不可欠な企業側の要件が見えない
▼マーケティングストーリーの視点
顧客と面と向かったときにどういう話で売り込むのか?
▼マーケティングストーリーの基本構造
問題提起
↓
結果
↓
実証
↓
信頼
↓
安心
↓
クロージング
↓
成約
▼マーケティングストーリーのポイント
前段で設定したペルソナやカスタマージャーニーに対し
魅力的なストーリーであるか
▼アイデア化
UXやマーケティングからアイデアを抽出していく
▼アイデア化のアウトプット
設計
機能
コンテンツ
コピー
UIデザイン
※アイデアのセグメントを行なっておく。
▼アイデア化のポイント
UXやマーケティングを検討している段階から
常に具体的なアイデアをメモして保存しておく
▼目標設定
行動シナリオなどで抽出された指標を統合し
KPIとして設定する
▼KPI設定のコツ
成果に影響する指標を選ぶ
計測が可能な指標を選ぶ(商品欲しいなぁという気持ちはKPIにできない)
できるだけ少なくする(理想は1個にする)
▼ブランディングとは?
企業や商品に対する好意的なイメージを顧客の頭の中に残す。
▼ブランドピラミッド
▼ブランドキーワード
→イメージスケール化する
▼質問
・KGIの設定については。
→KGIについてはお客さんが持っているので、こちらでは考えない。
顧客が本当にやりたいことを提案書の1ページに描くことが多い
・この工程をどのくらいでやっているのか。
→コンパクトな案件の場合、1ヶ月ぐらいで終わらすことが多い。
・マーケティングとしてのUXデザインを重視していない人に対してはどうしていますか?
→今は、そうゆう人とは付き合わない。
・UXストーリーとか誰がやっているのか。
→社長本人やデザイナーやディレクターで経験がある人
■UXワークフロー:設計
▼サイト設計とは
UXやマーケティング分析で抽出したコンテンツや機能をツリー構造に組織化する。
▼サイト設計の注意点
UXやマーケティングの分析内容から乖離しない
▼ペーパープロトタイプとHTMLプロトタイプ
→最近パワーポイントのプロトタイプに戻しつつある。
・説明文章が載せられない。
→ベイジでは、Adobe XDを導入しようと検討中
▼プロトタイプ系ツールの問題点
・UXの意図が書き込めない
・条件分岐を表現しにくい
・ツールを学習する必要がある。
▼画面設計のポイント
▼制作での注意点
制作や要望対応の中でUXやマーケティングの要件から乖離してないか
常に推移をチェックする
▼制作でチェックすべきこと
・UXシナリオに従って使ったときに障壁はないか?
・ペルソナの情報ニーズを満たすコンテンツになっているか?
・コンテンツを阻害しないデザインになっているか?
・キャッチコピーやビジュアルはUXシナリオと一致しているか?
・ボタンなどのインタラクションは分かりやすくデザインされているか?
・サイト上のゴールは分かりやすくデザインされているか?
・想定されるデバイスで使ってみたときに違和感はないか?
・テストシートにUXシナリオに沿った項目が記載されているか?
■UXワークフロー:運用
▼運用での注意点
UXマーケティングの検討内容を無視して運用していかないこと
■UXワークフロー:営業
▼UXをどうやって仕事化しているのか
▼ありがちな障壁
予算のない企業
時間のない企業
価値を理解しない企業
とは付き合わない。
▼ベイジの集客方法
社長ブログ
日報サイト
用語集
採用サイト
SNS
会社サイト
→資料DL 41件
→お問い合わせ 47件
▼クオリファイング
・発注企業→受注企業の上下関係が厳しく、隷属的な関係を求める
・知識提供は有償という意識が低く過剰な提案やサービスを求める
・計画性がなく「すぐ来てほしい」などの突発的な要求が多い
・論理性・合理性が希薄で、主観的・情緒的で一方的に判断する
・外部業者を基本的に信用しておらず、細かなことまで疑ってかかる
・コミュニケーション齟齬やミスに厳しく、常に強いプレッシャーを与える
・ワンマン気質が強く、現場に意思決定権がないがトップとも直接話せない
・コスト意識が厳しすぎ、お金をかけずサービスを受けようとする
・提案やアドバイスなどに基本的に耳を貸さない
・技術力や知識よりも人間関係を重視する
→web制作屋は労働が過酷になりやすいので、お客さんを選ぶ。
▼営業の基本方針
良い顧客選びが
良い結果を生み
会社を成長させる。
▼質問
・単価の設定とは。
→人月ベース。コンサル系だと180万、HTMLコーディングだと100万くらい。
・最初からクライアントを選んでいたのか。
→最初から選んではいた。売上げ的にも厳しいときもあったが、短期的よりも長期的視点でみる。
・戦略の部分で1ヶ月~3ヶ月かかっているが、ショートカットする方法は。
→ショートカットするときは「調査」を削って、経験者の仮説ベースで進める
・行動指針をどうやって浸透させているのか。
→日報を書いてもらい、それを行動指針と照らし合わせている。
・運用続けていく上で、前提を見直さなければいけないことがあるのではないか。
→KPIをシンプルにする。
→運用のサマリー資料を作る
・社内教育をどうやっているのか?
