2011年5月19日に表参道のこどもの城・研修室で行われた、
HCD-net 第1回セミナー「人間中心設計とユーザエクスペリエンス 」に参加してきました。
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第一部では、福住さんより、
10年ぶりに改定となったHCDプロセス規格「ISO 9141-210」の変更ポイントや
注意するべきポイント、実務面での影響や対応についてお話があり、
第二部では、
黒須先生より、
ISOの改定を受けて、広義のUXのお話をしていただきました。
人間中心設計とユーザエクスペリエンス-HCDプロセスの国際規格(ISO9241-210)の動向-
NEC情報
メディアプロセッシング研究所 (lSOTC159/SC4国内委員会副主査、WG6主査)
福住伸一氏
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目次
1. 人間中心設計プロセスとは
2. ユーザビリティ向上の課題
3. 人間中心設計プロセスを適用する根拠(lSO13407)
4. HCDの適用事例(2008年NECユーザフォーラムより)
5. 人間中心設計規格改定の経緯
6. 改定のボイント
7. 具体的な改定箇所
8. HCDの活動
9. Shallへの対応について
10. 人間中心設計活動のアウトプットの例
11. ClF(Common lndustry Format for Usability)とは
12. まとめ
1.人間中心設計プロセスとは。
1. 利用状況の把握と明示
→企画・設計
2. ユーザと組織の要求事項の把握と明示
→基本設計
3. 設計による解決策の作成
→詳細設計・製造
4. 要求事項に対する設計の評価
→設計評価・品質管理
・予算等の関係もあり、JIS改定には至っていない。
・利用状況の調査をしてもユーザーにあったものをつくる。
2.ユーザビリティ向上の課題
・ユーザビリティを向上するためには?
→開発プロセスの中に、ユーザビリティ向上のためのUI設計の視点を取り入れる。
3.人間中心設計プロセスを適用する根拠(ISO13407)
すべてが人間工学の原則に準拠しなければならないわけではないが、
できるだけ準拠することが望ましい。
使いやすものを提供していけば、組織の運用効率も改善される。
4.HCDの適用事例
業務システムのUI統一
→日々の会社生活の中で使われるシステム。
年代などによってはパソコンの操作に長けているわけではなく、
使い方のスキルもバラバラ。
↓
既存システムを分析して改善点を提示した。
(利用状況の把握)
※ISOにはこれぐらいの細かい話までブレイクダウンされていない。
5.人間中心設計規格改定の経緯
・5年ごとの見直し
・ISO9241シリーズ体系の改定
- 策定当初との状況変化(PCの性能や利用方法、普及状況)
- アクセシビリティ、Web-UIなど新しい技術や概念の登場
・ソフトウェアやハードウェアのプロセス/設計規格を体系化。
その中に人間中心設計プロセス規格も組み込むことに。
6.改定のポイント
・規格番号、タイトルの変更
・ISO13407→ISO92401-210
・プロセスという単語が抜けた。
・規格対象の変更
→サービスも含めて、人間中心設計が必要であると考えた。
・必須項目の追加
→shallが増加した (Should→Shallへ。)
・UXの用語が定義
→HCDによる設計が達成すべき目標として位置づけられた。
7.具体的な改定箇所
▼責任
→責任者に対してPJ内の人間工学に関する必要性を考慮”しなければならない(shall)”。
・日本側はshallにすることには反対していた。
・実際の現場ではまだ難しい面が多いと思うが、規格に項目があることを理解することは
最低限必要ではないか?by福住
▼想定できる効果(追加)
→今までは4項目だけでわかりにくかったので、効果をわかりやすくした。
▼責任
→専門家が入って人間中心設計を進めるならShouldでもいいいが、
プロジェクトと担当者にShallまで求めるのは厳しいのでは。
▼人間中心設計の原則(変更)
→これも13407に比べてわかりやすくした。(13407は4つ)
8.HCDの活動
・HCD活動の相互関係
→矢印の流れ等がかわった。
→グルグル回す必要がある。
→プロセス図から、組織が抜けたのは?
