Art Direction for Web solution
「ウェブで成果を上げるためのデザインとブランディング」
ウジトモコさん
ちょっと前ですが、
ウジトモコさんのアートディレクションのセミナーに参加してきました、
ウジトモコさんは「視覚マーケティングのススメ」「売れるデザインのしくみ」などの、
著書があるアートディレクターさんです。
有料ではあるものの、貴重なセミナーのはずですが、
当日は自分も含めて、参加者が2名だけという、
贅沢なセミナーでした。
講義
■1)アートディレクションの3つのポイント
発注側のデザインスキル不足をどうナビゲーションするか。
▼価値
アートディレクションによって価値をあげる。
→価値があがってないと成果として認められない、
▼意味
お客さんが価値をわかってないことが多い。
対競合、対顧客。に対して差別化する。
CLASSとTYPE
リッツカールトンのまねをしてもしょうがない、
強みを可視化する必要がある。
▼関係
全体像をつくっていくことが必要。(グランドデザイン)
→Smile Curve
※ブランド強化のためのウェブサイト制作に必要なものは、
「グランドデザイン」。
ただし、数多くの企業に存在しない。
■マーケティング3.0の「3i」
▼ブランド・アイデンティティー
「ポジショニング」「ブランド」からなり、ブランドを消費者のマインド内に
ポジショニングすること。消費者のニーズや欲求にとって意味を持つ。
▼ブランド・インテグリティ
「差別化」と「ポジショニング」からなり、誠実であること、
約束を果たすこと、消費者の信頼を醸成すること。
▼ブランド・イメージ
「ブランド」と「差別化」からなり、消費者の「エモーション」をつかむこと。
→3種の神器:剣と玉と鏡。
ネーミング、アイディンティティ
→ただのリデザインでも、
ディレクターが内容を加味しないといけない。
■「3i」をどうやって可視化するか
・ホワイトスペース
→いらないものをそぎ落とす。アイディンティティを強く見せる。
※タイプ戦略
例:ロクシタン
例:ウジトモコさんの娘は31をよく食べる
→ハーゲンダッツより高いが、世界観に魅力。
ディズニー
→クッキーが1500円なのに買う。
※今あるよいものをミックスしてもいいデザインはできない。
企業の方向性をアートディレクターが指をさす必要がある。
※ブランドが成長する場合にはロゴがシンプルになることが多い
例:アップル、スタバ。
※水戸黄門の例
なぜ印籠の効果があるか
→弱いものを助けたり、悪代官を退治したりした
「体験デザイン」がシンボル化されている。
※体験のデザインを資産として残す仕事をしないといけない。
※ブランドイメージ
→お客様から見られるシナリオをデザインしなければいけない。
■デザインプロジェクトを成功させるためのコンセプトとプロセスのデザイン
▼売れるデザインのしくみ(戦略)を立案
・戦略としてのグランドデザインの描きかた
(Plan、Pattern、Perspective、Positioning、Ploy)
Positioning
→未来を可視化するとデザインが長持ちする。差別化できるので評価につながる。
※今のデザイントレンドは追わない。
・計画のシナリオプランニング
・トーン&マナーによるアートディレクション
(フォント計画、カラーマーケティング、キーヴィジュアル、トーン&マナー)
・企業ミッション&ビジョンの重要性
(消費の時代から、施行・哲学の時代へ)
▼視覚マーケティング
○ブランド創出のための中長期的「全体デザイン戦略」
→企業のリブランディング、新規ビジネスのブランドマーケティング、デザイン戦略
×市場調査やマーケティングの動向に基づいた、デザインのコンセプトあるいはレイアウト決め
▼コミュニケーションデザイン
(リレーションシップ・デザインマーケティング)
○ブランド認知のためのVI(ビジュアルアイデンティティ)+
宣伝・広報(紙+ウェブ)のデザイン戦略
プロジェクトとコミュニケーションの「グランドデザイン」を描くこと。
→限られた予算でパフォーマンスを上げるための消費者認知活動及び宣伝計画
×様々な媒体運動やメディアミックス手法を駆使した宣伝計画
■視覚マーケティング実習1
デザイン戦略の「方位(direction)」を決める。
※日本のクライアントは、ぜんぜん脈絡のない他サイトを
デザインの方向性として出してくることが多い。
→非常に危険。
今ある正解に寄せようとする傾向がある
■視覚マーケティング実習2
デザイン戦略の「角度(reach)」を決める。
