DSST 2011年02月20日 No.08

LV.4 Senior Design Engineer 向け デザイン専門能力高度化プログラム- No.08

クリエイティブ・リーダーシップ特論
チームエンパワーメントと創造力の向上
2011年2月26日(土) 10:30~18:00
インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター

■ 概要:
  組織の創造力を高めるための方法論を学ぶとともに、
  即興的な身体活動による発想法として注目を集めているインプロビゼーションを応用したファシリテーション技法を学ぶ。

■ 習得できる知識・能力:
  デザインは創造性が関わる業務であり、新鮮なアイデアを出し続られる良質な方法や考え方を体得することが重要である。
  その原理を組織に適用するための方法論を習得する。

■ 講師:上平 崇仁 Takahito Kamihira

 専修大学ネットワーク情報学部 准教授
 1972年生まれ。
 1997年筑波大学大学院芸術研究科デザイン専攻修了。
 グラフィックデザイナー、東京工芸大学芸術学部助手を経て、2004年専修大学ネットワーク情報学部講師、
 2006年より准教授。情報デザイン教育に従事。

 人と情報の自然な対話のためのデザイン手法の研究、分野を横断した社会的デザイン実践を行っている。
 著書に「情報デザインの教室」(情報デザインフォーラム共著)。

■ 内容:
 本講義では、クリエイティビティを個人に帰結するものでなく組織的な力として向上させることを目的として、
 協調作業をファシリテートするための基本的な考え方と、そのための具体的な技法としてのインプロビゼーションについて学習する。

 インプロビゼーション(インプロ)とは台本の無い即興演劇のことである。
 インプロは、演技の完成度ではなく瞬発力を重視し、他人の思考を積極的に受け入れて展開される。
 
 そのトレーニングメソッドは、近年は役者だけではなく、多くの領域のクリエーターのための発想の基礎訓練としての有用性が注目されている。
 ここでは、この方法を取り入れたデザイン・ワークショップを参加者間で実行することで、発想プロセスにおける身体性の影響、
 そして他者と協働しながらアイデアを生み出すための創造力の原理について経験的に理解する。
 またその経験をもとに、チームビルディングに繋げることができる効果的なファシリテーションの方法論へと展開する。

  1、組織の創造力向上のためのファシリテーションとは
  2、発想のメカニズム
  3、インプロとデザインの関係
  4、ワークショップⅠ:インプロ入門
    (基本的なインプロのメニューを体験する)
  5、ワークショップⅡ:デザインへの応用
    (インプロ体験を行った上で、それを応用し、協調的なデザイン活動を試みる)
  6、ふりかえりと考察

■Chapter 1

・Josef Albers
 →切り込みと空間だけで表現したデザイン。
学生時代に影響を受けた。

・場を作る実験
 →言葉を使わずに、絵だけで日本と外国の学生を交流。

■講義の方針

※自己紹介 禁止!!
肩書きとかで影響されてしまうため。
フラットの関係で。

■大人が学ぶということ。

・経験学習モデル(Kolb, D, A 1984)
→学習とは、受動的に覚えて応用するのではなく、
自らの経験から独自のセオリーを生み出すこと。

・2重ループ学習(Argyis & Schon)
→学びかたをまなぶ。
→学びかたのパターン。

■unlearn 学びほぐし(ヘレンケラー)

 I’ve learned many things. But later,I had to unlearn.

 ・知識を忘れる、知識を捨てる
     →捨てるという意味は本当に捨てるということではなく、
       学びほぐし、自分の身体にフィットさせていくこと。

■風姿花伝 (世阿弥)
・若いうちは読んではいけないと言われている書籍

学び、学びほぐすために、どんな仕組みがいいんだろうか?

         「名前をつける」

       ※名前を起点に、圧縮、伸縮、解釈、改定、交配され、
          スケーラブルに広がる可能性を持つ。

■ワークショップ その1 「マイセオリーβ」
3人一人で対話をしよう。

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「これが○○流デザイン」

 ・GMOイトマキさんとコニカミノルタの小江さんとワークショップ

  ①まずは自分の意見を聞いてもらう。
  ②自分以外の二人が、その意見について感想を話し合う
  ②自分は二人の感想を後ろを向いて聞く。

★まとめ: 大事なことは、「対話」の中にある。

→中原淳さんと西村佳哲さんのミックス

対話とは、
1、共有可能なゆるやかなテーマの元で、
2、聞き手と話し手で担われる
3、想像的なコミニュケーション行為

・デザインに関する「知」もほぐす。

 →知識は、デザイン行為を縛って行く可能性がある。
     常に自分の知恵となるように、「学びほぐし」つづける必要がある。

 →「学びほぐし」は組み替えの痛みを伴うため、簡単にはできない。

参考図の「固定的知能観」「拡張的知能観」

■Chapter 2

・クリエイティブ・リーダーシップ?

