Tama Design High School デザインを丁寧に伝えよう 2023年12月12日

■自己紹介
・橋本陽夫さん
・橋本陽夫デザイン事務所代表
・デザインから始まったキャリアではない。
・セイコーインスツル株式会社のエンジニアからスタート。
・良品計画でデザインディレクションを始めた。
・千葉大学デザイン学科非常勤講師

▼テーマ説明(講義の目標)
目標は「製品に込めた考えを的確に伝える」です。
デザインに関わるすべての方に有意義な内容です。

著書:デザインディレクションブック

▼デザインを伝える重要性
・デザイン(ビジュアル)は見る人によって解釈は様々。
 指向性・環境・知識・経験などが千差万別

・文字(言葉)は解釈の幅を限定できる。
 抽象度を下げて意味を限定して使う

デザインを考えるとき、言葉で考えることで強制発想法として使える。

▼デザインの伝え方の次元
・1次元:言葉で話す・文字で書く
・2次元:ポンチ絵・図面
・3次元:スケッチ・モックアップ
・4次元:(3次元+時間):製品

▼デザインは整理・洗練・整頓
アイディア→デザイン要素→洗練→アウトプット

▼デザインの言語化
・言語化の解説書など
 ・細かくすることで説明出来たとする
 ・相手を説得させるための説明の仕方

・問題点
 ・デザインそのものをどの様に言葉にすればよいかわからない?
 ・細かくすると言ってもデザインを表すにはどうする?

▼デザインを言葉にする目標
 ・「製品に込めた考えを的確に伝える」

▼丁寧な説明とは
・丁寧とは「注意深く心が行き届くこと」
・説明とは「事実の描写は確認にとどまらず、事柄の内容や意味を、
よく分かるように解き明かし根拠を示すこと」

▼説明とは
事実⇔根拠⇔解釈

▼事実と解釈
・製品コンセプト:どこをこうしたってものを作ってユーザーに提案していく

▼事実と解釈
・事実を観察して解釈がうまれてくる。

▼デザインの説明
・「事実」を
「要素」と「原理」に分けて
「解釈」の根拠を見つけ言葉にする

▼デザインのテンション・要素・整理
「バウハウス・システムによるデザイン教育入門」武井勝雄

▼デザインのテンション
・デザインの根拠をなす概念として
「Spennung(独)・Tension(英)・緊張・引っ張る(日)」

セイコーはテンション高め。無印良品はテンション低め。

▼要素と原理
・「要素 Element」 刺激される対象物
・「原理 Principle」 対象物を刺激する方法を類型化

▼デザイン要素とは
・点
・線
・面
・カラー
・質感

デザイン原理とは
・デザインの要素を統合しデザインされたモノとするために、
要素を選択・配置・統合を決定する方法を分けて体系化したもの
・プロポーション
・バランス
・リズム
・エンファシス
・ハーモニー

▼原理による説明の例:ペン
・標準形

▼原理1 : プロポーション
・テーブルと天板の高さ
・モニターのアスペクト比
・黄金比(近似値は1:1.6)

▼原理2:バランス
・シンメトリー
・アシンメトリー
・重心点

▼原理3:リズム
・拍子
・だんだん早く

▼原理4:エンファシス(強調)
・形態
・カラー
・質感

▼原理5:ハーモニー
・ハーモニーとは様々な原理で作られた要素をひとつにまとめ
 美しい調和を図ることです。

▼解釈を生み出す因子
・情動
・経験から得られた言葉
・百科事典的知識
・本質的価値
・スキーマ

まとめることをゲシュタルト。

▼解釈が生み出す因子:情動
・早い脳が生み出すとされる、怒り・恐れ・喜び・悲しみなどのように、
比較的急速にひき起こされた一時的で急激な感情の動き。
身体的・生理的・また行動上の変化を伴う。

▼解釈が生み出す因子:経験から得た言葉
・見た瞬間思っちゃう。

▼解釈が生み出す因子:百科事典的知識
・知識は大事

▼解釈が生み出す因子:本質的な価値観
・「価値観の環状連続体モデル」 Schwartz(1992)
・価値意識のList of Values (Kahle,Beatty,&Homer 1986)