組織もユーザーの中に含めている。
・HCDの活動(1)
→日本後は福住さんが翻訳したので、英文を参考に。
・利用状況の記述(エビデンス)
→要求し様に落とし込む際に使うのでShallでもいいのでは。
※User needsとUser requirementの違い
User needs→本当にユーザーが望んでいるもの。
User requirement→設計までに落とし込めるようにしたもの。
・HCDの活動(2)
・設計解の作成
→基本的にはあまり内容はかわっていない。
・要求に対する設計の評価
→230番で規格のワーキングドラフトを進めている。
(デグレーションメソッド)
9.Shallへの対応について。
かなりShallが多くなり、適合条件が厳しくなっている。
これがshallじゃないと人間中心デザインじゃないじゃん。
→本当に実務で導入できるのか疑問。
(規格制定者に企業の人が少なかった・・・)
※規格との適合性、整合性を求める顧客に対しては正当な理由を示す必要がある。
※完全にISO92401に対応する必要もないのでは・・・・
できなければ、出来ない宣言でもいい・・・・
10.人間中心設計活動のアプトプットの例
25063 Context of use description
25064 User needs report
25065 User requirements specification
CIFフォーマット
→別の規格で策定中。
11.CIF(Common Industry Format for Usabillity)とは
SQuaRE Archite
★参考資料
Common Industry Format for Usability Test Reports
12. まとめ
現場に実用するには、もっとブレイクダウンする必要がある。
でも仕様にそこまで求めるのは・・・・
■Q&A
・ISO9241-210になって同じプロセスなのになぜUXが生まれるということになるのかについて
委員会の中において議論はあったのか?
→ISO9241-11の頃にはUXという概念自体がマイナーだったが現在は注目されてきたため
明確に盛り込んだ。
→出てくるものは前と変わらないのではないか?見方、捉え方が変わっただけでは?
・開発チームは製品が存在するかぎり常に利用状況を把握しつづけなければならないのか?
→営業や保守のチームが担当すべき範囲として製品のライフサイクルに
関与するということは実際にあると思うが、開発チームが全てを担保する必要はないと思う。
・ユーザと「組織」の「組織」がなくなった理由は?
→組織のメンバーもユーザにふくめたものとして考えることにしたため
・ISO13407が出来た当初は盛り上がったもののあまり普及しなかったが、
改定が行われたことによる
・準拠普及の効果についてはどう思うか?
→強くは準拠を進める対応はしていないが、
運用上ではわかりやすくなっているはずなので、
適用しやすくなっている→企業内導入の説明がしやすくなったのでは。
・日本語化、CIFの公開の目処は?
