デザインと抽象 — 手を動かす「前」に行うと、変わるもの — 2024年01月17日

デジタルハリウッドSTUDIO by LIGの主催ウェビナーに参加しました。

■登壇ゲスト

Shhh inc. 取締役/デザイナー
宇都宮 勝晃 さん

▼自己紹介
・宇都宮 勝晃 さん
・Shhh inc. 取締役(現在5期目)
・デザイナー
・ディレクターからデザイナーに転向した。

▼なぜ抽象化?
どんな事を知りたいと思っていますか?
 
ディレクターからデザイナーに転身されたことで、ディレクター時代の活きた経験や、手を動かすだけじゃなくてこういうスキルもあるとデザイナーとしても役に立つよということなどあれば伺ってみたい。

せっかく作り上げたデザイン。
そもそも方向性自体が違っていた…

「デザインする前」に方向性の精度をいかに高められるか。

・デザインプロセス
 入力・変換・出力
・「変換」に注目する、前段階に依存している
・入力と変換に多少なりとも関わっていたので、
 デザイナーになれた。

・「変換」プロセスを分解すると…
 1.抽出し
 2.抽象化し
 3.発想を転換する

※書籍
 ・コンセプトのつくりかた
 ・アイデアのつくり方

▼抽象化とは?

・個別の情報群を「わけること」と「まとめる」こと

・入力で得た、大量の情報を具体(個別)のまま見ない、
 一度、分類し、目的に応じ優先順位づける。
 このプロセスが抽象化。

▼抽象化の実践

・「型」を使い、
 これから実践を

・宇都宮が、宇都宮翔太さんを、抽象化する

 1.インタビュー
 2.抽出
 3.抽象化
 4.視覚化(の入り口)
 5.コンセプト策定

・予め翔太さんに、1hのデプスインタビューを実施
 インタビューガイドを使用
  1.まずはお仕事について教えてください。
  →相手の「世界」を知るための質問
  2.今度は翔太さんご自身について教えてください。
→相手の「らしさ」を知るための質問
  3.翔太さんのこれからについて教えてください。
   →相手の「ありたい姿」を知るための質問

・相手の「世界」を知る=「事実」を中心に聞く

・曖昧な1回目の回答をより具体化していく追加質問
 (5W1H)

・「大きい言葉」を解体する

・解体する事で、はじめて
 その人にとっての「ベンチャー」が立ち上がる

・逆を聞く。
 逆こそ相手の価値観が
 浮かび上がる(対照的質問)

・Figjamで、KJ法をしながら見出しをつけていく

・常にボトムアップ。
 事実(発言)から
 積み上げる

・これらは全て一つの「型」。
 実務でそのまま用いることは、ほぼない

▼さいごに
 「相手の世界の見方」を知ること
  =
 「自分自身の思い込み」に気づくこと
 「それまでとちがう自分」を知ること

・人間中心で考える
・本当に必要な力とはシンパシーでなく、
 エンパシー
・エンパシーとは…
 「他者の靴を履く感覚」
 「相手の肩越しから、世界を見てみる」

・自分自身の「入力」と「変換」に
 変化があればあるほど、
 結果である「出力(=デザイン)」は、
 必ず変わってくる。
 さらに言うと、
 より唯一のものに近づく(はず)

▼質疑応答

Q.情報を収集する際、自分の癖でどうしても大量に集めすぎてしまい、情報が散らかってしまったりぼやけてしまったりということがあったり、逆に道が逸れて余分なものを集めてしまったせいで本来大事なものを制限時間内に拾えなかったりといった失敗が多いと感じております。
宇都宮さんが情報を集める際、必要充分な最小公約数のパーツを集める(コスパの良い収集?)際に気をつけてらっしゃることやマナー等ありましたら、ご教示戴けましたら幸いです。
何卒よろしくお願い致します!

