第19回デザインミニ塾 「共感」から発想するデザインコンセプト・オブザベーション

産業技術大学院大学で実施された、インフィールドデザインの佐々木さんが講師を務める、オブザベーションのセミナーに参加してきました。

時間を間違えてしまい、入ったときにはすでに始まっていた、
前が埋まっていたので、Tシャツの人の後ろに。

とりあえず、メモだけ残しておきます。

■第19回デザインミニ塾「共感」から発想するデザインコンセプト?オブザベーションのご紹介 講師 株式会社インフィールドデザイン 代表取締役 佐々木 千穂 氏 

▼インシュリン用の針  →何がデザインか批評もあったが、    素晴らしい経験デザイン
  ★すべてを提供するのが経験デザイン

▼エコに易しいカップ   モノをデザインしてくださいという課題に対して、体験をデザインした。

■アイデア開発の現場でよくある失敗 ・アンケートの結果、これが一番欲しい機能だったからこれをつけよう。 ・でもライバルも同じことをする。 ・誰でも手にはいるデータであれば、価値のあるものはつくないのでは。
 ・匿名の集団から何か発想できますか? ・傾向やイメージからアイデアは生まれません。

▼自分を基準にして決めつけてしまう。  ・今の若い人はそんなことはしないでしょう、    だって自分のまわりにはいないし。

  ★自分自身はユーザーの総代表ではない!!    決めつけから入ると失敗する。

▼自分ではない他人のために発想するには、その人に共感し、 望ましさに気づくことが重要    →ヒューマンセンタードデザイン
■ヒューマンファクターが万能であるわけではない。   ・テクニカルファクター       →技術優先となると、技術先行で世の中に出てしまい、失敗することがある。
   ・ビジネスファクター       →ビジネスの現場の意見を反映すると、なんの体験も考慮されないことがある。
  ・ヒューマンファクター    →頭でっかちになってしまい、上の二つも入れないと、ただの理想になってしまう。

■ヒューマンって?   →誰もが守ってあげたい空想の動物を考えてください。         5つの条件を満たせばだれでも理想の動物を書けてしまうという魔法の言葉。
   →この条件を満たすロボットを開発した。     (セラピー的なロボット)
  ※条件主導では理想のものを作れないこともある事例

■「誰も」って誰のこと。    ・誰もって誰?(世界中の人? 特定の人?)    ・条件さえあれば絶対に大丈夫?
  例:理想の結婚の条件    →条件が揃っていても幸せな結婚ができるとはかぎらない。
    ※机の上で考えていても理想のデザインはできない

■パット・ムーアの試み  →アメリカ人 85歳  →3年間アメリカを旅した。  →実は26歳のプロダクトデザイナー  当時のアメリカでは売れるものを作ることが求められていた。    上司に老人に使いやすいデザインを提言しても受け止められなかった。
     (老人はお金を持っていないから)
 →彼女はまず老人になりきり、彼らが必要なもの・思いを体験し、
      それをデザインでどう解決できるか試した。。

  脱・主要ユーザーのためのデザイン             ↓  見過ごされていた、自分でない人に注目し、共感し、発見していく、 そこで発見されたことが老人だけでなく、他の人にも使いやすかったりするデザインになる。 

■傾向ではなく「共感」が必要。
 ・傾向      →天気図を見れば、台風がくることがわかる。が        どんな天候か、被害があるのかはリアルにわからない。
  ・共感      →天気図ではない実際のその場の写真など。

  ★共感のための手法      →オブザベーション(エスノグラフィー)

■エスノグラフィー  ブロニスワフ・マリノフスキ(ポーランド出身の人類学者)はアボリジニなどを対象にエスノグラフィーを実施した。  (本来のエスノグラフィー)

■オブザベーション  ・聞き出すだけでなく、観察することが大事  なぜ観察することが重要なのか? 

