というわけで久しぶりに植木真さんが講師の
アクセシビリティセミナーに参加しました。
・Accessibility
=A11y
・アクセシビリティはUXを構成する要素の一つ
・アクセシビリティはユーザビリティとオーバーラップする部分がある。
(特に、認知や学習、)
・ウェブアクセシビリティが法律で義務化される?
→答えは、いいえ
・障害者差別解消法とは?
・不当な差別的取扱いの禁止
・合理的配慮の提供
・環境の整備
・不当な差別的取扱いの禁止
障害のある人に対して、正当な理由なく、障害を理由として、
・サービスの提供を拒否すること
・サービスの提供にあたって場所や時間帯を制限すること
・障害のない人には付けない条件を付けること
・合理的配慮の提供
・障害のある人から、社会の中にあるバリアを取り除くためになんらかの対応を必要としていると意思が示されたとき
・負担が重すぎない範囲で対応すること
・障害のある人と事業者等との間の「建設的対話」を通じて
相互理解を深め、共に対応案を検討していくこと
・「負担が重すぎない範囲」を判断するポイント
・事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か)
・実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)
・費用・負担の程度
・事務・事業規模
・財政・財務状況
・環境の整備
合理的な配慮を的確に行うために
・不特定多数の障害のある人を主な対象として行われる
事前的改善措置
・施設や設備のバリアフリー化
・意思表示やコミュニケーションを支援するためのサービス・ 介助者等の人的支援
・障害のある人にが円滑に情報の取得・利用・発信できるための情報アクセシビリティの向上
・合理的配慮と環境の整備
オンラインでの申込手続が必要な場合に、手続を行うためのウェブサイトが障害者にとって利用しづらいものとなっていることから、手続に際しての支援を求める申出があった場合に、求めに応じて電話や電子メールでの対応を行う(合理的配慮の提供)とともに、以後、障害者がオンライン申込みの際に不便を感じることのないよう、ウェブサイトの改良を行う(環境の整備)。
・今回の法改正、押えておきたい3つのポイント
・従来通り:障害を理由とした不当な差別的扱いを禁止
・変更あり:「合理的配慮の提供」を事業者にも義務化
・従来通り:「環境の整備」は努力義務
・つまり、2024年の法改正により変わったのは?
・「合理的配慮の提供」が事業者にも義務化
・ウェブサイトのアクセシビリティ自体が義務化されるのではない
だから、やらなくてもいいんです。
というわけではありません!
・ウェブサイトを例にしてポイントを整理してみましょう
1.あらかじめ、アクセシビリティをできるだけ高めておく
・環境の整備=努力義務
2.障害があるユーザーから「ウェブサイトが使えなくて困っている」という声が寄せられた場合、建設的対話で解決法を検討して、ユーザーの困りごとを解決する
・合理的配慮=義務化
3.以後、他のユーザーが同じことで困ることがないように、該当箇所を改修しておく
・環境の整備=努力義務
・電話やメールでの対応も「合理的配慮」になりうる
ウェブサイト以外でユーザーの困りごとを解決できることもありえる
・電話やメールで申し込みを受け付ける
・詳細な情報をメールで送る
・店舗や会場などの現地でサポートする
・仮にウェブ以外の手段で個別対応できたとしても
・ウェブサイト(当該箇所)の改善に取り組みましょう
→より良質なUXの提供、ユーザビリティの向上
・同じことで困っているお客様が他にもいるはず
→機会損失の回避
・改善することでタスク完了率が上がる可能性が高まる
→ビジネス機会の増大、目標達成率(件数)向上
・製品・サービスや店舗での対応と同じ
・コスト削減というメリットも
・アクセシビリティを高めていけば、個別対応する必要も減る
・個別対応の繰り返しになると、対応コストの負担も大きくなる
・例えば、商品情報を拡充したり、Q&Aページを充実させたりすることによって、問合せ対応のコストを削減できるのと同じ
より多くのお客様が目的のタスクを完了しやすくなる
事業者はコストを削減し、機会の増大につなげられる
■「環境の整備」のために具体的に何をすればいいの?
目安になるガイドライン・規格がある
・W3Cのガイドラインが、ISO/IEC規格、そしてJIS規格になっている
・当事者ユーザー(お客様)の声を聴くことの重要性
・これも製品・サービスや店舗で普段やっていることと同じ
・ガイドラインに準拠していても、合理的配慮の提供を 求められる可能性は残る
・ガイドライン準拠=ユーザーが最低限使える状態にあること
・もちろん、よくある致命的な問題を解消することはできる
・ユーザビリティの問題がユーザーの困りごとになる可能性もある
・アクセシビリティは障害者対応?
・今後の日本市場を表すキーワードは?
