国内UXリサーチ先進企業LIFULLに学ぶ プロダクトグロースを最大化するUXリサーチの活用方法
2023年09月28日(木)13:00~14:00
■登壇者紹介
小川さんと相田さん。
■自己紹介
・小川未樹子さん
2008年に中途入社いたしまして、最初はサービスの開発をしておりました。2017年にユーザーファーストを推進するグループが新設されて、
そのメンバーとして参画しております。それ以降はUXリサーチを通して、ユーザーファーストな開発を導入することを推進しております。
・相田可奈子さん
事業本部プロダクトプランニング部でサービス企画をやっております
■LIFULL紹介
LIFULL HOME’S
コーポレートメッセージとして、あらゆるライフをフルにというものを掲げております。
■プロダクトプランニング部とユーザーファースト推進ユニット
・プロダクトプランニング部
プロダクトプランニング部は、LIFULL HOME’Sの企画開発運用を行っている部署で、2020年頃からプロダクトマネージメントを本格的に導入しております。
・ユーザーファースト推進ユニット
ユーザーファースト推進ユニットは、ライフルのサービス開発組織に対して、ユーザーファーストの開発を推進する部署です。
その取り組みの一つとして、定性調査をメインに、UXリサーチを実施しております。
■こんなお悩みのヒントになれば嬉しいです。
1.グロースチームにUXリサーチを取り入れる難しさと取り組み
遡ること数年前、それまでいた新規の開発のチームから既存プロダクトで、短期的に成果を出すことをミッションとするチームに配置されました。
移動のタイミングで新しいこともふえていろいろ余裕がなくなったということもあったのも影響し開発サイクルにUXリサーチを取り入れることがなくなっていました。
でも、このままで良いんだっけ①
でも、このままで良いんだっけ②
そう思いつつも、足踏み状態
チームミッション
担当領域:LIFULL HOME’S 賃貸
ミッション:短期的にプロダクトグロースさせていくというものになります。
注力していたこと
①市場学習回数最大化への取り組み
市場学習回数、つまり仮説検証の回数を大幅に増やしていくということに取り組んでいます。
②プロダクトアナリティクスの導入
コンバージョンに貢献している行動を特定し、それを伸ばし、プロダクトの全体的な体験を向上させるような施策を検討します。
③ほとんどの変更(施策)でABテストを実施
A/Bテストの精度を上げたり、意思決定のスピードを早めるために、消化項目をテンプレート化し、結果の評価もそれに沿って行うということを進めており、全社的に標準化を目指しています。
これらの成果が出ている一方、数字だけではなく、ユーザーの解像度を上げたい、定性データを使いたい。
そこで試したこと
UXリサーチャーに「最初」と「最後」にいてもらう
(キックオフミーティングとクロージングミューティング)
2.UXリサーチでグロースチームを支援する難しさ
UXリサーチでグロースチームを支援する難しさ
→今までのプロジェクトはお手本のようなプロジェクト
→グロースチームのプロジェクト
・定性調査するには規模が小さい
・数字が上がるとか数字が下がるっていう話になりがちで、利用者を置き去りにして数字を動かすだけの施策案になってしまったりとか、
グロースハックという名目で、ダークパターンに手を出してしまうかも
ユーザーファーストを推進する立場として考えこと
試してみたこと
・利用状況を伝える
・知見を提供することで、利用者の体験を考慮したつくり方
UXリサーチで支援する立場として考えたこと
試してみたこと
・リサーチデータの再活用
・グロースチームに合わせて調査のやり方を変化
グロースチームへUXリサーチの支援
今までのリサーチデータを活用するということを基本にして、必要であれば小さく調査をしていく、こういった支援の仕方です。
グロースチームを支援するタイミング
グロースチームの進め方を変えずに乗っかる形でユーザーリサーチの支援をすることにしました。
プロジェクトの最初と最後で支援したこと
・ミューティングでは、必要な情報をその場でざっくりと提供
・補足はslackで、濃い具体的な情報を提供
グロースチームに起こった変化@UXリサーチャー視点
・ミーティング以外でも、リアルな利用者についての興味が出てきた
・実在の利用者が判断基準になってきた
・利用状況を知っているからこそ追う数字が見えてきた
UXリサーチで行ったグロースチームへの支援と変化
3.利用状況を知っているからこそ数字が見えてきているのかなと思う変化も出てきました。
数字と利用背景が結びつくようになった
「なぜこういった行動をとるのか」
自分たちにあったやり方で定性データを活用できるようになった