→おそらく情報は全て大事なんですよね。なので、先ほどのワークの中でも、一旦情報は全部落とすステップ1では全部落とすっていうようなことをお話したと思うんですね。そこには重要・重要でないっていうところの判断、入れ込まないと話したかなと思います。なのでまず最初の段階では一見非効率に見えるかもしれないんですけど、得られた情報というのは全部まずテーブルの上に出してみるっていうのはすごく大事なかなと思っています。それをえた後であのデザイナーをやってることってどういうことかっていうと、重要なものを見定めて切り捨てることだと思ってるんですね。これはデザインをしているので、そうだと思うんですけども、ここが重要であるっていうところを見定めてそこにフォーカスしていくっていうところが、先ほど抽象化っていうのはデザイナーが無意識でやってることっていうところもちょっとお話させていただいたと思うんですけども、多分その結構抽象化ってデザイナーのスキルのエッセンスじゃない自分で解くなんていうんでしょうね。
情報自体は収集していくんですけれども、それを俯瞰で見た後で、先ほどの中では少しずつマージをしていってたと思うんですよねお話をしていきながらラベルをつけるみたいな形で徐々に絞り込んでいくっていうことをしてたと思うんですけども、そういった形でより重要な情報より、その翔太さん、ここで言う重要っていうのは翔太さんらしさに近づける情報ですね。
そこを見定めていくっていうところになるのかなと思っていますので、あんまりその情報収集もちろんそのデスクトップリサーチのところ今日は抜かしていたので、そのあたりのお話はしてないんですけども、最初の段階でいっぱいいろんな情報をクライアントの情報収集していくと思うんですねそれはすごく大事なことで、あの、そこに対するもしかするとコ・ス・パの良い収集をということをおっしゃってるいただいてるのかもしれないんですけども、そこに関してはおそらくある程度の仮説を持って情報収集するっていうところが大事なポイントになるのかなっていうところの答えにはなるんですけども今日お話させていただいって言うか、あの前提のもとで取捨選別をしていくっていうのがデザイナーのある種のスキルになっていくんじゃないかなというふうに思います。

Q.インタビューガイドは、インタビューの前にクライアントに共有されてますでしょうか?
 →必ず事前に共有している

Q.新米デザイナーです。ヒアリングには携われるのですが、基本的にディレクターやADが先行して進めていきます。そういった上のフェーズが決まってしまっている案件について、今日のような考えやプロセスで少しでも携われる方法はありますか?

→できればっていう形で自分がおすすめしたいのは、ディレクターに含めてもらってですね。自分は少しでもやった方がいいと思うんですよね。もちろんそれどころじゃないところもちろんあるとは思うんですけれど、例えばその後自身にとってこの仕事はちょっと頑張りたいぞとかですね、思われてるような仕事とかの場合はちょっと率先して参加させてもらってもいいですか。うちでちょっと入れてもらうみたいなやり方はあるんじゃないかします。そういうことをしてたりすると、なんかあいつはいろいろ前向きで良いぞみたいな感じですね。いろいろ声も変わったりすることは増えてくるんじゃないかなと思うんですよね。なので、ちょっとそういうとっかかりを使う作っていくみたいできると、自分はいいんじゃないのかなというふうに感じました。

Q.形容詞からイメージできるデザインをいくつかリストアップする際、自分の固定概念で選んでしまうと結局新しさが生まれない気がしています。
なにか工夫できることはあるでしょうか?
また、あのデザインイメージからどのようにオリジナルのデザインに進めていくのか、ヒントを教えて欲しいです!

→量、大量にみる。見ていくとストックされていく。
 まず大量にみることから始めてみては。

Q.ステップ2の最初にあたるグルーピングが細かすぎるなど抽象化が苦手なのですが、グルーピングする際のコツはありますか?

→ないと思うなー。量じゃないかなー
それはやっぱり多分ある程度のトレーニングじゃないかなと想像しています。あと、すごく小さなTipsで言うとキーワードって似たキーワードがあるはずなんですよね。ここでいうと、人材支援とかですね、そういう類似するキーワードとにかく収集して1回まずグルーピングしてみるというのは手ですね。
ただ、そういう言葉を使ってるんだけど実際には違う意味で使ってるみたいなところもあるのでその見定めが結構大事になってくるかなというふうに思います。

Q.情報を分類する際の形容詞なのですが、何か形容詞リストのような参考にしているものなどはありますでしょうか?
似たようなことをすることはあるのですが、毎回その場で考えているのでもう少し効率的にできればいいなと思っています。

→フォーマットを用意しないようにしている。なんていうかっていうと、何て言うかね、そこは無駄かもしれないけど無駄な道を取った方が自分はいいと思ってるんですよね。非効率かもしれないけど自分はなるべくそこはフォーマット化しないというかフォーマットを用意しないようにしてたりします。
 

Q.お話の中で、「必ず事実から積み上げることが大切」と仰っていましたが、私はヒアリングや情報設計の段階でどうしても最終イメージを想像してしまい、集める参考情報にも偏りが出がちだと自覚しています。(結果、制作の段階でぶれることも多々あります。)
そうした状態を回避するコツや、意識するといいポイントがあれば教えていただけますと幸いです。よろしくお願いいたします!