→過去のドキュメントで近いものを共有している。
→始める前に共有するようにしている
→公演資料も社内で共有するようにしている。
・いいお客さんをいかに掴むか。という話で、
プロジェクトを一緒に進める前に気づけるポイントはないですか。
→最初の問い合わせで、「今日中に見積もりが欲しい」「今日中に提案が欲しい」は全部却下
→「深夜とか土日にお問い合わせ」してくるお客さんとは仕事をしない。
→RFPを作ろうとしているお客さんに提案をして、変更してくれるお客さんと付き合う。
→地方かどうかは見ていない。直接会うのは月1、スカイプのMTGで毎日15分は顔合わせする。
■事例
ある採用サイトの場合
・前提条件の整理(最初でまとめ)
採用の課題
考えられる対策方針
・ビジネスフロー
・ビジネスフローから見える条件
・採用サイトのゴール
※ペルソナは立ててない
・心理の考察(ネットからの学生の心理)ー学生が見たい情報を掲載するようにした。
・カスタマージャーニー
・まとめ。
・中途の人の共通属性
・中途の人の心理特性
・カスタマージャーニー
・まとめ
・ターゲット分析
(4種類のキャラクター)
・働くメリット
・ブランド戦略
・ブランドメッセージ
・コンテンツ設計
・サイトの構造
・デザイン(普段は出さないが発注率が高そうだったので、デザインを作った)
・デザインプロセス
・技術的要因
▼事例2 旅行サイト
お客さんとしてはログ解析をして欲しい
→ログ解析しただけでは意味ないですよ。とお話しした。
・ログ解析によくある10の問題
・ログ解析の正しい考え方
・全体の流れ(ビジネス&ユーザ分析が中心)
・ビジネス&ユーザ分析の進め方
・ビジネスを理解する
・商材特性に関する仮説
・商材の種類
・ダイナミックレールパックの問題
・商材ブランドの課題
・ログ解析のポイント
・ユーザの共通特性
・ユーザの基本セグメント
・ユーザーの詳細設定
・ペルソナ(9人)
・サイトの理解
・主要動線の詳細構造
・2つの解析軸
・属性解析の解析項目
・プロセス解析
・流入チャネル
・次回のアウトプットイメージ
■感想
「ペルソナとジャーニーは所詮は情報の集まりで具体的に想像するのは経験者でも少し難しい」
とおっしゃられてましたが、これはちゃんとした「ペルソナ・シナリオ法」をやってないんじゃないかと思いますね、僕の経験から言うと、ちゃんとやれば(15時間くらいかなー 笑)、
ペルソナがちゃんと生きてくると思います。カスタマージャーニーにしてもしかり。
枌谷さんはシナリオを「UXストーリー」で作成すると言っていて、
それは誰でも作成できると言っていましたが、UXストーリーの方が難しくて、
文字の羅列でわかりにくいような気がします。
またペーパープロトタイプを止めようと考えていると言っていましたが、
それもかなり勿体無い話ですよね。ペーパープロトタイプは紙とペンだけあれば作れるし、
ツールにお金を払う必要も学習コストもないのですから。
要はやり方の問題なんだと思います。
もちろん最終的にはデジタルなものに落とし込まないといけないのですが。
僕がやるパターンだと、
KA法→構造化シナリオ法→プロトタイピング→ストーリーボーディング→アクティングアウト
でやる方法が多いですね。
ペルソナ・シナリオ法だけでも十分優れたWebサイトを作れると思いますが、
ビジネス視点が入らないのがデメリットですかねー。
そこはビジネスモデルキャンバス等入れるなりして工夫するしかないと思います。
ということで博多UXの旅が終了しました。
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