  ・天安門事件 名もなき反逆者

  ・リーダシップ ≠ マネージャー
       リーダーは「創造と改革」

 ○フォロワーが投影し、結果的に評価がついてくる
 ○リーダー=カリスマではない。
 ○自分が全部やるのではなく、人が育つコミュニティの仕組みを作ること。

・リーダーシップを作るためのワークショップ

      例:スパイダー ワークショップ

■デザイナーが住んでいる、社会の移り変わり。

  デザインすべき問題対象も変わる。

「みんなでデザイン」
        ↓
ソーシャル化 / コラボレーションの強まり

自分を活かしつつ、チームエンパワーメント


午後

■グループ30サークル
  →○□△の記号だけが書かれているシートに、
   連想する絵をなるべくたくさん書いていく。

 ・ 最初は一人で○。
 ・ つぎは三人で話しながら、でも書くのは一人。シートは□。
 ・ 最後は三人で話しながら、同時に三人で書く。シートは△。

→三人同時に書くと、他人のアイデアに耳を傾けたり、連想することができなくなるかも……

■まとめ
1、他者の目がはいることで、一人では見えなかった問題の所存に気がつく可能性がたかまる。(他者視点)
2、他者との対話のために、書き出すことによって、自分自身の理解も深まること(外化)
3、メンバー間でお互いに解を吟味し合うことで、複数の視点から、より確かな解を選択する可能性が高まること。(相互吟味)

■学習観の大転換
→上司が言えば聞くとはかぎらない。

■社会的構成主義
→人間の発達には他者が必要であり、そもそも発達とは協同的である(レフ・セミョノヴィチ・ヴィゴツキー)

■正統適周辺参加(ジーン・レイヴ&エティエンヌ・ウェンガー)

例:美容院
→新人が入ったときは下っ端から。
→最初は目立たないように掃除をする。
→なれてくるとお客様の合間を見つつ、掃除をすませる
→いつのまにかに、下っ端なのに、全体像が見渡せる(ここが周辺)

   →シャンプーする際には、シャンプー前のボサボサの髪をみて、
     ビフォアー、アフターのトレーニングになっている。

   →シャンプーは筋トレになるらしい・・・


   ※端っこでありながら、段々中心に近づいている。
   ※参考資料の図 (Authentic Learning Envionment)
   ※組織にも言えることだよね。
   ※コミュニティがないと学習にはならない。

・一斉講義した場合の記憶力を調査したところ、
2.1%しか残ってなかった。

■ディスカッションタイム
→協調的な仕組みについて。

  ※後輩に全体像を見渡せる仕事をさせていたか?
  ※ブレストなどだと、新人が萎縮してしまう。
  ※電話取りなどは、社内、社外を見渡すにはいいかもしれないが、逆に新人にやらさなくても・・・・

■身体性とクリエイティビティ

例:塩

→最初は結晶化してない。
※海に溶け込んでいるものを取り出して、まとめて、料理に使う。

■アイデア生成の一般的原理

○アイデアとは「既存の要素の新しい組み合わせ以外の何者でもない」

■クリエイティビティの基盤2

・意識の裏側に隠れている、無意識/身体感覚
→インプロビゼーション

■インプロビゼーション

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 ▼同期ゲーム
  ・まずはペアで、相手の動きにあわせる
  ・つぎに八人でペアを組み、中の四人は彫像役、周りの四人が指示役。

 ▼ ボールワークショップ
  ・見えないボールを投げ合うゲーム。
   ・最初は野球のボール程度。
   ・大きさ、重さを変えてみる。
   ・渡すときに擬音で返す。
   ・ボールを渡すときに連想ゲームをする。
   ・連想ゲームの範囲を絞る。

 ▼8の字ワークショップ
  ・8の字を描くように動く。
  ・8の字を描きながら、目があったら会釈。
  ・8の字を描きながら、目があったら挨拶。
  ・8の字を描きながら、ハイタッチ!!
  ・8の字を描きながらスキップ
  ・8の字を描きながらスキップでハイタッチ

 ▼手拍子ワークショップ
 ・相手の手拍子に合わせて、手拍子をする。(8人ぐらい) 

   ・最初は1回手拍子をして、終わったら次の人が手拍子する。
   ・次は2回
   ・隣の人が2回目を終わらせたタイミングで、次の人が手拍子を始める。
   ・最後は3回。
   ・ただ手拍子をするだけではなく、渡すイメージで「ハイッ!」と声をかけ、
    渡すようなジェスチャーをしてあげる。
    →以上に早くなる。

■ワークショップ
 ・お題も即興!
 
 「花粉症を解決する」デザインを考える。

 ▼チーム
  ・SONY株式会社 石井千絵さん(渡辺さんの同期)
  ・フリーランスデザイナー 片山典子さん(元富士フィルムのプロダクトデザイナー)
  ・JRCエンジニアリング 小林貴直さん(大学のクラスメート)
  ・GMOメディア株式会社 伊藤麻紀子さん(お友達)

 ▼進め方
  ・いとまきさんだけが花粉症なので、
   とりあえずいとまきさんにインタビューする。
  ・いとまきさんが困っていることを解決することをブレスト
  ・そのうち、いくつかいいアイデアが生まれ、
   「杉の木撲滅PJ」というデザインが生まれた。

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打ち上げ

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