■視覚マーケティング実習3
デザイン戦略の「クラス(class)」を決める。
例:トヨタのコンパクトカー
→コンパクトカーで値段も安くて、カジュアルだけど高性能。
■視覚マーケティング実習4
デザイン戦略の「タイプ(type)」を決める。
際立たせるものを決める。
世界観、好み。
■視覚マーケティング実習5
デザイン戦略の「テーマ(concept)」を決める。
■デザインの意味
実例:日本酒 豊島屋本店「綾」
・日本酒の酒蔵は800から200へ。
・日本酒を若いひとに売りたい。
・発泡酒のお酒。この時点では値段はわからない。
・結果として、白ベース。ポイントカラーとして和モダン(十二二重の色見本)の色を入れた。
・2本で1500円。限定品
・日本酒のデザインは毛筆が多い。
・ヒラギノにして、一文字で、外人が覚えやすい名前にした。「綾」。
・最初は「うすにごり きんこん」だった。
きんこんは縁起のよい名前。
・最終的にはヒラギノとヘルベチカになった。
・社長の娘が綾だった。
・リッチブラック案は高級訴求
→安全案。
・バリューイノベーション案が和モダン+ホワイト
→失敗しにくい、嫌いな人がいない。
・多色訴求
※「デザインマーケティング」とは、
優位性(勝ち目のある)ポジションを(視覚化)可視化すること
■比較と検証
Webサイトは価値判断が難しいのでテストをしている。
(ショッピングバック・サイン・ファッション)
良いショッピングバックは長く残る。
例:ハリトレー
▼ハリトレーのプロセス
テンプレートではなくフォーマット
→提案書からデザインの提案が始まっている。
「意味のある、デザインの決まりごとを決める」
→Visual Strategy(自己の可視化)
だめな例:AU
→長続きしない。
デザインの未来をつくるとお金になる。
→デザインとは、未来への投資です。
ワークショップ
ワークショップでは、
新しいセミナーのデザインを提案するというカタチで、
実際にクリエイティブブリーフを作成しました。
下記はわたくしの作成した案です。
■ワークショップ1:プレミアセミナーを設置(新ブランド)
▼デザインの方位
間違えられてはいけない方向性:現状はクリエイター向けのセミナー。
進むべき方向性:あくまでもビジネス向けの特別セミナー。
一方的に教えられるのではなく、互いに共感し、議論しながら学べる内容。
対象もビジネスマン向け。高級感
▼デザイン戦略の角度
狭くとる場合:白ベースでキーカラーを青で訴求
広く取る場合:白ベース。ポップな印象はあたえない色をサブカラーとして選ぶ。
※対象がビジネスユーザーなので、カジュアル+カラフルは想定しない。
・写真:ビジネスマン
・カラー:青ベースの一色戦略
・フォント:男性的でカッチリとしたもの。ゴシック。
・ホワイトスペース:文字数などを減らしてシンプルに。
※誰かが使ってしまうようなものを使うと差別化できない。
例:握手
■ワークショップ2:朝活セミナー
▼デザインの方向性
間違えられてはいけない方向性:ビジネス向けのセミナー、硬い、議論になってしまう。
進むべき方向性:お互いの否定しない。女性向け。気軽に参加できる。
▼デザイン戦略の角度
狭くとる場合:白ベースでポップなサブカラーを複数
広く取る場合:白ベース。
・写真:女性の写真
・カラー:白ベースで複数のサブカラー
・フォント:女性的でやわらないフォント。ゴシックは選ばない。
・ホワイトスペース:文字数などを減らしてシンプルに。ごちゃごちゃさせない。
質疑応答
Q. 他との差別化は?
A. ディレクターは方向性を示してあげる、デザインのアイデアはデザイナーの仕事。
例:議論もするセミナー
→場をあらわす「教室で議論している写真」「草原で話している写真」
デザインでメタファー(世界観)を表現する。
例:ビジネスセミナー→お互いが教えあう→教室→部屋のようなデザイン。
まとめ
アートディレクション的なことはディレクターの業務範囲として行うこともあるのですが、
はっきりと「デザインは戦略である」とまで言い切れる程の域まで、
取り組めることはなかったので、
今後は戦略的な視点からもデザインの提案が出来るようになれればと思います。
■参考
有料セミナーのため資料は公開されておりませんが、
同様のセミナーの資料は下記にて公開されております。
CSS Nite in Ginza, Vol.61「デザインセンスを身につける」
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