→JIS化は早くても来年。
CIF化は一部についてドラフト中なので、来年くらいから・・・・
HCDとUX -UX白書にもとづく総論-
黒須 正明 氏(放送大学)
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1.ユーザビリティ
■Brian Shackel(1991)
▼下記の両者のトレードオフが受け入れられるものであれば、
受容可能性(acceptability)がある
・ポジティブな面
・必要とされることを機器やシステムが機能的に提供しているかどうかという
ユーティリティ(utility)
・ユーザがそれを利用してうまく仕事ができるかどうかというユーザビリティ
・ユーザがそれを適切と思うかどうかというライカビリティ(likeability)
・ネガティブな面
・初期費用と運用費用、社会や組織的な結果というコスト(cost)と見合っているか
どうかが大切
■Nielsen , J(1993)
・ユーティリティとユーザビリティを区別
・最上位に受容可能性(acceptability)を位置づけた。
システムの受容可能性
→社会的な受容可能性
→実用的な受容可能性
→コスト
→互換性
→メンテナンス
→信頼性
→安全性
→ユースフルネス
→ユーティリティ
→ユーザビリティ
→学習しやすさ(学習しにくくない)
→効率(が低くない)
→記憶しやすさ(記憶しにくくない)
→エラー(を起こさない)
→満足(不満足でない)
■ISO9241-11(1998)
・ユーザビリティ「ある製品が、指定された利用者によって、指定された利用の状況下で、
指定された目的を達成するために用いられる際の、有効さ(effetiveness)、
効率(efficiency)および利用者の満足度(satisfaction)の度合い」
・有効さについては「ユーザが、指定された目標を達成する上での正確さと完全さ」
・効率については「ユーザが、目標を達成する際に正確さと完全さに費やした資源」
・満足度については「不快さのないこと、及び製品使用に対しての肯定的な態度」
・「システムや製品、サービスが、指定された利用者によって、指定された目標を
達成するために用いられる際の、指定された利用の状況下における有効さ、効率、
および満足度の度合い」(ISO9241-210)
※ユーザビリティとISO92401との違い。
→サービスを入れることによりUXを拡充。
■Kurosuモデル(2006)
・有効さ→たどり着かないと意味がない。
■狩野モデル(1984)
・魅力的品質
・当たり前品質
→黒須先生のかんがえでは、最近は魅了的品質を主とするバイアスがかかっていて、
当たり前品質を忘れているのではないか?
当たり前品質ができてないのに、魅力的品質を高めるのは違うのではないか。
■Service(吉川 2008)
→人工物とサービスには綿密な関係があるのではないか。
1. 人は機能を発現する能力を持つ
2. すべての物は機能を持つ
3. 機能は人にとっての意味あるいは価値として認識される。
4. 自然も人工物も機能を持つが、人工物の機能の中には制作者の意図によるものが含まれる。
5. 物の価値は、物体そのものにあるのではなく、それが持つ機能にある。
6. 機能は潜在し、行動あるいは使用によって顕在化するが、
行動あるいは使用の様態により異なる機能が顕在する。
7. サービスとは顕在機能である。
8. サービスは産業の成立以前から存在する人固有のものであり、人が社会を作ることの
最大の動機であった。
9. 人工物としての工業製品は、意図した機能の担体であるから、製造業とサービス業は
独立のものではなく、相互に複雑に関係し合う
10. 製造業の作る製品はサービスを強化、あるいは増幅するためのものであるか
理念的には、サービス産業は製造業をその内に含む
■ISO9126-1(2001)、ISO9126-4(2004)
・ISO9126-1は、ソフトウェア自体の内部品質と、外部品質を定義
・使用性を含み、そこに理解性や習得性、運用性、注目性を含む
・効率性は別の品質副特性
・ISO9126-4は、利用時の品質を定義
・有効性、生産性、安全性、満足性
・ISO9241-11のユーザビリティに近い
■SQuaRE(ISO25010 2010 – FDIS)
・SQuaRE(Software product Quality Requirements and Evaluation)
・ユーザビリティ