 1. 潜在的な望ましさを発見できる。
     例: ハチ公の前のおばあちゃんが隠れて化粧を直している           →インタビューしても、「人に見られないように化粧を直したい」など、       おばあちゃんが必要とするものが聞けるとは限らない。        
     ★人は何が必要か、いつも言えるわけではない。

   例: 人はいつも口通りに行動しているわけではない。       (ゴミ袋の上に違法なゴミを捨てる)
         →インタビューしても、ちゃんとやっていると言う。
   例:老夫婦の部屋。     食器のかごにつくった料理を乗せていったり、食器棚に入れるぐらい狭い部屋
      →かごや食器棚は料理を収納する目的で作られているわけではないのに、       想定と違う使われ方をしている。

2.  自然な状況を目撃できる。    ・要介護のおじいちゃん。     ・お嫁さんと仲が悪い。     ・失禁などのため、トイレとお風呂が汚れる。

3. 動的会話から引き出せる。
   ▼成人式のプロジェクト      ・実の娘が父の介護している。     ・普段はオムツ姿で歩き回る。      ・でもオブザベーションすると、毛布でオムツを隠した。

4. 新しいアイデアがかきたてられる。
   ▼自宅で透析するための機械      →1ヶ月に1回、透析液を配送する会社        アメリカのサービスをそのまま導入したため、家にダンボールが30箱積み重なる。        配送会社も30箱運ばないといけないので大変。        台車でも運べない階段などもある。
      →そもそものシステム自体を見直す結果になった。

 5. 個人に焦点を当てられる。     →オブザベーションは極端な人にやるほうが良いと言われる・・・     →両極端な人が実は面白い
   ▼ジョギングシューズのオブザベーション       ・ジョギングに持っていくカバンを見せてもらったら、         メッセージを書いた紙を入れていた、(鬱病だった)
           一人暮らしのため、何かあったら困る。                      ↓    ジョギングが人に与える体験について考えることができた。
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■手法
 ▼見る     何をしているのかを言わせるのではなく、
       ・定点カメラで観察。             →ビデオは早送りができる。                  (早送りすることで見えてくることもある。)
    ・fly on th wall (ハエが止まっている)        ハエがじっと止まっているように、邪魔をしないで観察する。
 ▼試す     視点を理解するために、人の経験を強調する方法を考える。       →やってみて、試してみる。
       →IDEOの事例。            患者の体験をしてみる。
       →IDEOの事例2 AED            心臓麻痺がいつ起こるかわからないので、             ランダムにポケベルを鳴らして、その状況を記録していった。
 ▼頼む      人々の協力を求める。
     ・写真日記。         →調査員がどうしても入れない空間や時間を観察することができる。
      ・ワイン&ダイン         →気心のあった仲間を集めて、アルコールをのみながら、脱残してもらう。  (普段は話せないような内容)

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■集めた素材を発想に活かす。
 ・データを集めることは誰にでもできる!     →企画の部分では手腕が求め間れるが、データ集めは簡単。     →データは素材。いかに調理するかが重要。
   ▼USBの話       →コンセントを見本に開発した。        →これはまれな例
            「 事実→発想」は危険。
                ・オムツの例だと、「オムツを厚くしよう」となってしまう。
         ちょっと遠回りだけど、          「事実→洞察→望ましい経験→発想」                 ※エクスペリエンスデザインの山!
               →オムツが恥ずかしくないように、腰回りだけはそのままで、パットだけ変えられるオムツなど。

■プロジェクト事例。
  ▼オフィス移転プロジェクト     ・全社員へのアンケート       ・写真日記
   ▼ゾーニングと対話が問題になった。        ・同僚との会話によって刺激を受けることもある。        ・一つのフロアで総務など複数のことが行われている、            それによって、業務のじゃまになることがある。            →集中できるゾーニングではないことがわかった。         ・ちょっとした会話ができる「とまり木」がないのではないか。
         →フレームワークからゾーニングを生み出した。             ハニカム状のレイアウト、止まり木になるセンターテーブル
        ・引越し後の調査も行った。
              →止まり木のはずなのに、個人の袖卓になってしまった。

■まとめ
 ▼オブザベーションは魔法の杖ではありません。

→普通の結果になることもある。       あくまでもひとつの手段
 ▼仮説検証の道具にしてしまう。

→自分たちの会話の道具を持っていって使ってもらったり、自分たちが求めていた答えの確認にいってしまう。
   →オブザベーション対象者の「せい」にしてしまう。  

・間違うのは、観察するほう。もしくは発見できなかった。
 ▼調査結果を求めてしまう。

→結論を求めてしまう。 発想をするためのあくまでもひとつのステップ。

 ★仮説は持ったほうがいい。    ただ、仮説の検証はだめ。

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