→これでもすごい良いと思います、これって何をしてるかっていうと仮説をやってるはずなんですよ。イメージを作ってるってことなんですよね。やっぱり得られた情報からこういうアプローチがありそうだな、こういう感じを良さそうだなってイメージをしていくってすごい大事で、それはすごくいい癖だと思うので持たれた方がいいと思います。
ポイントはそこから必ずずれるはずなんですよ。大体最初に始め、考えたくて、絶対その通りにいかないですよね。なんでかっていうとそれは、あの少しずつステップを含めて理解していく中で、いや全然違うなっていうふうに自分でわかってくるから、つまり自分自身が変わっていくんですね。なのでそうなっていくはず、そうなっていかないということはちゃんと事実と向き合えてないとか、そのこの対象のことを考えてないつまり自分の先入観で考えているから、アウトプットが変わらない。じゃないかなと自分は考えます。そんなふうにして考えていくといいんです。イメージをしながら考えるってのはすごい大事なことなので、それはすごくいいことだ。

Q.自身の周りのデザイナーは「言語化が苦手」と言っている人が多いです。
分類して見出しをつけていく中で
それをどういった言葉でまとめ表現するかは
適切な言葉の引き出しを持っているかも必要なのかなと思いました。
宇都宮さんはこの抽象化のフローで
適切な言葉が思いつかなくて悩むことはありますか?
普段から意識している「言語化」についてのトレーニングはありますか?

→ちょっと抽象的になってしまうかもしれないんですけど、思い浮かぶ思い悩むことはあんまりなくって、それよりも、なんていうか、言葉を大事にするっていうことじゃないかなと思ってますちょっと抽象的な答えで申し訳ないんですけれど、なんていう感じでこういう枠組みでグルーピングしたときに、KK的な言葉にすると、すごく当たり前なものになっちゃうんですよね。対象に向き合え、てそのなるべくその対象が持っている特徴を出していきたいとなってくるとやっぱりそのとき、そのときにやっぱり言葉を出していく。ことが大事だと思っているのでそれがやっぱりオリジナリティみたいなところに紐づいてくるしらしさっていうところをよりリアリティある。なんだろうな、ちょっとすごい抽象的で申し訳ないんですけど言葉に素直になるっていう回答をなってしまうかもしれないですね、あんまりよく使われる言葉とかを引っ張ってこないんで、なるべくそのときに自分が感じたものだ。やはり、多分こういう言葉が適切なんじゃないかみたいなのをちょっとあの、模索してみるそうすると少しずつ自分、として、大事にしていかなんだろうと、ある種の自分らしい言葉っていうのが作れてくるんじゃないかなっていうふうに想像してるんですそれってやっぱりこのグルーピングの仕方とかでもそうだし、なんですけれど、それやっぱ自分だからこそできることでもあるとは思うんで、なんかそういう形で向き合っていけるとすごくいいんじゃないかなというふうに思います、こういうところのざっくりしたキーワードがあったりするんで私もあの全然まだまだたりするんですけれども、そういったね、なので先ほど英語とかのキーワードを付け、見出しをつけるのをやめてるとかっていうところもちょっとこういうところに紐づいたりはしています、これはちょっとスタイルの違いなのかもしれないですけどね。

Q.今回は既に存在する人物(企業)のらしさについてのお話でした。
新しく作られた歴史・実績がほぼゼロの企業・グループに対する場合、ヒアリングから「らしさ」が引き出しにくいこともありそうですが、何かアドバイスあればお願いしたいです。

→そこで言いますと、このステップ2のところ3でやっていた。
らしさとありたい姿を明らかにするっていう中で、らしさっていうものとありたい姿っていうのを意図的に切り分けてるんですね。それで、ここはですね、らしさって、自分がこれは捉えているものですけれど、過去から現在までに積み上げられてきたものが、ですね。ありたい姿っていうのは現在から未来に向けて、新しく作られていったような例えば者商品やサービスだったり企業さんであったりすると、らしさというものは、基本的にはない、ありたい姿だけがあるんだろうと思うんですよね。なので、見ていくのはらしさというよりもありたい姿をよりしっていく。っていうところに、あの焦点を合わせていくっていうところがいいのかなっていうふうに、そんな感じですね。

Q.抽象化のプロセスですが、自分が実際やってみるとなると、とても時間がかかるかな、と思っています。宇都宮さんは、常日頃からこういう思考で物事を見たりしているのでしょうか?徐々に慣れてくればこういう思考が自然に身につくのか知りたいです。

→そうですねお仕事でさせていただく場合には、こういうプロセスで必ずやるようにしています。そうしていかないとやっぱり入力変換の部分が型落ちになってくるので、出力の部分というところの的の絞られ方がとても浅いものになって来るっていうことが多いですのであんまり何だろう、お互いにとってやっぱりこう納得感が作られにくいような印象はします。ので、なるべくこういったようなプロセスで取り組ませていただくというところが動きを追い、多くなるようにしています。

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