・適切さ、認知しやすさ、学習しやすさ、操作しやすさ、エラーからの保護、
インターフェースの審美性、アクセシビリティ
・製品の持っている性質利用品質
・利用品質
・有効さ、効率、満足感、危険の回避、利用状況の適用範囲
・製品を利用した結果。
※ユーザビリティはものの側。
利用品質は実際につかったときの品質のため、人の側。
※ソフトウェアのみの規格。
UXは含まれていない。
2.UXへの道
■ユーザの経験や主観的な側面
・Whiteside and Wixon(1987)
・Carroll and Thomas(1988)
これまでの研究が「ユーザビリティに関する主観的判断に強い決定的要因となりうるものを
無視することで、人々が真に利用したいと思っているシステムを提供し
そこねている」ことを指摘
■Affective computing
・Picard(1995)
人間の感情状態を認識することで、より適切なインタラクションのできる情報システムに
関する研究
・IWEC(International Workshop on Entertainment Computing)(2002)
entertainment computing
・Funology(2003)副題は、「ユーザビリティから楽しさへ」
・ACII(Affective Computing and Intelligent Interaction)(2005)
▼ピアノ階段
(フォルクスワーゲンがスウェーデン・ストックホルムのオルトプラン駅で実施した実験)
66%がピアノ階段を利用した。
・効率性はエスカレーターだが、UX的にはピアノ階段
▼Bottle Bank Arcade
100人以上は利用した。
▼The World’s Deepest Bin
ゴミを入れると物が落ちていくような音が鳴るしくみのゴミ箱を使った実験
通常のゴミ箱より41kg多く、一日72kgのゴミを一日で回収した。
※ただし、これらは1年後ぐらいにはあきられる。
■Jordan, P.(2000)
・Maslowの欲求階層のモデルのアナロジーとして機能性からユーザビリティ、
そして嬉しさに至機器やシステムに対する階層構造を提唱
・嬉しさを4つに分類して、身体や感覚系に訴求する生理的な嬉しさ(physio-pleasure)、
他人との相互作用で生み出される社会的な嬉しさ(socio-pleasure)、認知系や感情系と
関係した心理的な嬉しさ(psycho-pleasure)、価値観に関連した理念的な嬉しさ
(ideo-pleasure)に区別
→機能性があり、ユーザビリティがあり、嬉しさがある。
■Norman, D.A.(2004)
・エモーショナル?デザイン
・人間の特性を脳機能の面から、自動的で生来的な本能(visceral)レベル、
日常行動を制御する脳の機能による行動(behavior)レベル、
そして脳の熟慮する部分による内省(reflective)レベル、に区別
■デザインとカスタマイズ
・デザインを実現するためには、パーソナル化とカスタマイズが重要である。
・5つのレベルに分け、それで我慢する、カスタム化する、大量生産でカスタム化する、
自らの製品をデザインする、購入した製品を改造する、といったやり方を区別。
■Csikzsentmihalyi, M.(1990)
・フロー「注意が自由に個人の目標設定のために投射されている状態」
・「できるだけ多くフローを体験するように自分の意識を組織できれば、
生活の質は必然的に向上するようになる。」
■感情を12色相環に表した。
■感性工学
・出発点としての長町(1989)
・「商品とか環境としった物的対象に対して心の中に抱く感情やイメージのあるまとまった
心的状態のこと」
・感性工学の手法 長町(1995)
・製品コンセプトを分解して物理特性に落とし込むI類
・感性に関するデータベースにより物理特性を求めるII類
・そこに数学モデルを導入したIII類
・Kantの認識論
・感性(Sinnlichkeit)は受動的な形で思惟の素材を悟性(Verstand)に提供するものであり、
さらに悟性によって量、質、関係などの範疇に関して構成された対象を体系化するのが
理性(Vernunft)である
・その意味で、この感性は感覚に近い。
・Baumgartentは、認識を悟性的認識(上級認識)と感性的近くに区別
・前者を扱う学問を論理学、後者を扱うものを感性論ないし美学であるとした。
・感性的知覚は単なる受動的感覚ではなく、価値観や時代的背景を含んだものといえるが、