・少子高齢化
・インターネット利用状況(個人)
10代~50代は95%超
60代も85%超
・加齢に伴う身体機能の低下
20~24を100とすると55~59では
・つまり、こんなユーザーが増えていく
・見えづらい
・聴こえづらい
・操作しづらい
・認知しづらい
・学習しづらい
・記憶しづらい
・ウェブアクセシビリティ方針
例:花王
https://www.kao.com/jp/web-accessibility/policy/
・子どもたちや若年層にもアクセシビリティ
クラスのうち3.7人は、眼鏡を使用
・20~30代でも要注意!「スマホ老眼」
・スマホの小さい文字がよく見えない。
・スマホを見たあと、画面から目を離すとぼやける。
・夕方になると、物が見えにくくなる。
・目が疲れている感じがする。
・アクセシビリティは配慮?
配慮ではなく、不可欠。
・障害者や高齢者のニーズに応えることはこれからは前提となり、当たり前になる
・見えづらい
・聴こえづらい
・操作しづらい
・認知しづらい
・学習しづらい
・記憶しづらい
・マイクロソフトの「インクルーシブデザイン」
・「人」ではなく「能力」に着目
■Webアクセシビリティ基本のキ=よく見つかる問題あるある
1.ページの内容が分かるページタイトルを記述する
2.見出しやリストなどの文書構造をマークアップする
3.リンクテキストは、リンク先が分かる文言にする
4.情報を伝えている画像に代替テキストを提供する
5.情報を伝える色の使い方に注意する
6.ユーザーがコンテンツを拡大表示できるようにする
7.キーボードだけでも操作できるようにする
8.フォーム・コントロールのラベルをマークアップする
9.エラーメッセージでは修正方法を明示する
10.動画にキャプション(字幕)を提供する
・実際によく見つかる問題 TOP5
・見出しのマークアップ
画面の見た目だけではなく、「マシンリーダブル」にする
各セクションに見出しがあると取捨選択しやすくなる
・画像の代替テキスト
画像に代替テキストを提供して “マシンリーダブル” にする。
・HTMLでは、(基本的には) img要素のalt属性を用いる
・alt属性値の文字数が多くなる場合は、別の手段を用いてもよい
・図の説明を本文のテキストで提供する
・グラフと同じデータをtable要素の表でも提供する
・モーダルウィンドウや別ページを使ってもよい
■さまざまなユーザーが利用している可能性を常に意識する
・代替テキストがないと情報を得られないケース(例)
・スクリーンリーダーを使用している
・全盲、ロービジョン/弱視、ディスレクシア(読字障害)など
・点字ディスプレイを使用している
・全盲、盲聾(視覚と聴覚両方が使えない)など
・画像表示をOFFにしている
・テキストブラウザを使用している
・検索エンジンのクローラー
・画像にある文言をそのまま過不足なく記述する
・画像にある文言を自分の主観
・altデシジョンツリー
https://www.w3.org/WAI/tutorials/images/decision-tree/ja
・キーボード操作
・マウスだけでなく、キーボードだけでも操作できるようにする
・スマホやタブレットでも外付けキーボードで操作していることがある
キーボード操作時にフォーカス現在位置をインジケータで明示する
・色のコントラスト
文字色と背景色のコントラスト比を4.5.1以上確保する
さまざまなユーザーが利用している可能性を常に意識する
・色のコントラストが弱いと情報を読み取りづらいケース(例)
・ロービジョン/弱視の視覚障害がある
・色覚(色の見えかた)に特性がある
・白内障や緑内障などの眼の疾患がある
・老眼である
・視力が悪い
・屋外の自然光でいつもより見えづらい
・文字色と背景色のコントラスト
コントラスト比を 4.5:1以上にする
・基準となる数値が定められているので、チェックツールで確認
・背景色が単一ではない場合は、コントラスト比が最も低くなる色で判定する
・例えば、背景が写真やグラデーションのとき
・24px以上の太字や30px以上の文字は3:1以上でよい
※ 24px=18pt, 30px=22pt
・カラーコントラストアナライザー
https://www.tpgi.com/color-contrast-checker/
・最近たまにある困りごと
日本の人口の半分が「老眼」世代
・動画のキャプション
・動画コンテンツの音声情報をキャプション(字幕)でも提供する。
・その他
・参考「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」
https://www.digital.go.jp/resources/introduction-to-web-accessibility-guidebook
・今日のポイント
・ウェブサイトのアクセシビリティが義務化されるわけではない
・少子高齢化の日本市場においては重要性を増していく
・実際によく見つかる問題点は基本の「キ」とほぼ共通
▼質疑応答
Q.展覧会やオーケストラなど目や耳を使うことを前提としたジャンルのwebページでは、アクセシビリティにどこまで対応を気を付けるべきでしょうか?
→見出しのマークアップをちゃんとしましょう。
→色のコントラスト、キーボードだけでも操作できる。
→どこまで絵画の説明をするか。
※電話で話すような感じでAlt、キャプションをつける
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