うまくやっていくポイント
・譲れないところは変えない
・土台がしっかりしていることが大事
・セオリー通りに行うのではなく、目的にたいして何をやるか考えることが重要
・無理をしない・させない
■Q&A
・インサイトをどうやって引き出すのか気にかけて点がありましたら教えてほしいです
→どんな状況でどんな行動や判断をしてるのかっていうことだったり、不満なこと満足することはどういうことなのみたいな。その人の価値観を探れるような事柄を一つでも多く伺うっていうことを心掛けています。
→事前調査を怠ることをしない。
→関西の方にインタビューする際は地域の路線図や主要駅などは見ておく。
→定量データ・定性データ
なるべくインタビューに同席し、一次情報を取りに行っている。
・UXリサーチの結果などの管理方法はどのようにされているか教えてください。
→社内システムにまとめている
→ある程度のフォーマットを準備している。
→タグ付けして検索できるようにしている。
・小川さんの部署は様々な部署の支援をされていると思いますがリサーチする際の優先順位、周囲の決め方やリサーチの回し方などをお伺いしたいです。全てユーザーファースト推進ユニットの方がされているのか、依頼が多数でパンクしないか
→1年に100くらいのリサーチがくる。
→LIFULLが調査しているとモニターにわかるとバイアスがかかる場合、
ポップインサイトに依頼することがある
・貴重なお話ありがとうございました。私の会社ではUXリサーチを今から取り入れていこうという初歩の段階です。先程のお話のように、弊社の営業チームでも「リサーチがなくてもうまくいっている状況」があることから、リサーチのレポートなどのあまり興味を持ってもらえない状況です。リサーチが営業チームにも役に立つこと・ユーザーのことを知ることの重要性を伝えていくための手段として、何かオススメの方法はございますでしょうか?
→営業チームの方はものすごく忙しくてリサーチ結果に目を通すことができないのではないか。また耳を傾けてくれないので、こちらから営業チームのミューティングに参加してみている。
→過去のリサーチでやったことがあるものをちょっと見せてみる。
・相田さんがUXリサーチをとりいれていきたい、と最初に感じた動機やきっかけのようなものがあれば教えていただきたいです。
→同じ部署のデザイナーが一次情報に触れるのは大事といっていた。
ユーザーインタビューの録画を見る会を行った。
・今後、お二人がより注力していきたい取り組みなどがあれば、教えていただきたいです。
→小川さん:開発をする前や仕様を決めているときに、仕様をブラッシュアップするような取り組みをしたい。
→相田さん:私はですね今の取り組みで、サービスの担当者直接ユーザーさんとお話できる。それはやっぱりライトにできるみたいなユーザーを守って読んでるんですけどもそういった取り組みがあって、実は私の所属して私がいわゆる部署+チームではそれを体験しているメンバーからいないんですので、やっている方もいっぱいいるんですけど、なので、すぐやりたいなと今思ってます。
・UXチームはグロースチームに知見などを提供するとありましたが、どういったところで評価されるのでしょうか。グロースチームの目標数値がうまくいった・いかないが反映されるのでしょうか。
→組織の開発にユーザーファーストをどのくらい浸透させたか。
UX成熟度の数値を上げる
・UXチーム、グロースチームの組織図を教えてほしいです。弊社の場合はグロースチーム(私の所属)、開発チーム、デザインチームが部署として別れており、立案からリリースまで数ヶ月〜半年と時間がかかっており、スピード感が全くありません。
スピード早くリリースまで持っていける組織図、チーム構成がお聞きしたいです。
また各チームのマインド/ベクトルなどあればお聞きしたいです。
→グロースチームだと3職種上流から話をする
→マインド・ベクトルみたいなことになるが、熟考するよりは
・ありがとうございました!まさに今私の社内で起きていることに対して、回答をいただいたような感覚です。小川様に1点ご質問です。ユーザーファースト部が今後グロースチームから離れるタイミングはありますか?UX文化の浸透が既に進んでいる状態だと思いましたが、グロースチームに対してUXリサーチャーの目指すゴールはどこまでなのか知りたいです。
→考えても見なかった。私個人ではグロースチームから離れることは当分ないのでは。もともと開発出身なのでグロースチームに関われるのがとても楽しい。
■参考
LIFULLのプロマネ改善:ユーザーを主語としたプロダクトづくりを目指して|LIFULL Product Growth
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