感性論(Aesthetik)が美学と和訳された関係で、日本においては感性全般を扱うもの
ではなく、狭義の美学として発展することになった。
・日本における感性工学
・「直感的な想像と知的活動としての記述の相互作用を行う心のはたらき」(原田2002)
・感性価値創造イニシアティブ(2007)
・sensibilityなどの単語を用いず、Kanseiというローマ字表現を用いており、
国際会議などでも独自のスタンス
・Cockton(2009)は、Kanseiについて「人間行動の基盤として存在する情緒の構造」」
であるとみなし、それを合理性(rationality)に対する情緒性(emotionality)とシンプルに
位置づけ、UXに関して知性と感性を厳密に区別することは益が少ないだろうとしている
■経験マーケティング
・マーケティングにおいては、1990年代にすでに「消費経験」というテーマが話題になっていた。
・現在的な意味での経験の重要性を最初に説いたのはKotler(1984)
■Pine II , B.J. and Gilmore,J.H(1999)
・「経験は常に身の回りにあったけれど、これまではドライクリーニング、自動車修理、
卸売業、通信業などといっしょにサービス業に分類されていたため、
存在に気づいてもらえなかった経済価値である。
・コモディティとは、差別化特徴を失って量や価格で扱われるようになった商品。
もともとは農産物のように自然界から得られる産物。
・製品とは、コモディティに加工を施すことにより、それよりも価値を高めたもののこと。
・サービスとは、顧客の個別の要求に応じてカスタマイズされた形のない活動である。
変革→決めて導く
経験→描き出して演出する
サービス→考え出して提供する。
製品→開発して製造する
コモディティ→探し出して抽出する。
■経験マーケティングのポイント
・コモディティ化しないよう、製造業は製品をサービスでくるんで提供しようとする。
・経験とは、顧客を魅了し、サービスを思い出に残る出来事に変えることである。
・消費者は、ある製品を使う過程でいくつもの経験に遭遇し、そうした経験の中に
差別かの可能性が秘められている。
・カスタマイズが重要
■Schmitt, B.H.(1999)
・伝統的なマーケティング
・機能的な特性と便益に焦点をあて
・製品カテゴリーや競争を狭い領域で行う
・顧客を合理的な意思決定者ととらえる。
・分析的で計量的、言語的な方法と手段を用いてきた。
※その結果、悪い面として、測定や分析の正確さにこだわり、
現場を考えずに顧客の真のニーズに焦点を当てずにきてしまった。
・経験マーケティング(experimental marketing)では、顧客の感覚や感情、
精神への刺激によって引き起こされる経験に焦点化する。
・特定の商品に注目するのではなく消費全体を考察する。
・顧客を合理的であると同時に情緒的な動物であると捉える
・方法やツールについては折哀主義をとる。
■Schmitt, B.H.(2003)
・顧客経験マネジメント(CEM: Customer Experience Management)
・顧客の経験世界の分析(第一段階)、経験プラットフォームの構築(第二段階)、
ブランド経験のデザイン(第三段階)、顧客インタフェースの構築(第四段階)、
継続的変革(第五段階)という段階を踏む必要がある。
・調査方法
・日常的な環境で調査を実施すること、適切な顧客の反応を引き出すために、
実際に近づけた刺激を用いること、顧客にさまざまな現実を思い起こさせること
・いわゆる実フィールドでの調査
・近年ユーザビリティの分野で話題になっているエスノグラフィの現場インタビューと
基本的には同じ
■サービスマーケティング
・サービス経験(Service experience)
・「サービスを商品としてどのように顧客に販売するか」が課題
・サービスとは「個人や組織にとって何らかの便益(ベネフィット)をもたらす活動そのものが
市場取引の対象となるときにサービス(商品)と呼ぶ」
3.UX
■UXの初期
・1975年ぐらいから書籍に登場する。
→Fong(1975)、Davis(1975)
・ユーザビリティ概念からUXの流れを明確にしたのはノーマン。
→「製品に関して、それがどのように見え、学習され、使用されるか、というユーザの
インタラクションのすべての側面を扱う。これには、使いやすさと、最も重要なこととして、
製品が満たすべきニーズとが含まれる」
■UXの定義
All about UXでは27件。
