Tama Design High School 「問いのデザイン」 2023年12月23日

▼自己紹介
安斎勇樹さん
株式会社MIMIGURI代表取締役Co-CEO
東京大学大学院 情報学環 特任助教

著書
・ワークショップデザイン論
・リサーチ・ドリブン・イノベーション
・問いのデザイン
・問いかけの作法
・パラドックス思考

▼MIMIGURI
・問いのデザイン
・問いかけの作法

※問いシリーズ累計9万部

▼問いのデザイン
現在5.6万部

▼問いかけの作法
・3万部突破

▼「問い」のデザインって何?

▼事例
とある自動車メーカーの悩み
このままでは「カーナビ」が生き残れない・・・

・AI(人工知能)を駆使してカーナビを生き残らせるには?
・いくら考えても良いアイデアが生まれない・・・

・国民はみんな車を運転するのが好きであるという前提
・みなさんってなんでカーナビ作ってるんですか?
・どうすれば”移動の時間”が豊かなものになるか?
・真の「こだわり」を育む、冒険のための問い

良い問いがデザインされていなければ
チームの創造性は発揮されない
ゆえに、良い答えはデザインできない

▼なぜ、現代に「問い」が重要なのか
・ビジネスとは”戦争”である
 戦略・戦術・軍の統率・兵隊育成・領地の独占
 →今の経営教育の元。

・しかし人間と社会の価値観は大きく変化しつつある
・キャリア観:会社中心から人生中心へ
 ・会社中心のキャリア観→会社のために隷属しミッションに自分を押し込める
 ・人生中心のキャリア観→さらなる自己実現を探求するためのひとつの構成要素として会社がある

・事業観:領地の奪い合いから、よりよい社会の開拓へ
 ・競合と競争しながら限られた領地を奪い合う
 ・仲間と共創しながらよりよい社会の可能性を探求する

・いったい何のために働くのか?
個人も組織も仕事の意味が
問い直されている時代。

・世界のパラダイムシフト
 ・軍事的世界観
 ・冒険的世界観

参考:冒険的世界観としての「ワンピース」
・「麦わら海賊団」という組織に隷属して、そこに自分を押し込めるのではなくそれぞれの「こうありたい」という願いが冒険の中心にある。
異能のコラボレーションで、不確実性を乗り越え、思いも寄らない成果を生み出す。

▼冒険的世界観へのシフトを妨げる軍事的組織の2つの現代病

■認識の固定化(眼精疲労)
 ・”カーナビ”に関する認識の固定化
 ・しかし「固定観念(バイアス)」はなかなかに厄介

 ・以下の9つの●を一筆書きの4本の直線で結びなさい

以下の9つの●を一筆書きの4本の直線で結びなさい


  ・枠内で発想していると解けない
  ・準拠枠(frame of reference)
   ・対象を認識する際に基準として働く判断の枠組み
    =固定概念・思い込み・とらわれ・バイアス

答え

 ・以下の9つの●を一筆書きの3本の直線で結びなさい
  ・●は数学的な点で「面積がないはずだ」という暗黙の前提
  ・人間は無自覚のうちに無数の固定概念に囚われている
  ・勝手に設定した「枠」が、認識を硬直化させる

 ①問題を自分本位に捉えてしまい、関係者視点や社会的意義が欠如する
 ②手段が自己目的化し、本来の目的の検討や、大儀の視点が欠如する
 ③課題の設定がネガティブで、うまくいかない原因を他責的に考える
 ④規範的な耳障りがよい優等生的な課題が設定され、対話が深まらない
 ⑤根本的な問題の解決を目指すあまり、課題が壮大になりすぎる

・名詞(モノ)は、人間の思考を閉じ込める
 →動詞(コト)は、名詞を取り巻くダイナミックな文脈に発想を拡げる

■関係性の固定化(腰痛)
 ・会社や学校でよく起きる

 ・上司:技術者の頭が堅くてイノベーションが起こらない、どんな研修を導入しようか・・・
  →技術者:上司の頭が堅くて、面白い最新技術について話しても全然聞く耳持ってもらえない・・・
 ・お互いを「こういう人だ」と決めつける
  他者に対する認識の固定化
  →ノウハウ不足による技術問題ではなく
   両者の認識と関係性による適応課題

