「イケてるデザインのコンセプトってどうつくるの?」 2023年10月05日

Webデザインのギャラリーサイト『S5-Style』を運営し、最近では『デジタルメディアデザイン見本帳』を執筆された田渕将吾さんをゲストにお招きして、お話しいただきます。とのことでした。

■登壇ゲスト
・田渕将吾さん
・1982年生まれ
・HAL出身
・ビズリーチにてクリエイティブディレクター
・Webデザインのギャラリーサイト『S5-Style』を運営
・Colosoでオンライン講座

■Introduction

イケてるデザインのコンセプトってどうつくるの?
→いきなりデザインツール開いてませんか?

過去に悩んで、苦労したこと。

架空のプロジェクトを例に解説していきます。

■フェーズ1 案件のオリエンテーション
 代々木上原に新たにドーナツ屋さんをオープンするとします。

■ヒアリング
・背景
・目的
・現行のブランド
・歴史
・要件
・競合他社
・課題
・ターゲット
・市場

■ペルソナ
・フードやスイーツ店を巡るのが好き
・おしゃれな空間でゆっくり過ごすのが好き
・SNSで話題の店を巡るのが好き

■情緒的キーワード

抽象化する
・美味しいドーナツ体験
・クオリティの高いコーヒー
・こだわりの手作りドーナツ
・女性向けカフェカルチャー
・ゆったりとしたひととき
・落ち着いた雰囲気
・リラックスできる場所
・おしゃれな空間
・魅力的な店内デザイン
・アーティスティックな雰囲気

具体性が強いので、さらに抽象化する
・美味しい
・高品質
・手作り
・女性向け
・ゆったり
・落ち着き
・リラックス
・おしゃれ
・魅力的
・アーティスティック

■カラー設計
・カラーイメージチャート
・言語イメージスケール

■ムードボード

■Webデザイン
あとは、頑張ってUIをデザインすれば完成!
→「これもいいと思うんですが、B案つくれますか?」
→気遣いと違和感

「ロジカルだけどなんとなく説得力にかける。」
「量産系のデザインだと感じる」
「ベターだと思うけど、ベストかと言われたらもっといいものがある気がする。」
→ターゲットに刺さるブランドらしさが足りないのでは。
→足りなかった観点はどこなのか?_

「物語のデザイン」はどこいった?
・ペルソナ、ほんとに理解できてる?
・A案がなんで通らない

ナラティブアプローチ
・利用者のインサイト:ユーザーが何を必要とし、何を望んでいるかを深く洞察すること
・ブランドの人格:ブランドがどのように感じられ、認識されるかを形成する要素。
・ブランドの物語:ブランドがどう始まってどんな変化をしていくか。それがなぜ存在するのか。という物語

ドーナツ屋で試してみましょう。

■利用者のインサイト
フードやスイーツ店を巡るのが好き
→ドーナツの特別な美味しさが日常の忙しい毎日を乗り越えたご褒美。その瞬間は喧騒な日々を忘れて楽しみたい。

おしゃれな空間でゆっくり過ごすのが好き
→友人とのおしゃべりや、ひとりでの読書や音楽など、好きなことに没頭できる時間。落ち着いた空間で、コーヒーを片手に充実した時間を過ごしたい。

SNSで話題の店を巡るのが好き
→トレンドに興味が高く、話題のお店に敏感。流行の食や空間の写真をSNSに共有して、同世代からの共感を得たい。

■ブランドの人格
フードやスイーツ店を巡るのが好き
→心をリフレッシュする非日常な体験を提供する「都心のリゾート」

おしゃれな空間でゆっくり過ごすのが好き
→気持ちを集中できるシックな体験を提供する「日常を特別にする場所」

SNSで話題の店を巡るのが好き
→共有したくなるイイネしたい体験を提供する「魅力的なパブリックスペース」

■ブランドの物語
フードやスイーツ店を巡るのが好きな人との物語
→日常を忘れられる、幸せのひとときを。

おしゃれな空間でゆっくり過ごすのが好きな人との物語
→なにげない日常を、もっと特別なものに。

SNSで話題の店を巡るのが好きな人との物語
→美味しいひとときは、みんなのもの。

れぞれのナラティブごとに「形のデザイン」を検討してみる。

■情緒的キーワード
フードやスイーツ店を巡るのが好きな人との物語
→物質的に緑を感じられる。自然素材

おしゃれな空間でゆっくり過ごすのが好きな人との物語
→上品。俯瞰した平面構図。デザイン性の高い食器

SNSで話題の店を巡るのが好きな人との物語
→視覚的な魅力。ユニークなフォント。明るく鮮やかなパレット

あとは、UIをデザインすれば、
個性のはっきりしたWebデザインが完成!

■利用者のインサイト
全員に共通するインサイトって?
→特別であること。

※注意:ナラティブをつくるときは事実のみで構成する

まとめ

■Q&A
Q.代理店さん、ディレクターさん、と順番に降りてくる場合、ナラティブを考えるのはどうするのか?
A.ヒアリングのところでコミュニケーションしているディレクターさん等に聞いてみる。わかんなかったらそいつはダメ。また聞きまた聞きだとつらい。デザイナーが直接聞ける会を開いてもらう。巻き込んでいく。

Q.クライアントとのヒアリングで気を付けていることや重点的に聞いていること。
A.いつも聞いているフォーマットはそんなにない。プロジェクトの背景や目的などはクライアントなどが持っているのでそれを聞く。
聞き足りなかったら追加で聞く。
すっごいヒアリングシートはない。

Q.これだけは!
A.気にしたいのは現状の課題感や目的やプロジェクトが発生した原点。発案のきっかけになるもの。

Q.ペルソナは一つだけだと思っていたのですが、複数設定したほうがいいですか。
A.サービスをやっている場合、そこで利用する人が1人だったら1人でいいが、1000人いればセグメントが分かれるはず。
ケースバイケース。目的によって変わる。カスタマージャーニーごとにモデリングしている。

Q.ナラティブデザイン力を鍛える方法があれば。
A.すぐできるものではなく、何度も何度もやってみる。
 表に出さなくても自分のデザインを作るときにロジックとして整理する。ちょっとずつ言語化できるところからやってみる。

Q.クライアントなどに説明するときにこの通りにやっているのか。
A.しゃべるケースとしゃべらないケースがある。ロジカルに言語化して進めていくのに興味ない人もいる。

Q.インプットした知識や書籍で覚えておいたほうがいいもの。
A.書籍:事例で学ぶブランディング ランドーのデザイン戦略大公開

Q.提案したものの、ブランディング成功といえる時は?
A.それぞれ。大事なモノはブランドだけではない。
 ブランドは数値化できないので。数年たって結果に反映されていくもの。わかりにくいし提案時に約束できない。

Q.どこにピントを合わせてブランディングを行うのか。ヒントがあれば。
A.ブランディングはめちゃくちゃ難しい。ブランドさん次第。
 マーケティングに関してはある程度の答えが出しやすいので、そこから最適解を見つけていく。

コメント

タイトルとURLをコピーしました