■Nielsen-Norman Group
企業やサービスや製品とのエンドユーザのインタラクションのすべての側面のこと。
典型的なUXにまず必要なことは、顧客のニーズについて拡張なしに的確に適合させることである。
次に、所有や保有をしたくなるような製品を作るための単純さや簡潔。
真のUXは、単に顧客が欲しいというモノを与えたり、チェックリストで検証できるような
特徴を提供したりすることではなく、それ以上のことえある。
企業が高品質のUXを達成するためには、エンジニアリングやマーケティング、
グラフィックデザイン、工業デザイン、インタフェースデザインなどの多様な取り組みを
連続的に結合しておくことが必要である。
■UPA
ユーザの全体的な知覚の構成要素となる製品やサービスや企業とユーザとの
インタラクションのあらゆる側面のこと。UXデザインは、レイアウトや視覚デザイン、
テキスト、ブランド、音響、インタラクションといった要素を含むインターフェースのあらゆる
構成要素に関係している。
■ウィキペディア
UXはシステムの利用における感じ方に関わるものである。UXは、HCIの経験的で情緒的で
有意味で価値のある側面や、製品を所有することに焦点をあてるが、
同時に、システムのユーティリティや使いやすさ、効率などをユーザがどのように知覚するか
にも関係している。UXは、個人のパフォーマンスやシステムに対する感じ方や考え方に
関わるものであり、主観的な性質を持っている。
また、UXは、状況の変化につれて変化するため動的なものである。
■Hassenzahl & Tractinsky(2006)
ユーザの内的状態(体質的素因、期待、欲求、動機付け、気分など)、
デザインされたシステムの特性(たとえば複雑さ、目的、ユーザビリティ、機能性など)、
インタラクションが発生する状況(もしくは環境)(つまり組織的/社会的セッティング、
活動の有意味度、利用の自発的など)による結果
■Hassenzahl(2008)
UXとは、製品やサービスとインタラクションしている時の一過性で一時的な評価的感覚
(良いー悪い)のことである。
※楽しいもの開発しようという考え方がUXと取られられるのも、
ちょっと違うかも・・・
■Hassenzahl (Hazzenzahl et al. 2000, Hassenzahl 2001)
予言可能性が高い、言い換えれば意外性がないといった人間工学的品質(ergonomic quality)と、
革新性のような感性的品質(hedonic quality)を製品の客観的品質として位置づけ、
それらが認知プロセスのなかで魅力(appealingness)の判断として統合され、結果的に、
利用の増加のような行動的結果(behavioral consequencess)と満足のような情緒的結果(emotional consequencess)をもたらすと考えていた。
■hedonic
・The Shorter Oxford English Dictionary(1993)によると、hedonicという単語の初出は
1656年だそうで、pleasereableという意味のギリシャ語に由来している。
・参考までにhedonismの初出は1856年。
・形容詞としては嬉しさ(pleasure)に関係している。
・感情体験には正負があるが、hedonicという単語はそのうちポジティブな側面に
言及するものである。
・なお、日本語の感性もポジティブな意味合いで使われることが多いため、感性的と訳す。
・Hassenzahl(2003)で呈示されたモデルでは、実用的属性(pragmatic attributes)と
感性的属性(hedonic attributes)
■ISO9241-210
・製品やシステムやサービスを利用したとき、および/またはその利用を予測した時に生じる
人々の知覚や反応のこと。
1.UXとは、利用の前、最中、その後に生じるユーザの感情、信念、嗜好、知覚、
生理学的/心理学的な反応、行動や達成などのすべてを含む。
2.UXは、ブランドイメージ、知覚、機能、システム性能、対話行動や対話システムの
補助機能、以前の経験から生じるユーザの内的点身体的状態、態度、技能や性格、
および利用状況の結果である。
3. ユーザの個人的目標という観点から考えたときには、ユーザビリティは典型的にUXに
結びついて知覚や感情的側面を含む。ユーザビリティの評価基準はUXの諸側面を
評価するのに用いることができる。
・HCDはUXを重視するものである。