・ロナルド・A・ハイフェッツ
 ・技術的問題と適応課題
 ・やり方を知っていれば解ける問題
 ・自分たちが変わらなければ解けない問題

・「対話」をしなければ永久に解決しない

▼しかし関係性が固定化すると会議のコミュニケーションは”お通夜化”する
 ・期待していた「画期的な提案」はおろか、
 誰も意見さえ述べない、お通夜のような状況…

 もし「問いかけ」に工夫がされていたら・・・

 「この企画案、どこか一つだけ変えるとしたら、どこでしょうか?」
 「もし自分がお客さんだったとしたら、気になるところはありますか?」
 「意見はじっくり考えていただければと思いますが、いま頭の中にパッと浮かんだことがあれば、なんでもよいので教えてくれませんか?」

・会議を活性化し、対話の深める「問いかけ」の重要性

▼コンサルティング事例:シチズン100周年に向けたボトムアップ型ブランディング
・ワークショップ型のミーティングのファシリテーションを通して
 シチズン
 →これまでの6000モデルをレビュー
 →私が”シチズンらしい”と感じる過去モデルを3つ選ぶとしたら?
 →私たちが次の100年に残したい”シチズンらしさ”とは何か?

・質問の方向性のマトリクス

質問の方向性のマトリクス

認識を揺さぶり、対話を生み出す
「問い」のデザインの重要性

■質疑応答

Q.すごいいい話が聞けたなと思って今日来ました高校生なんですけど、今会社を学校のプログラムというか作ってて、そこで文化祭とかそういうのを企業家的に考えてやるっていうのはやったんですけど、やっぱりチームビルディングとか話し合いとかミーティングとかも何時間も重ねる中で、なかなか意見が出ないときとか、いっぱいあったんですけど、なんか今日この問いを立てるっていうのはすごいミーティングの何だろう答えみたいなところを出すのにすごい大事だと思うんですけど、なんかいい話が聞けたなと思って、実際にその実践するみたいなところも話で、おっしゃってくださったんですけど、その高校生とか学生とか、授業の中で、何か生かせたりとか、何かミーティングだけじゃなくて、その普段の解決とか何か校則とかのミーティングに関してなんていうか、何か実際に使えそうな案とかあれば、ちょっと無茶ぶりなんですけど、答えていただけたらと思います。

A.すごいですね素晴らしいプロジェクトにチャレンジされているんですね。
本当におっしゃっていただい通り、そういう実際に文化祭だったりとかそういう何か作ってくっていうプロジェクトはもちろんなんですけど、そうじゃない場面でもすごく使えるところたくさんあって、なんだろうな何か作るにしても作らないにしても、さっきの人間関係の話だったと思うんですけども、なんかこの人ともうちょっと仲良くなったら、楽しくやれそうなのになとか、例えば友達同士で一緒に遊びに行くとかでもいいし、新しいクラスになって、ちょっとまだぎこちない友達とかでもいいし、付き合いたての恋人とかでもいいし家族でもいいんですけれども、なんかこう関係値とか何か夜中の良さが100の人ってなかなかいないと思うんですよね。そこが仕事するにしても、プライベートにしても、今50だったら多分60になった方がいい仕事できるし、いい遊びができるし、いいコミュニケーションができるってときに、ここの数字を上げていくために、問いを使うっていうのってすごく有効なんですよ。そうしたときに結構立った方がいい前提は、意外にずっと一緒にいたいとしても、お互いのことは実はあんまりよく知らないっていう前提に立った方が多くて家族であったとしても親友であったとしても、小学校の頃から同級生だったとしても、自分に見えてる側面あるんだけど、自分が見えていない別の側面があるはずだっていうふうに前提に立ってみて、それを探ろうってしてみると、結構関係性を変えやすいんですよね。だからそこで結構問いの工夫の仕方はいろいろあるんだけれども、なんかなんだろうな例えば、最近あったなんだろうな。普段あんまり聞かない何か例えば最近あった面白い話とかこの友達と共有するんだよなっていう友達がいたときに、なんか最近あった悲しかったこととかって何かあるとか突然聞いてみるとか、
なんかこう、自分に見えてない一面を、ちょっと質問を工夫して光を当ててみるっていうふうにすると、この人実はこういうこと考えてたんだなとか、なんか自分といるときはこういう性格だけれどもこういう一面もあるんだなっていうことが見えると何だろうね一緒に何か仕事するときとか遊びに行くときとかでも何かいつもとちょっと違うアイディアが生まれやすくなったりとか、いつもと違う提案をしやすくなったりとかっていうふうにするので、なんかそこを探るっていうのをちょっとぜひやってみていただけると、いろんな場面で使えるんじゃないかな。