▼解釈が生み出す因子:スキーマ
・スキーマとは「外界を認識するときに使われる知識の枠組み」
 ・似た言葉にスクリプトがある。

▼ゲシュタルトとは
・モノゴトを認知する際に
 要素を部分として寄せ集めているのではなく
 簡略化してまとまり(ゲシュタルト)として認識します。
 
1.近接の法則
2.類同の法則
3.連続の法則
4.閉合の法則
5.面積の法則
6.対象の法則(良い形の法則)
7.共通運命の法則

▼丁寧な説明とは
人はすべての事象・心象を簡易化して認知する
       ↓
簡易化し過ぎると「ヤバい」「神だ」
       ↓
簡易化(ゲシュタルト)を解して丁寧に説明する

▼原理1:プロポーション
・安全性があがったな。子供向けになったのかな
 メタファー:クレヨン

▼原理2:バランス
・描くときに前重心になる

▼原理3:リズム
・早い感じ、ダイナミック

▼原理4:エンファシス
・きっと力のない子供向けかな。

▼原理5:ハーモニー
・テンションを調整しないとおかしな商品になる。

▼説明の例:マグカップ
 
▼原理1:プロポーション
▼原理2:バランス
▼原理3:リズム
▼原理4:エンファシス
▼原理5:ハーモニー

▼説明の例:タイマー
 
▼原理1:プロポーション
▼原理2:バランス
▼原理3:リズム
▼原理4:エンファシス
▼原理5:ハーモニー

▼デザインを言葉にする目標
「製品に込めた考えを的確に伝える」

▼デザインを丁寧に伝えるポイント
・要素と原理を用いて
 どこがどうなっているを元に
 解釈を伝える

▼まとめ(丁寧な説明のために磨くべきポイント)
・知識を増やす
・なぜそう思ったのかを自分事として考える
・ゲシュタルトの構成因子を意識する。

質疑応答
Q.ゲシュタルトとか新しい知識を得ましたが、
 どうやって知識を得ていけばいいのか。

→そうですね自分もですね若い頃は、自分がセンスの中心にいるような意識があってですね、センスの中心ですけど、何が来てて、何が今もダサイのとぶつかってわかんないすけど、なんかみたいなあんまり意識しなくてもわかったと思うんですね。それ何でかっていうと、そういうことをみんな発信してる人たちの間にいるからですよね。その間に自分もいて、自分もその仲間ですし、なんでその感じなかったと思うんですが年を取ってきちゃってんすけど、色とですね、経験が豊富なってくると、そういうような仲間とはちょっと距離が出ている規定で落ち着いた人が多くなってきたりするとですね、いろんな新しい情報知識が入ってこなくなりますもちろん百科事典的な知識っていうのが歴史だったり、普遍的なことであれば、本読めばわかるんですけれども、そうじゃなくてもっと新しいことも知識としてありますので、そういうものをより強く意識していくには、やはりいろんなものを見続けるしかないかなと思います。なんで僕はよく本をね、サブスクで雑誌みたいなありますよね。ああいうのでやたらに見たりしますけれどもいっぱいいろんなものを見てそっからやっぱり機能的な推論するっていうか、全体の角度、全体のフォルムの角が立ってきて、るものが多くなってきたなとか、そういうのを感じると思うんですね。色であれば緑が何か多くなったなとか黄色が多くなったなとか、そんなものあると思いますので、そういうものをいっぱい見てですね、何となくそうかなと思ったら、その思った仮説をですね、また他で見てみて例えば、服で今緑が多くなったと思ったら、この緑はどっかでまた増えるだろうなという仮説が出てくるので、その仮説を見てるとこなんか緑の車増えてきたんだとか、そういうなってだんだんそれで飛び火していくつもありますので、そういうことで、知識っていうか、センスであったり知識みたいな部分はいっぱいいろんなことを見て、自分でそれを自分ごととして見たときにその仮説を次に置いてみて考えてみるってのはいいんじゃないかなと思って僕も日々そういうことやってるんですけど、そういうことばっかり口にして、あの独り言みたいに言ってるんで、一緒に、あの車乗ってる家族とかは、また変なこと言ってんなっていうかそんな感じになると思いますけれどもそういうのがいいんじゃないかなと思います。

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