・ISO9241におけるユーザビリティ概念は広義の概念であり、ユーザの個人的目標という
観点から解釈したときには、仕事における満足感や単調さの排除といった項目と共に、
典型的にはUXと関連した知覚や情緒の側面を含みうるものである。
4.UX白書
■構成
1.序
2.現象としてのUX
3.UXの時間的展開
4.UXに影響する要因
5.実践としてのUX
※12pages
■UXの現象的特性
・UXは一般概念としての経験の下位集合である。
UXはシステムの利用に関係しているため、より特定的である。
・UXはシステムとの出会いを含むーアクティブな個人的利用だけでなく、システムを利用して
誰かを観察している時のようにパッシブな形でシステムに対面している場合を含む。
・UXは個人に特有のものである。
・UXは過去経験やそれにもとづく期待に影響される。
・UXは社会的文脈に根ざしている。
・反対に、以下のようなものではない。
・UX技術志向なものではなく、人間に焦点を当てるものである。
・UXは一人だけでシステムを利用している個人に関わるものではない。
・UXは認知的タスク分析ではないし、ユーザを「人間の情報処理装置」と見るものでもない。
・ユーザによって知覚されたユーザビリティは全体的にUXに寄与する典型的な側面ではなるが、
UXはそれと異なる。
・UXデザインはユーザインタフェースデザイン以上のものである。
・UXはブランドや消費者、顧客経験と相互に影響しあうものではあるが、
それらとは別のものである。
■UXの時間的展開
・Virpi Roto(2007)のモデル
■WPのモデル
・他のシステムやブランドに関する事前経験の関与が表現されている。
・その他の情報が入ってきて、その後、新システムを購入したり入手したりする。
・その後は短時間のUXやエピソード的UX(新しい機能に気づくとか、故障するなど)が
徐々に累積すること。
・利用している時期としていない時期を交互に交えながら、当該システムやブランドなどに
関する情報が入ってきている。
・さらにそれら全体を累積的UXと呼ぶこと
■UXに影響する要因
・文脈(context)
・他人と作業をするというような社会的文脈
・テーブルの上で製品を使ったりバスの中で使ったりという物理的文脈
・周囲にあって同時に注意を払うべきタスク文脈
・ネットワークへの接続などのような技術的/情報的文脈
・ユーザ
・モチベーションや気分、精神的資源や身体的資源、期待
・システム
・対象システムにデザインされた機能性や審美性などの特性
・機器に張り付けられた写真のようにユーザが追加したり変更したりした特性
・ブランドや製造業者のイメージ
■実践としてのUX
・関連する要因を特定すること
・既知ないし未知の要因に対するスコープの設定
・デザインの成功にとって重要で十分な要因の特定
・さらに調査を要する要因の特定
■UXを評価する指標
・UXを評価するための全体的な指標は存在していない。
・ただ、経験において生起した感情がポジティブなものかネガティブなものかを調べたり、
信頼感やプレゼンス、満足感や楽しさを測定したりする手法はある。
・手法の選択は、評価の目的や時間、経済的制約などによって決定する。
■デザインにおける留意事項
・デザインの方向性についてフィードバックを得るために存在的ユーザや
その代理者の参加を促すこと。
・人々から情緒的な反応を得ることと何故そうなのかという説明を受けること。
・コンセプトやデザインを同僚や上司などに伝えること。
・デザインチームのビジョンを堅持すること。
■組織におけるUX
・ビジネスの方向性
・開発すべきデザインの選択
・組織活動を導くプロセスの開
■UX白書の総括
・なんとかして統一的な見解を出そうとして努力したものの、
既に百家争鳴の状態になっていたため、その中から共通項を見いだすというような、
どちらかというと消極的な試みになってしまったといえる。
5.UXの時間相(Kurosu)
■今後のUXに向けて
・Nagative Experienceにもっと真摯に取り組みましょう。
・問題はそこにもここにもある。
・いまだに問題が残されままである。
■QA
・白書のなかでのExperienceの分類への着目
・Co-Experience
→共同的経験
・ 動詞としてのExperience
→利用中の経験
・ 名詞としてのExperience
→累積的経験
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