Q.いざ自分が作ったといっていうのが問いっていうのが、なんか点検チェックなるような観点とかってあったら、お聞きしたいなと思います。

A.結構これ難しいんですけど、ちょっと一旦話離れちゃうんですけど、今回デザインの展示なってますけど、これデザイナーがデザインするときに、自分が作ったこのデザインって、いいデザインだろうか。いや、まだ良くないかもしれないもうちょっと準備しようとかって考えるよりかは、つくって世に出しちゃったりとか実際使ってもらう人にこれどう思うって聞いた方が早いっていう考え方があるんですよね。これプロトタイピングとかって言うんですけど、問いのデザインも結構そのところがあって、めちゃくちゃいいという考えて100点の問いを投げようとするよりかは、60点ぐらいで問いかけちゃったお早い。てことを結構あって、なんで僕の場合は、ワークショップとかファシリテーションするときでも、投げかけてみて、あれ答えづらそうだなと思ったら、あれ、答えづらいっすかって聞いてなんかどの辺が答えづらいですかとか、何か今、何を思い浮かべてますか。聞いてなるほど。答えやすいと思って聞いたもテンション上がるかなと思って聞いたけど、こう取られちゃうんだとか。ここが捉えにくいんだって思ってそれをヒントにもう1回ちょっと問いを作り直すとか、あれは僕結構ずるいやり方をするんですけど、ちなみにどんな問いだったら話やすいと思いますかといって本人に聞いちゃうとかっていうふうにすると結構一緒に問いを作っていく関係性になったりして、なんか結構実は僕はいい問いデザインしなきゃいけないとかってスライドには書いてるんだけれども、60点ぐらいの問いをどんどんどんどん放ってちゃうっていうのでいいのかなと思っていて、何かそれをやっていくうちにだんだんだんだん自分っていつもこういう視点が抜けて問い立てちゃうんだよなとか、
なんかそういうことに気がついたりするんでおのずと最初に立てるという点数も上がっていくっていうことになるのかなと思うんで、まずは60点を誰かに話してみるっていうところから始めるといいんじゃないかな思います

Q.正しい問いっていうのがあるかわかんないんですけどこのさっきの話で言うと100点に近い問いを作るのとなんかいろんな質問を問いかける。のがあったときに、どういうアプローチがいいのかっていうのを今お聞きしようかなと思っていて今の話だと、100点を求めるんじゃなくてもういろんな角度から質問をしてそれでさらに角度を上げていくっていう、何か問いの進め方がいいのかなっていうふうに理解したんですけど、何かそういうなんていうんだろうな、1回でいい問いをして1回でなんていうんだろうな。あのよくしていこうっていうスタンスじゃなくって、なんかちょっと、アジャイルっていうんですかね軽く回してみたいなスタンスで問いをしていくっていう心持ちの方がいいんでしょうか

A.アジャイル的な感じだなと思っていて何かいきなりがんって作って設計図を作って、この良い問いをみんなで目がけてやってこうっていうよりかは、というみんなで育てていくコミュニケーションが育てていくって感覚でいいと思うんですけど、でも先ほどの回答とちょっと違う視点を入れると、とはいえ、さっきのカーナビのチームみたいに何かこう、これだわっていうのが降りてきた瞬間ってわかるんですよね。なんか、ずっとAIのカーナビ考えてたけど、そうだ、移動の時間未来の移動の時間探りたいんだったわっていうのがなったときに、もう目の色が変わる。何か押さえつけられていた。僕はよく衝動って言葉使うんですけど、なんか衝動がもう毛穴からバーって出るみたいななんかそういうこれだ。この問いだ俺達が考えたかったのは、何か自分たちの感覚を何か言い当てるような言葉が見つかったときって、なんか急に空気変わるんで、なんかね、さっきの100点じゃなくていいですよって話をしたんだけれども、何かなってるなんか違うんだよなって言ってなんでこの問いだと、出ないんだろうなって言ったときに、その急に見つかって、外側に何か言い切り口が見つかったときは、何か何となくわかるみたいな、だからその瞬間を、やっぱファシリテーターとしては生み出したいというか、自体みたいな感覚もあって、でもそれをいきなり作ろうとすると、ドツボにはまっちゃうんで、プロトタイピングしていくことが大事なのかなと思いますね。

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